雪月花

ゆきつきはな そして







移りゆくものだから
消えて亡くなるものだから
美しいのだとしたら
なんと皮肉なことだろう

記憶は褪せてゆくから
いつかは死ぬきまりだから
毎日を必死に紡ぐのだとしたら
なんと皮肉なことだろう

その皮肉を分かりあえるから
悲しみが増すのを承知してもなお
雪や月や花をありったけの情で愛すとは
なんと割り切れない人間だろう

移りゆく景色に
移りゆく命を重ねて
また今日を
凛とした悲しみに生きる










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