雪月花

最初の夢







あまりの痛さに
忘れようとしていた
最初の夢を思い出した

どれだけの時間を
逃げる為に使っていた?

どれだけの時間を
自分を惑わす為に使った?

忘れてなんかいない
忘れられるわけがない
忘れたことなんかなかった

この際全部思い出してしまえばいい
ひとつ残らず思い出してしまえばいい
隅々まで、血が滲むほど鮮やかに

時を経て押し寄せる波に耐える
それは昔よりも遥かに苦い
溜まりに溜まった自己嫌悪と共に

いつ自分を売り渡したのか
いつ自分を騙し始めたか
一番見たくない岐点さえも

妥協は楽だった
笑顔も楽だと思っていた
その下で腐る自分を知りながら

私を紐解いたのは
最愛の擁護者にして
私を縛り付けた人

涙の味も泣き方も
何ひとつ変わっていない
当たり前だ 何も変わっていない

激しい痛みと蘇る記憶
息を吹き返した涙と何か
知っている それは最初の夢











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