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Mrs. Linda @ Re:姿は愛らしいが(11/20) madoさん 明けましておめでとうございま…
mado@ Re[1]:姿は愛らしいが(11/20) Mrs. Lindaさん >可愛いですねぇ。リスに…
Mrs. Linda @ Re:姿は愛らしいが(11/20) 可愛いですねぇ。リスには勝てませんよ。…
mado2047 @ Re[1]:朝露(10/18) Mrs. Lindaさん >まあ暫くぶりですね。ブ…
Mrs. Linda @ Re:朝露(10/18) まあ暫くぶりですね。ブログ再開嬉しいで…
2011年07月07日
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カテゴリ: カテゴリ未分類
2010_0217花0005.JPG






野良にしては 気性がのんびりした人懐こい猫だった


なき声もニャ~と言えず 


内緒話でもするかのように


微かなハスキーな声しかださない


面白い茶色のトラ猫に 私達はチャーと名づけ可愛がった




毎日 ふら~と来て


餌を食べては いつの間にかどこかに消えていく


次第に慣れて ベランダに居座る時間が長くなった


夫が時々話しかけたり なでてやると


ゴロンとお腹を見せるようにもなった




外が寒くなると 部屋にまで入って来ては


絨毯の上に寝転んでいたり


体をさすれと頭を擦り付けてきたり


冷蔵庫が開く音で食べ物を催促するようになり


まるで飼い猫の振る舞いになってきた




窓の外で「ニャ~ン(帰ってきたよ~)」と鳴く声も


私達を意識する鳴き声になった


無視すると ベランダの花鉢の上に乗って背伸びし


部屋の中を覗くようになり 


鉢を幾つもひっくり返して壊した


こうなると 可愛さが増して来て 


夫はチャーやチャーやと話し相手にしていた


「お前は本当は野良なんだよ、お前の家はここじゃないぞ」といいつつ


キャットフードにミルク 時には大好物のサーモンの切り身を


歯がほとんどなく上手く食べられない老猫の口元に 


チャー専用の箸で運んで食べさせていた


お腹が空くと冷蔵庫の前に座り


ニャ~ニャ~と鳴いて催促 


すっかり我が家の猫になってきた




私達が留守にすると


必ず部屋の見える塀の上に座って待っている


こんな生活に 猫も私達もいい家族関係になっていった




ある日 オス猫同士の喧嘩の末に


喉の下に大きな痛々しい傷を作って戻ってきた


傷を消毒して


気分が悪くなるくらい血膿を絞り出し


化膿止めを塗り 抗生物質を飲ませ


首に包帯を巻いて手当てしても 


所詮は野良猫 閉じ込められるのを嫌がって


出て行って また喧嘩をしてくる始末




そんなチャーも歳には勝てないらしく


縄張り争いの頂点から追い落とされたのか


数日姿を見なくなった


心配していると 近所の人が 


チャーが足を引きずってやっと歩いていたと教えてくれた




それから5日後


夕飯を済ませ団欒していると


外で何かがこすれるような音がした


夫が気にして外に目を向けるが何もない


誰もいない




しばらくすると


ホントに微かに聞き慣れた猫の声 


とっさにベランダの引き戸を開けると 


そこに痩せ細ったチャーが・・・


後ろ足を引きずるようにして


やっと部屋に入って来た姿に私達は愕然とした




こんな姿で1メートル半もあるベランダに


足を引きずり 前足だけでやっと登ってきたのだ


体は泥と塵にまみれ


目は血の混じった目やにだらけで


声も微かにしか出ないし また首にも怪我をしている


重症のチャーの姿




何があったの?


水や大好きなサーモンを与えても口にしない


ただ ウロウロしては辛そうに横たわるだけ


夫は こんな傷で外に出たら


今度こそオス猫共に殺されてしまうぞ


お前はここから出てはいけないと諭す




私の側でうずくまり夜を過ごしていたが


野良の習性か チャーは外に出たがり 


ついに 明け方に出て行った 


私達は お別れに来たのかな もう帰って来ないよ 


きっと 死に場所見つけに行ったんだねといって


哀しい気分で朝を迎えた




朝早くに庭を見ると


私の花壇の横にチャーがうずくまっていた 


まるで もう動けない 助けてという風に見えて 


私は思わず外に飛び出し 初めてチャーを抱きしめた


そのまま部屋に連れ戻り


体をなでてやると


足を引きづり フローリングの床に


頭から崩れるように倒れこんだ


どうした チャーしっかりしろと夫が叫ぶ


薄く開けた目はすでにうつろ


鳴くこともなく


足を突っ張り 口を大きく開けたと思ったら


凄い形相になり


黒緑の液体を口からドバァ~と吐き出した




汚物を処理しながら


チャー苦しいね~


もう頑張らなくていいんだよ~


よく ここまで帰ってきてくれたね~


ありがとう


私達夫婦の顔はもう涙でグチャグチャだった




野良猫は自分の死に場所を人に見せないというが


チャーは もう野良猫じゃなかったんです


果物の入っていたバスケットに


水色のバスタオルに包んだチャーを入れ


白い花を添えて私はオイオイ泣きました




今 チャーは


火葬して私の花壇に眠っています


私達の生活に笑いをくれたチャー


雨が静かに「チャー」と書いた墓標を濡らしています






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Last updated  2011年07月08日 23時27分07秒
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