後藤英彦の作文教室

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ごっちゃん815

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June 18, 2005
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100.わたしは報道記者としてこんなことを考えて仕事をしました

あなたの人生は短いと思います。80歳の寿命は二万九千二百日のことです。今35歳の人には一万六千四百二十五日しか残されていません。残された寿命の中で何をしなければならないか。

四十年近く前に大学を出て通信社に職を得ました。配属先は内政部でした。余命を数えるにはあまりに未熟者でした。

この部の機能は官僚(中央官庁)の仕事(国内政策)をカバーする部分と、自社の84支社局を統括する部分とに分かれていました。

三年の地方勤務を終えて東京に復帰すると、部長と次長に「どこを担当したいか」と聞かれたので、「通産省か農林省を希望する」と答えました。

経済で世界が廻っていると強く感じていたので、あえて経済官庁の記者クラブに所属して勉強しながら自分の成長を期そうと考えたのです。

希望は叶えられました。二十代で通産省(今の経産省)を担当することになりました。田中角栄さんが通産大臣から首相になった年のことで、後任には中曽根康弘さんが五階の大臣室に納まりました。

大臣室のあるこの階だけは赤じゅうたんを敷き詰め、私たちの仕事場である記者クラブもこの五階にありました。

官僚の発表ニュースは経済部の別の記者がフォローしてくれます。官僚の作文を記事にするという因果な退屈さにかかわらずに済みました。これは幸いなことでした。



独自の取材で書く記事ですから、わたし以外の他社の記者が同じ記事を書くことはあり得ません。

その意味では、わたしの書いたものはかなり特別扱いされました。新聞社、テレビ局に配信される記事はいつも言わば特種の形をとっていますから、大きく報じられるのが当たり前でした。

そのうちに、やがて手中にした巨大ニュース源の協力で大スクープをものにしました。ロサンゼルス特派員に任じられたのもこのスクープがあったからだと思います。

私はある程度自分を知っているつもりです。360度いっぱいに目配りのできるタイプではありません。贔屓目にみてもせいぜい90度の視野しかなく、社会部の記者なら落第の印を押されることでしょう。

短所を長所にする道はひとつです。自分の視野に入ってくるものをできるだけ深く調べ、その因果関係を突き止めることです。物事には、表面的にみえるものと違う側面が必ずあるはずだと考えました。その部分を闇から引っ張り出して世に問うことにしたのです。

仮に、通産省が主要都市の排気ガスの実態を調べることにしたとします。来年度の予算に調査費を計上するというのです。ニュースになります。

排気ガスの害は今に始まったことではありません。だからこう考えるべきなのです。なぜこの時期に公害調査をすることにしたのか。どのような方法で調査をするのか。そして調査で知った結果をどう活かそうと思っているのか。

官庁を担当している記者なら、さらにもうひとつの「なぜ」を問わなければなりません。公害は環境庁の縄張りのはずです。それをあえて通産省がやろうというのはどういう料簡なのだろう。そう考えるべきなのです。

これらの疑問を解くためにいろんな人と会います。責任者の官僚のほか、環境庁の官僚、公害委員会に所属する国会議員、公害企業の二、三に当たってみるのです。一つの結論に達します。

その結論を持って第三者の立ち場にある学者などの意見を聞きます。そして記事を書きます。官僚の問題ではなく広く国民の問題として考えてもらいたいからです。

2月下旬から始めたこの書き込み、今回で100回を数えることになりました。とりあえず「文章講座」はこのぐらいにして別のテーマで出直したいと思います。







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Last updated  June 19, 2005 02:09:58 AM
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??????@ ?????? 何?何?何?何?
哀歌@ すご~い なんてスバラし~んでしょうll
どぴゅ@ みんなホントにオナ鑑だけなの? 相互オナって約束だったけど、いざとなる…
ボーボー侍@ 脇コキって言うねんな(爆笑) 前に言うてた奥さんな、オレのズボン脱が…

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