
古代エジプトの時代から、過度の飲酒は身を滅ぼすと警告されていたそうです。 それでも人は酒を手放せず、やがて蒸留技術が生まれ、強い酒が大衆に広まったことで、社会そのものが揺らぐほどの問題へと変わっていきました。
18 世紀ロンドンの「ジン狂時代」は、まさに地獄絵図でした。 貧困と過酷な労働の中で、安価で強烈な酒が人々の心身を蝕み、家庭が壊れ、街が荒れていきました。
そしてゾラの『居酒屋』。 真面目に働いていた夫婦が、事故と貧困をきっかけに酒へと沈んでいく姿は、胸が痛むほどでした。 依存症は意思の弱さではなく、環境と脳の変化が絡み合って起きる「構造的な悲劇」なのだと、静かに突きつけられました。
長期の大量飲酒で脳の報酬系が変化し、やめようと思っても強烈な渇望が生まれてしまうこと。 禁断症状の恐怖や、脳の萎縮、記憶障害など、依存症がどれほど深刻な病なのかが丁寧に語られていました。
現代でも状況は変わりません。 ストロング系飲料が簡単に手に入り、孤独やストレスを抱えた人が静かに依存へと落ちていく。 親の依存が子へ連鎖することもあると聞き、胸が締めつけられる思いでした。お酒は文化であり楽しみでもありますが、同時に「合法の依存性薬物」でもある。 その二面性をどう扱うかは、今も社会が抱え続ける課題なのだと感じました。
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