魂の叫び~響け、届け。~

PHASE3 切望の果て





プラントの中央に位置し、巨大とも言える程に大きなザラ家の邸宅。
そこから評議会会場へ向かうエレカの後部座席に座る美貌の青年は、
その深海色の髪に自らの指を絡め、1人思案に暮れていた。


キラの行方が掴めなくなってから、――――すでに3週間が経っていた。

クライン邸にキラがいるであろう事はほぼ確信していたが、
先日ようやく連絡が取れたクライン家の当主、ラクス・クラインは

『何の事かわかりかねます』

とキッパリと言い切り、何度連絡をしてもこちらの話に耳を傾けようともしないのだ。

相手は仮にもプラントでは数少ない、ザラ家と対等な権力者。
セキュリティ面でも体裁的にも、強引に押し入る訳にも行かず、
八方塞りの状況にアスランは途方にくれていた。

そしてもう1つ、気になる事――――。

キラに良く似た面差しの金の髪の少女から
『キラの行方はまだ判らないのか?』と煩いくらいに掛かってきていた電話。

それがここ数日、プッツリと掛かっては来ない。
これは…もう間違い無いだろう。

キラは、自分にだけは連絡をするつもりが無いのだ。


「いつまでも…逃げられると思うなよ」


あの愛しい存在は知らないのだ。
逃げれば逃げる程、追い詰めて掴まえたくなる狂気のような狩猟心を。



知らないのなら、教えてあげるよ――――。





緊急召集が掛けられた会議場内には半数以上の議員達がすでに集まり、
そこここで談議がされていた。
見知った艶やかな銀糸の横顔に目が留まると、向こうもこちらに気付いたふうだった。

「アスラン、久し振りだな」

優美な仕草で片手を上げ視線を寄越すのは、
母親の跡を継ぎアスランと共にプラント最高評議会の議員を務めている、
若干18歳のイザーク・ジュールである。

「ああ…一体何があったんだ?随分と騒がしいようだが…」

「相変わらず呑気なものだな、貴様自身が騒ぎの中心だと言うのに」

イザークがなおも事情を説明しようと身体をこちらに向けた所で、
緊急召集議会の開始を知らせる合図に遮られる。

告げられた内容に、見せられたデータに、アスランは瞠目した。

旧政権の過激派が自分を旗頭に担ぎ上げ、テロ行為を決起しようとしているので“注意を喚起しろ“というメールが
議長のアイリーン・カナーバ宛に送られて来た、と言うのだ。


いまだ燻り続けている戦争の残り火、それはある意味仕方の無い事だ。
誰しも自分の正義を貫き通す事に、自身の尊厳を賭ける。
軍や議会の上層部が変わったからと言って、戦争を肯定する者達が、翌日から否定派に変わる事はあり得ない。

問題はその、議長宛に届いたという一通のメール。

当然、差出人の名前は無い。
淡々と書かれたその文章は、これといって特筆すべき点も、注意を引く点も見つからない。

だが、十数か所のポイントを転々として、議長の手元に届いたそのメールは、
送信元の痕跡がものの見事に消し去ってあり、どう辿っていっても差出人には辿り着けない。

このプラントで、コーディネーター達の優秀な頭脳を持ってしても辿れない場所。



直感だった。


――――キラ…。


アスランは瞬時に身を翻すと、風のように議場を後に駆け出していた。

「アスラン!あの馬鹿!」
小さく舌打ちをすると、イザークは慌ててアスランの後を追った。

「アスラン!貴様一体どういうつもりだ!」

議場を出てすぐ、階下に下りるためのエレベーター付近でイザークは深海色の髪の同僚に怒声を浴びせた。
アスランは足音も荒く近づいて来た銀糸の髪を一瞥すると、まるで興味が無い、という風に視線を泳がせる。

「どういう、とは?」

「貴様はカナーバ議長の話を聞いていなかったとでも言うのか?!」

「ああ…過激派の動きを抑える為にも、独りで行動するなって?」

過激派は手段を選ばないだろう、と想定されている。
多大な犠牲の上にようやく築いた平和。
だがまた今、『ナチュラルを根絶やしにしろ!』と再び声高に叫ぶ輩がいる。
そんな愚かな奴らに、その身柄をくれてやる機会をみすみす与えてやるつもりなのかと、その目は苛烈に燃えていた。

「聞いていたようだな?評議会議員として、己の責務を全うしろ!単独行動はするな」

「俺は…一度だって議員になりたい、と思った事は無いさ」
吐き捨てるようなアスランの呟きに、イザークのアイスブルーの瞳が鋭く光る。

『ナチュラルの殲滅』という危険思想が元で、命を落とした父、パトリック。
そんな彼の一人息子である、“アスラン・ザラ”の存在は、議員達の中でも危険視する声が出ていたのもまた、事実だ。
『父親のようにならない保証がどこにあるのか』そう囁かれていた事も知っていた。

アスランのただ事ではない様子に、イザークは困惑を隠せない。

目の前にいるこの男は一体誰だ?確かにその持てる力を誇示する事無く、控えめでいるのが常の彼だが、
今の彼のように投げやりな言動をするような人物では無かったはずだ。

相手の真意を測ろうと、イザークはその瞳を覗き込む。
翡翠の双眸の奥深くに、昏い闇を見た気がした。

が、一度閉じられ、再び開いたその碧玉からは一切の感情が綺麗に消されていた。

「アスラン…?お前…」

さすがに相手の異変を感じ、イザークは知らずうちに掴んでいた相手の肩から手を離す。

「イザーク、お前ラクスの家とは親同士が懇意にしていたんだったよな?」

「あ?ああ…まぁな、母上と亡きシーゲル殿とは議員同士で繋がりもあったし」

いきなり何だ?と困惑した色をその眼に宿し、アスランの表情を読もうとした。

「頼みがある」

アスランが俯いていた為、イザークの視界に捉える事は叶わなかったが…
その口元には、歪んだ笑みが浮かんでいた――――。




「お約束していた人数よりも、1人多いですわね」

クライン邸の広い、白を基調にした品の良い玄関ホールでは、4人の人間が顔を合わせていた。

1人はここクライン邸の主でもあり、プラントの貴重な財産とも言われている歌姫。
1人は光を反射して輝く、銀糸の髪の評議会議員、イザーク。
1人はその傍らを常に守るように寄り添っている金の髪の補佐官、ディアッカ。

そして残る1人は…深海色の髪に、翡翠の瞳。


「あなたを騙すような形になってしまい、申し訳ありません。
ですが…今日の所はどうか、こいつの話を聞いてやって下さい」

イザークはアイスブルーの真摯な眼差しを眼前の歌姫にピタリと合わせる。

「俺からも頼むよ、ラクス。どうせいつまでも、このまんまじゃあいられないんだし?」

イザークの傍らに佇んでいたディアッカも同調する。
その口調は軽いが、眼光からは判りすぎる程の真剣さが伺える。

ピンと張り詰めた空気の中で、4人のうち誰一人として身じろぎするものはいなかった。
永遠に凍りついたと思えた時間を、ラクスの嘆息が溶かす。

「――――わかりました。おふたりの熱意には負けましたわ…」

柔らかな淡い空色の輝きに、溢れる程の優しさを湛え、ラクスはイザーク、ディアッカ、
そしてアスランの視線を順に受け止める。

「アスランのお話しを、お聞きしましょう」



『ふたりきりのほうが、混み入った話も出来るだろう』
と、金と銀の若者達はクライン邸を後にした。


「なぁ…本当にこれでよかったのか?」

両腕を思いっきり上に伸び上げると、そのまま首の後ろへ手を組み、
ディアッカは傍らの友に目をやる。

「仕方あるまい、このまま放って置けばアスランの奴は間違い無く、勝手に動く。
それこそ過激派にでも接触された日には敵わんからな」

「ひゅ~っ、やっさし~い!何だかかんだ言っても、やっぱ心配って事~?」

「違うっ!下手に向こうに寝返られた時がやっかいだと、そう言ってるんだ!」

「はいはい、まっそういう事にしておくよ。しっかし、あいつら…元婚約者同士でナニやってんだか…」

ディアッカは組んでいた両手をホールドアップの形にし、大仰に嘆息して見せた。
これ以上の口論は無駄な労力と判断したイザークは、ディアッカを軽く睨みつけるだけに留める。

「無茶をしなければいいが…」

肩口で綺麗に切り揃えられた銀糸を揺らしながら迎えのエレカに乗り込み、クライン邸を見上げイザークは独りごちた。



広い豪奢な談話室で、『暁』の名を持つ若者とプラントの歌姫が対峙する。

先に自分がゆったりとした1人掛けのソファに腰を下ろしながら、アスランにも向かいのソファを奨める。
軽く会釈した後、アスランもラクスに習いソファに体を預けた。
程なくして使用人によって茶器が運ばれ、ハーブの清々しい薫りが部屋を満たしていく。

「お話しとは、キラの事ですか?」

先に口を開いたのは、桜色の髪の少女だった。
少女の言葉に、翡翠の瞳に昏い光が浮かぶ。

「今までさんざん惚けておいて、今度は開き直るおつもりですか?」

殊更ゆっくりと、アスランは言を紡ぐ。

「惚けたつもりなどありませんわ。キラ本人の口から、直接聞いたのでしょう?」

「…っ」

最後に会ったあの日、あの海辺でのやり取りが脳裏をかすめ、アスランは固く己の拳を握り締める。

「今のキラはあのままオーブにいては危険でした。――――何処からか情報は漏れるものです。
かつての大戦の英雄を利用しようとする輩は今も、この先も後を絶たないでしょう。だから…私がここへお連れしたのです」

ラクスは、アスランの白くなる程に握られた拳に目を落とし、諭すような口調で語りかける。

「そんな事は判っています!だから俺は何度も言ったんだ、プラントへ来いと!
そうすれば俺が保護する事だって出来る!」

「ですがキラは首を縦には振らなかった…」

「っ…それは…」

強い視線を真っ向からぶつけられ、アスランは言葉を失う。

「私はキラを心からお慕いしております。共に在りたいと、そう思うのはいけない事ですか?」

アスランは己の身の内に蒼く燃え上がる炎を感じた。


何を…何を言っているのか、この目の前の少女は。
『慕う』そんな軽い言葉で自分を制する事が出来ると、本気で思っているのだろうか。

あの紫の瞳が、自分以外の誰かを映す事を思うだけで、おぞましいほどの嫉妬に胸が焦げ付く。
自分の内に息衝く感情は、『恋』だの『愛』だの、そんな暖かい、優しいだけのモノでは無い。


『執着』あるいは『妄執』そんな言葉を使っても、まだ足りない程の、何か。


「…あなたは何か勘違いされているようだ」

低い、ありありと侮蔑を含んだその声音。

瞬時にして相手から放たれる気の色が変わった事に慄き、
ラクスは真意を測るように己の目線より少し上にあるアスランの双眸を仰ぎ見る。

「キラは無垢な振りをして相手を誘う、いわば確信犯です。
あんなに淫らな眼をして誘う癖に、自分は無知な振りをする…」

ラクスは想像していた以上の狂気のような執着心に、自分の発言が相手を煽ってしまった事を知る。
まさかアスランがこれ程までに、我を忘れてキラを求めるとは…。

「今日の所はこれで帰ります。が、…次に来た時には必ずキラを連れて帰ります」

昏い愉悦に歪んだその微笑みは、ラクスを威嚇し、戦慄させるには充分だった…。




     +     +     + 





ラクスとアスランが対峙している談話室から、遥か奥まった一室。


清潔でゆったりとした寝台の上に腰掛け、キラは先程のふたりのやり取りの一部始終をモニターで見ていた。

「アスラン…」

あんな…眼をしていただろうか、アスランは。

いつだって自分にはベタベタに甘く、どこまでも優しい幼馴染。
いつからだろう。その優しいだけだった翡翠の中に、妖艶な色が浮かぶようになったのは。

自分は、その意味にとっくに気付いていたのでは無いだろうか…。
だけど、失いたく無かった。
その存在を、暖かさを、穏やかな時間を、失くしたくなかったのだ。

だから――――素知らぬ振りをした。
何も知らない顔をして、傍にいる事を望んだのだ。


「これ以上…ラクスに迷惑は掛けられ無いな」

キラは苦く笑むと、ゆっくりと立ち上がった。

ラクスから自分に与えられた一室を出、玄関ホールにつづく長い通路を慣れた足取りで進む。


アスランがああ言った以上、必ず彼はどんな手段を使ってでも自分を連れに来るだろう。
万が一にもラクスとアスランの間に亀裂が入るような事があっては、
プラントの今後にどんな悪影響が出るか判らない。


「取り合えず…オーブに戻ろうかな」

紫玉の眼差しは思案気に揺れ、誰とは無しに呟いた言葉が広い通路に反響する。






「それでお前は、どこへ行くんだ?キラ」



長い通路を抜け、広い玄関ホールがキラの視界に入ったその時に、背後から突如響いた低くて甘いテノール。


通路の死角にその引き締まった体躯を預けるようにして立っているのは、
先程この屋敷から去っていったはずの人物。

全てを見抜こうとする――――翡翠の光。



「アスラ…ン…」

「いつからキラはそんな悪いコになっちゃったのかな」

まるで呪縛にかかったように動けなくなってしまったキラに、無駄の無い動きで近付くと、
アスランはその細い手首を取り優しく握り締める。

アスランの指が触れた場所が甘く痺れ、やがてそれは全身にゆっくりと広がってゆく。

「…キラ?」

首を傾げ、困ったような仕草で瞳を覗かれる。
キミが僕を呼ぶ声が僕を拘束し、この場に縫い止める。

逃げ出したい気持ちと、その胸に飛び込んでしまいたい気持ち、
二つの相反する気持ちが我が身を引き裂く様に、キラは大きく動揺する。

「僕はキミに幸せになって欲しいんだ!なのにっ、どうしてっ…」

キラは震えて上手く動かない舌を懸命に動かし、必死に言葉を紡ぐ。

「幸せ?なんだそれは」

細い手首を掴む力が更に強いものになる。

「カガリの気持ちに気付いているんだろう?キミだって彼女を大切に思っているはずだ!
僕は…僕もラクスの気持ちを大切にしたいと…そう思ってる…」

紫玉の瞳は高まる気持ちに熱く濡れ、扇情的な輝きをもって自分を誘惑する。

ああ、やっぱり…ずるいな。

「…キラ、言ってる意味が解らない」

自分はカガリに対して恋情なんて持ちあわせてはいない。
キラに良く似た背格好、キラに良く似た面差しに、時折目を奪われる事があったのは事実だ。
キラに対する執着心を、もしかしたらカガリに向ける事が出来るのかもしれない、と思った事もある。

だが、所詮紛い物は、どんなに似ていても紛い物に過ぎない。


――――本物の輝きに叶うはずもないのだ。


ふ、とアスランの翡翠が鋭く眇められる。
キラの襟元、上から覗き込まない限りは気付かないであろう鎖骨のラインの際に、小さな緋色の華。

身体中の血液が一瞬にして沸騰したかのような熱を持つ。
頭の中で、大きく警鐘が鳴り響く。

もはや何の音も耳には入らなかった。

「あの女と寝たのかっ!」

掴んでいた手首を捩り上げるようにして、後ろ手に拘束すると、背後の壁に叩きつける様にして押さえ込んだ。

「…っ!」

「ラクス・クラインと寝たのかと聞いている」

激しく打ちつけた背中と掴まれた腕の痛みに顔を歪め、苦痛の声を飲み込もうとする様は、
ますますアスランの嗜虐心を煽りたてる。

怨嗟の形相で詰め寄られ、知らぬうちに震え出してしまう身体と心に、
キラは泣き出したい気持ちになった。

「答えろ、キラ。」

滅茶苦茶にしてやろう、と思う。

優しくしてやりたい、とも思う。

己の無力さに、かつてどれ程の辛酸を舐めたことだろう。
何故いつも、守りたいと切望するものはこの手から零れ落ちて行こうとするのか。


「その手をお放しなさい、アスラン」

永遠とも感じられるその時間を切り裂いたのは、この屋敷の主である桜色の歌姫。

「私の屋敷内で、キラに対しての乱暴な振る舞いは許しません」

淡い空色の輝きは、真っ直ぐにアスランの翡翠を射抜く。

きっぱりと告げるその声に、アスランはかつて無い程の苛立ちを覚えた。
共に死線をくぐり抜けた同胞であり、強い絆で結ばれた協力者でもあり、
かつては仄かな恋情を互いに抱きあった事もあった、彼女に。

「キラは俺の物だ。どうしようとあなたには関係ない」

「…っ!」

壁に縫いとめられる強い力と、熱い腕にキラは唇を噛み締めた。

「キラは、物ではありません」

「いいや、俺の物だ」

己の身体と片腕でキラを壁に押し付けた形のまま、普段は甘く響くテノールを低く唸るような怒声に変え、
アスランの美しい指が殊更ゆっくりとキラの首に絡み付く。

「ぐっ…!」

突如貼り付いた白い指によって徐々に圧力を掛けられ、キラは苦しげな呻きをもらす。

「アスラン!何をっ?!」

信じられない目の前の様子に、さすがのラクスも声を荒げる。
だがアスランはラクスの静止などまるで聞こえていないかのように、
その双眸をキラの潤んだ紫玉にうっとりと合わせる。

「キラ…」

「……ァス…ラン」

苦しげな息の下、必死に自分の名を紡ぐ、愛しい愛しい存在。

全身から困惑と驚愕の混ざり合ったオーラを放っているのに、
こんな時でもそのアメシストは強い光を宿し、気丈にもこちらを射返して来る。
壮絶な色香に犯され、眩暈のような感覚に襲われる。


その無意識であるが故に何よりも強い誘惑に、逆らえる人間などいるのだろうか?


喉を締め上げる手はそのままに、もう片方の腕でキラの頭を押さえ込むと、
噛み付くようにその唇を貪った。

驚きとますます募る息苦しさに、思わず開いた歯列を割って、熱い舌が口内に侵入する。
何度も何度も角度を変え深くなっていく口付けに、キラの意識は―――漆黒の闇に溶けて消えた。


アキしゃんから愛の贈り物


「おやすみ、キラ」

ぐったりとして動かなくなったキラの耳元に唇を寄せ、艶を含んだ囁きを落とす。

甘い香りを放つ華奢な身体を抱き上げると、呆然とこちらを見ていた観客に向かいゆっくりと歩を進める。

「…どうするつもりなのですか」

緊張と驚きで渇ききった喉から、どうにか音になったその声は掠れ、微かに震えていた。

「あなたには関係無い」

こちらに一瞥もくれず屋敷を出て行く後ろ姿に、掛けられる言葉はもはや何一つ無かった。
大切に慈しんで来た掌中の宝玉に、あのアスランが一度でも見せただろうか。
――――己の残酷な一面を。

幼い頃からキラを見つめて来た彼は、きっと優しさしか見せてはいない。



「アスラン…あなたも…辛いですわね…。そしてキラも」

ひっそりとした通路に落とされた呟きは、誰の耳にも届く事は無かった。








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