恋涙 ~ renrui ~

恋涙 ~ renrui ~

前世の追憶弐


あの日から私の夢が少し変わった

彼にあってからずっと懐かしさは消えず不思議な感覚に囚われたまま

現(うつつ)にいても幻想(ゆめ)の中にいるような

私は毎朝、駅へ向かう途中彼と会った場所に来ると

周りを見てしまう・・・無意識に彼を探す自分に気付く

何故そうなのか自分にも分らなかった

ただ・・・そうしなければならないような気がした

しかしあれ以来彼に会うことなどなかった

私は次第に彼の存在を忘れていった

それはランチへ向かう途中の出来事だった

私は絡みつくような視線を感じた・・・

私は薄気味悪さを感じながらあたりを見回す、するとこちらをジッと

見詰める男の存在に気付いた

彼ではない・・・離れてはいたけれど直感でそう認識した

目を凝らし男の存在を確認すると見た目は若々しい20歳前後で

やや茶色みがかった髪の色をしていた

私が気付いているのに気づきながら瞳を逸らすことなくこちらを見詰める

私はその視線に息苦しさを感じた

まるで・・水底奥深く突き落とされてようなそんな感覚

ふと大型トラックが視界を遮りそして過ぎ去った後

同じ場所を見ると男の影は見る形もなかった

私は再度辺りを見回すが再び彼が視界に映ることはなかった

あの男はなんなのだろう・・・私の心に一末の不安が残った




banner0.jpg 三話


banner11.jpg 一話


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