秋の月

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Jan 7, 2008
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カテゴリ: 雑記
(遅いな・・・・)


三が日もとうに過ぎたその日。
私はある駅前で所在無くうろつきまわっていた。

携帯を握り締め、そこに来るはずの連絡を待っていたのだ。

待ちに待って、ようやくその携帯にメールが来た。



『終わったよ。
  ちょっと遠回りしてからそっちに行く』




その連絡のあとしばらくして、約束の場所に現れたセイに
私は駆け寄った。



「大丈夫?」

「ぁぁ・・・・ぃゃ・・・・」



うめき声にも似た言葉を発しながら、
セイは横にあった壁に片腕をつくようにして寄りかかった。

つかれきった顔で、視線を床に落している。
彼の大きな瞳を覆う長いまつげに、心なしか乱れたその前髪がかかる。

その横顔を間近で目にした私は、
思わずその姿に魅入ってしまった・・・・





が・・・・・





「・・・・・ぷっ」




次の瞬間には、私は彼の横で大笑いしていた。



「もー、新年早々ナニやってんだか!
  そんなにぐったりするんなら、ハナからやめておけばいいのに!!」


「いや、自分でもこんなに
  キッツイ状況になるとは思わなくて・・・・
  だってこれ、袋がこんなに目立つとは・・・・」





紅白の柄のついためでたいもの・・・・というより、
相当派手な紙袋だった。




IMG_7221福袋.jpg




お腹を抱えて笑う私を横目に見ながら、セイは軽くため息をついている。



でもさ。








アダルトグッズ屋の
福袋
なんて。








しかも自ら望んで買いに行った本人が
アホみたいなダメージを受けて出てきたなんて。

もう笑わずには居られないよ。



「しかも、もうこの辺りじゃ福袋持ってる人も売ってる店も殆ど無くて・・・・
  こんなもん持ってる歩いてると、目立ちすぎ・・・・」


「まぁ、もう三が日も過ぎてるんだから、
  人気のある店の福袋はなくなってるでしょう」


「そうだねぇ・・・・
  この店は、まだ福袋あまりまくってたよ・・・・」


「まぁ、あーいう店で福袋買うチャレンジャーは
  あんまり居ないでしょう・・・・。
  つっか、福袋買うって昨日言ってたのも、
  ネタで終わらせると思ってたのに。
  まさか本気で店に特攻するとは思わなかったよ。
  どういう風の吹き回しですか?」


「それは・・・・まぁ・・・・」



セイは何かを言いよどんでいたが、
私はその横で相変わらず大笑いしていたので、
何を言っていたか覚えていなかった。


取り合えず私達は、
そのめでたい紅白柄の福袋を手に持ったまま、
電車に乗り込んだ。





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Last updated  Jan 9, 2008 12:11:52 PM
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