秋の月

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Jan 10, 2008
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カテゴリ: 雑記
セイの指が。

私の体を刺激する。

私は喉から漏れそうになる声をこらえながら、
その動きを感じていた。

近くの部屋で、カタカタとキーボードを叩く音が聞こえる。
それほどそのフロアの中は静かだった。
私は熱くなった息すらも漏らさぬように、ひっそりと目をつぶった。
その間、セイはずっと指を動かし続けている。


個室の中は薄暗くはなっているが。
私から見ればセイの向こうにあるドアの隙間から、
誰かに中を見られやしないか。

それが気になってしまい、私は時々目を開けて、
周囲を囲う、高さ2メートルほどのついたてに取り付けられたドアの方に、
落ち着きない様子で目をやった。

そんな私の焦る姿に気がついたセイは、唇こそ動かさなかったが、
ほんの少しだけ、満足そうにほほの下の筋肉を吊り上げた。

しばらくして、私はうつむいたまま唇をきゅっと締めた。

まさか。
まさかこんなところで、こんなにも・・・・





「いきそう・・・・」



その言葉を聴いたセイは、無言のまま、
空いていた左手で私の頭を抱き寄せ、髪を撫でた。
そして、指の動きはいっそう激しくなる。


やがて。


身体が、そして指でなぶられ続けていたその場所が、
小さく波打った。

私はゆっくりと、大きく息を吐いた。


私の身体の動きは、セイにも伝わっているはずだった。
それでもまだ、セイは指の動きを止めようとしない。

私は再び首を傾け、ささやいた。



「いっちゃった・・・・」



だから、もうやめて・・・・。


私の訴えは、すぐにセイに伝わったと思った。


しかし彼は、まるで見せ付けるかのように、
いつもよりもずっと優しい表情で微笑みかけてくると・・・・

その指の動きを、いっそう激しくした。





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Last updated  Jan 13, 2008 09:25:30 AM
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