秋の月

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Aug 14, 2008
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カテゴリ: 雑記
数日後。

私はたくみの部屋でこんなことを漏らした。



「あたしの生理が来て、たくみ、随分ほっとしてたじゃない。
  それなのにまだ、こうやってあたしのこと部屋に入れるの?」


「いやだった?」

「・・・・・・・
  このままこんなこと続けてて・・・・
  彼女に知れたらどうするつもり?
  別れるつもりなんてないくせに・・・・」





私は、私自身の抱える矛盾と許されない行為。
それを噛み締めながら、苦々しく言葉を吐いた。

しかし、私のそのときの言葉に、
たくみの表情が険しくなった。



「彼女とは、絶対に別れない」

「だったら・・・・
  こんなこと繰り返してたら、
  また、同じことが起こっても・・・・・」


「大丈夫だろ、この前みたいに酔った勢いで
  ナマでやっちゃったりしなけりゃ。
  ゴムだって間違った使い方さえしなければ、
  ほぼ100%避妊できるし」


「なにそれ。本気で言ってるの?」

「本気も何も、事実だし」



私は次に出そうとした言葉を飲み込んだ。
今の私の立場から、偉そうなことは何も言えるはずはない。

このときたくみに詰問するような言葉を投げかけたのは、
私が、きっと・・・・
自分の胸に抱えていた矛盾と罪悪感に絶えられなくなったからだったんだろう。


たくみに彼女がいるのはわかってる・・・・
自分の生活がうまくいってないからって、

わかってる。

どうせたくみはかわいい彼女にはできない、
多少刺激の強いのSEXを私相手にしてるだけだって、
そんなこともとっくにわかってる。

自分が、自らを惨めな立場に追い込んでいることも、もう気がついてる。





一緒に背負ってほしい。

そんな馬鹿なことを考えていた。




でも、たくみは。

罪の意識を抱くより先に・・・・
うまく説明できないんだけど・・・・
自分の立場を安全な位置に置きたがるんだね・・・・









私のことなんて、置いてきぼりにして。









そのときから、たくみの存在が私にとって、
徐々に息苦しいものに変わっていった。


たくみの登録されてるPCのメッセンジャーも立ち上げなくなり、
彼から来たメールもほとんど返信しなくなった。

そしてようやく、自然消滅するように、
お互いの間にあった過ちを、過去のものにした・・・・。







それからそれなりの月日がたって、
少しだけたくみとメールかメッセンジャーかでやり取りをする機会があった。



「仕事、やめるの?」

「うん、例の持病の再発がとまらなくてね・・・・
  これ以上再発が繰り返されると、薬使わなきゃならないんだけど、
  それを使うと、子供を生むときにかなり気をつけなきゃならなくなる。
  それはいやだから・・・・
  フルタイムの仕事をするのは、ちょっとやめておこうかなと。」


「それ、仕事をしない言い訳になるの?」

「・・・・・・・・・・・・」




何で私、たくみからの仕事の誘いを受けちゃったんだろうね。

馬鹿だな、私(笑)。





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Last updated  Aug 14, 2008 11:51:14 PM
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