ドイツにて、あれもこれも
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「君の香りに、僕はいつでも春を思うよ」。湯浴み後そのままの私をベッドに迎え入れてドラちゃんは言う。このまま何ヶ月でも冬眠してしまいたい私にすら、春を見てくれるドラちゃんに感謝する。6ヶ月のフルタイム企業研修がようやく終わった。渡独して2年半、走り続けてきたように思う。ドイツ語を習い、大学へ戻り、そのためドラちゃんと離れミュンヘンへ移り、遠距離婚をしながら教会式を挙げ、直後にドラちゃんの街へ戻りまだまだ覚束ないドイツ語で働いた。私のなかにあるものをすべて使い尽くしてしまったような疲労感で、そのまま一週間眠った。目覚めてみれば春の気配だ。明けようが暮れようがただただ暗い中、京都へ帰りたいとそればかり願いながら通勤電車に立ち尽くしていた冬の日々から、確実に時間はそこに刻まれていた。刻まれた時間のうちに、友人たちは子を産み、あるいは結婚し、転職をして別の街へと引越し、ドラちゃんは少し出世をし、同級生の何人かは卒業準備を終え、そうして私は何ができたのだろうかと問う。語る言葉を取り戻しつつあるように感じる今、また走り出してしまう前に私自身に問うてみる。深く深く、呼吸をしてみる。
Feb 28, 2008
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