ひよっこ血液内科医の独り言
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年年歳歳花相似たり 歳歳年年人同じからず 今年も桜が咲いた。 見慣れた美しい景色は毎年同じように見えて、でも去年とはどこか違う。 花は同じように咲くけれど、人や人を取り巻く環境は全く同じではないのだ。 4月は始まり、そして変化の季節。 変化は時として別れの形を取り、一抹の寂しさを伴う。 そしてちょうど桜の儚い美しさと相まってしばしば私たちを感傷的にする。 よく言われるように、日本人は桜に対して特別な思い入れを持っている。 毎年桜前線の到来は大きなニュースであり、人々は花見に出かけては、散るのを惜しむ。 「世の中にたえて桜のなかりせば春の心はのどけからまし」という古歌にもあるように、美しさの絶頂で散る花として、桜は時に我々の心を乱し、感情を高ぶらせてきた。 言ってみれば刹那の美の象徴であり、そのあまりにも潔い散り際は日本人にある種のカタルシスさえもたらす。 そしてこのカタルシスを経て我々は変化を受け入れ、消化し、乗り越えてきたのかもしれない。 その意味で桜は、極めて日本的な花である。 花を落とした桜が青々とした若葉をつける時には、また前を向いて自分の道を進んで行けるように。 満開の桜にさまざまなことを思い出しながら、ひとときのあはれに思いを馳せた。
2016年04月03日
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