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みなさん、こんにちは。
池袋で自家用車を暴走させた上、母子をひき殺した飯塚幸三容疑者が、書類送検されることになりました。今回はこの話についてです。
まず、逮捕されなかったことについて「上級国民だから」という声が聞かれますが、これは間違いです。逮捕される要件は、逃亡や証拠隠滅のおそれがあることが必要で、事故後に入院し、事故車両も警察の手に渡っていた飯塚容疑者に関しては、逮捕の必要がなかったから、逮捕されなかったのです。むしろ一般人に対して、逮捕勾留が濫用されているのではないかということのほうを疑ったほうがいいです。ちなみに京都アニメ放火事件の青葉慎二容疑者も、瀕死の火傷を負って入院中のため、逮捕されておりません(警察は「逮捕状を請求する」とは表明していますが)。
しかも、逮捕されていないから無罪になるとか、書類送検されただけで終わるなどということはありません。犯罪者を裁く手順というのは、まず警察が捜査を行い、それによって収集された証拠の「書類」を「検」察に「送」致します。これが「書類送検」です。
書類を受け取った検察は、その内容を精査して、裁判所に起訴するか否かを判断します。嫌疑や証拠が不十分であれば「不起訴」となって、この段階で無罪となります。一方で、起訴された場合は裁判となり、裁判所の判決によって、無罪か有罪が決まります。ですから飯塚容疑者の場合、現段階では無罪になったわけでも、書類送検で済んだわけでもありません。
では、起訴される可能性について、考えてみましょう。結果が重大であったことや、容疑が「自動車運転過失致死傷罪」であること、状況及び物的証拠の確かさから、不起訴になることはまず無いと思います。
起訴された後は、裁判に任せるしかありませんが、主治医から運転をやめるように言われていたこと、事故後も自分のミスを認めなかったことなどから、同容疑の最高刑である「禁固7年」に近い求刑があるのではないかと思います。もし「7年」で確定すれば、容疑者の年齢から考えると、事実上の「終身禁固」に相当するでしょう。
裁判の行方がどうなるかはわかりませんが、テレビ局の取材に答えたコメントは、裁判官の心証を悪くするものではないかと思います(僕も元設計者として、怒りがこみ上げてきます)。
曰く、「安全なクルマを開発するように、メーカーのかたに心がけていただき、高齢者が安心して運転できるような、外出できるような世の中になって欲しいと願っています」
飯塚容疑者が事故を起こしたクルマはトヨタの20型プリウス('11年12月で販売終了)で、まだ衝突安全ブレーキは付いていない時代のモデルです。しかし、事故が起こった'19年4月には、プリウスは「50型」にモデルチェンジ(@'15年12月)されており、このモデルには、「トヨタ セーフティセンス」という最新鋭の衝突安全ブレーキが装備されています。
それがこの事故で正しく作動したかどうかは置いておきますが、少なくともメーカーの技術者は「安全なクルマを開発するように」日夜努力をしており、すでにそのような装置を商品化しています。飯塚容疑者の地位から言えば、300万円程度のクルマを買い換えることなどわけないでしょう。4年前にはすでに、より安全なクルマに買い換えるという選択肢が用意されていたにもかかわらず、それをすることなく件のコメントをしているのですから、無責任極まりないと言うほかにありません。