太田典生の「毎朝1話」良い話のおすそ分け

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2014.07.24
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昔は、心臓が止まれば死ぬわけで非常に簡単でした。
だから、医学的な死の定義を法律で決める必要もありませんでした。
脈が無くなったり、瞳孔が開いたりといった変化を見て、人間が死を判断していました。
それが、医学の進歩につれて、人間の都合で死を判断するようになり、機械が科学的に判断するようになるとともに死の枠がすごく広くなってきました。

死の時間の前倒しが、今話題になっている臓器移植の問題です。
心臓や肝臓などを移植するためには、心臓死を待っていては遅く、「脳死」を死としなければなりません。
そのために、脳死を医学的には死と認める法律を作ることで、死ぬ時期を早める必要がおきました。

逆に、死の時間軸を遅らせるのが延命治療です。
でも、助かる見込みのない延命処置が、果たして治療なのでしょうか。

医療の世界では、延命治療はドル箱といわれているそうです。 
例えば、肝硬変で食道静脈瘤が破裂して入院し、15日後に亡くなった70歳の人の場合、治療費316万円の内訳は手術費14%、中心静脈注射42%(約日9万円)だが、治る見込みのない人に注射は意味があるのでしょうか?

肺に移転したガンの状態を調べるために、毎日、気管支ファイバースコープ検査をされた80代の人は、入院2週間後に亡くなられたが、このもの凄く苦しい検査をする意味など全く無意味だと思います。
最後の2週間ほどを、苦しい目にあったり、無意味な治療を受けたり、菅を付けて意識もなく生きることに何の意味があるのでしょうか。
私は、そんな死に際を迎えたくありません。

・病気の完治ではない延命治療を希望しない 本人の場合 81%
・家族の場合 希望する 33% 希望しない  51%
本人は大部分が延命治療を希望しないと答えているのに、家族の希望比率が高いのは悔いを残さないためとか、周りの人に悪く思われたくないという意識が働くからと思われます。

奥さんを亡くされた方のこんな例があります。
奥さんの姉弟妹たちが相談した結果、一致して延命治療を希望する、ということでした。
びっくりして、祐子自身が「遺言書にかえて」の中で明言している希望を無視して、それと反対のことをしようというのか、と尋ねましたが、それに対する答えは、「実際に血を分けた肉親としては、1日でも1時間でも長く生きていてほしいと願うのは当然だ。それに、この文書は正規の遺言書ではなく、本当に祐子の意思を伝えているとは言えない」というものでした。


意識を回復できる望みがまったくなく、体のあちこちにいろいろなパイプや電線や機械をつながれた病院のベッドで、ただ呼吸をしているだけという植物人間の状態を、半年も、いや、1週間にせよ、続けさせることは、彼女の尊厳にもかかわることであり、耐え難いという思いだったのです。
死去が速かったため、結果として、彼女の姉弟妹たちと私との間で、延命治療をめぐる争いが長く続くことはなかったものの、この問題はあとをひきました。

彼女の死後、妹と電話で会話を交わした際に「あなたは、祐子ちゃんの生存に必要な治療さえ拒否したような人なんですから」と言われて、愕然としました。
もう、反論する気もなく、「ああ、そうですか。そんな風にお考えなんですか」とだけ言って電話を切りました。
彼女の姉弟妹たちへの遺産相続も、法の規定どおりに行ない、配分も終わりましたので、もう、これ以上、お付き合いをすることはお断りしたい気持ちです。


哀しいことだが、こんなトラブルも抱えなければならないのが現在の死に際です。  





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Last updated  2014.07.24 05:25:38
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