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SAROMAN BLUE 鈴木健司
10サロマ湖100kmマラソン完走記~第2章~
そして25キロ過ぎのエイドを迎えた。
ここではバナナを一切れくわえて、被り水をしっかり使って冷や
氷が出てきたのでバンダナの後ろに挟んで走り出した。
『ん~!快適!』溶け出す氷が首筋からカラダを冷やす。
再び長い直線コースになると、曲がったところに30キロだ。
手前にスペシャルドリンクなどのエイドがある。
あまり距離を気にせず、黙々と走り続けた。
ようやく左に曲がるランナーの姿が遠くに見えてきたので、エイドが近づいてきたを感じた。
ちょうどそこへやって来たのは恭子さん!
有美さんと同級生の恭子さんも速い。昨年は12時間前半だ。
そして一緒にスペシャルドリンクコーナーへ!
ナンバー順に並んでいるが、自分で探さなくてはならない。
恭子さんは見つからず通り過ぎてしまった!(笑)
いやいや焦らないでいきましょう!
一緒に縁石の上にシェイカーを並べて
ショッツワイルドビーンを2つと
フィードバックプロテインを1本入れる。
そしてエイドで水を貰い、ひたすらシェイク&シェイク!
初のダブルワイルドビーンは旨かった!
いつもよりも濃厚なコーヒー味が、ガツン!ときた!
これは次の63キロが待ち遠しい。
エイドでも固形物を摂り、パワーアップ!
まだまだ美味しく食べることができている。
この先変わらない単調な道を、いかにキープできるかがポイントだ。
そして30キロ。
30キロ 3時間13分43秒 36分30秒
スペシャルドリンク作成とエイド補給で約3分は使っていると考え、実質33分30秒と言う計算。
決してペースが大きく崩れてはいないのだ。
また貯金は約16分ある。
この暑さからエイドでの休憩を増やさざるを得ない状況だ。
十分な貯金が貯まっている。
30キロを過ぎて、再びコースは太陽に向かって走る。
すでに陽射しは上からになってきている。
ジリジリと照りつける太陽との我慢比べが始まった。
32.5キロの被り水をまた利用し走り出す。
エイドまではもうまもなくだ。
35キロのラップをまた35分以内に収めたいがうまくいくだろうか?
35キロ以降は徐々にアップダウンが出てくるので
この30~35キロではしっかりとペースを維持したいと考える。
エイドに到着すると、スイカにスポーツドリンクに
やはり最後は被り水!と時間を掛ける。
立ち止まってストレッチなどは脚の状態からしてまだ大丈夫。
程なくエイドを離れることができた。
そして突き当たりの森を右折し、少し涼しい日陰を進む。
まもなく国道238号線に合流。
そして35キロとなる。
35キロ 3時間48分21秒 34分38秒
ここはイメージ通り!無理してエイドを切り上げたり
ペースを上げずにしっかりと戻すことができた。
これは大きな貯金だ。
そしてずっと行きたかったけど、忘れていたトイレ・・・。
スタート前に済ませ約4時間。そろそろかな?
35キロ過ぎてトイレがある。
3つ仮設が並んでいて、下り坂からバッチリ見える位置だ。
並んでいるランナーは2人。トイレから出てくるランナーが2人!
これはラッキーか?と思ったのが50メートル手前。
僕の前を走るランナーも、その様子を見ている訳で・・・
僕が横を通過する時には5人の列ができた。
こりゃパスだな。
走りに集中していれば、トイレは近くならない!
もちろんカフェイン入りのショッツワイルドビーンが効いているに違いない!
トイレを見送り、坂道を登る。
この坂は決して急ではないが、今年は歩いている人が多いのにビックリ!
それだけ皆消耗しているのだろう。
登り切ると芭露の町まで緩やかに下る。
回りには牧場が広がり、入口には石灰消毒の粉が撒いてある。
この先は、日陰になるところはない。
もちろんこれまでもないのだが、時間帯の関係や
風が抜ける状況にはなりにくいので、更に暑くなるところだ。
芭露の町が近づいてくると応援も一際大きくなる。
手を挙げて応える。おじいちゃんおばあちゃんに小さな赤ちゃんまで、暑いなかありがとう!
そしてトイレタイム!と思った時に『406○』の女性に声を掛けて頂いた。
(ナンバーちゃんと覚えてますよ!)
『サロマンブルーの方ですか?すごいですね!あの~・・・。』
と言うところで予定のトイレが来てしまった!
『あ~!ごめんなさい!トイレで~!』
何か聞きたそうだったのに・・・大丈夫だったかな?(苦笑)
トイレでは小を済ませ、水道で下半身を濡らす。
この100メートルも行けばエイドとなる。
40キロも目の前だ!
芭露のエイドに到着すると
まずはスイカ!バナナ!最後に被り水!
次のエイドは月見が浜を抜けて被り水。
それから45キロ手前となるので、補給はしっかりした。
もちろんフラスクにあるショッツも注入する。
40キロに向けてスタートすると、橋がありここでは車が片側相互通行でランナーを通してくれる。
40キロ 4時間25分45秒 37分23秒
トイレと補給で37分台ならば問題ない。
貯金も15分と快調な前半だ。
しかしこの後、45キロ過ぎからの丘陵越えがジワジワと体力を奪う。
サロマ湖は平坦だと言うが、この丘陵があるのでまるっきり平坦だとは言えない。
平坦が多い割には、サロマ湖なりの難しさがある。
それは気候と制限時間だ。
特に今年は暑かった!
最高気温32℃。
僕もクリニックで暑くなれば30℃、寒いと10℃と話しているが
さすがにここまで上がるとは想像しなかった。
丘陵越えが始まると言うことは、風がなくなると言うことだ。
よってこの45キロからが暑さのピークになる。
そんな不安を頭に浮かべながら、42キロの月見ヶ浜に向かった。
国道を離れ側道に入る。
昔は舗装もされていない砂利道だった。
雨の時は水溜まりだらけ。足元はグチャグチャだった。
今はしっかりと整備され、歩道と車道が分かれている。
左にはサロマ湖が広がり、海かと思えるほど広く見えた。
42キロの横断幕に迎えられ、通過。
42.195キロ 4時間40分52秒
こんなタイムは久しぶりだ!
今のところ脚の状態も悪くない。
今はちょっと場所がズレてしまったモニュメントを記念撮影。
しばらく進むと写真撮影ポイントがあり、カメラマンが車の上から狙っている。
どんな写真かな?(今回は注文せず)
まもなく国道に戻る。そこには被り水がある!
ちょうど給水車が回ってきていて、冷たい水をバンダナを外し、思いっきり掛けた。
特に頭から首筋に滴る冷水は気持ち良かった!
ちょうどお客さんとも遭遇し、『やっと追い付いた!』の声が響いていた。
『前へ前へ行っちゃってください!』
これから先の暑さに耐えられるか不安だった。
氷もゲットし、バンダナに挟んでスタート!
45キロまでの間は、サロマ湖沿いを走るが、昨年とは違い、サロマンブルーの姿を見せてくれた。
程なく45キロエイドに到着。
ここでは補給よりも、冷却!
気持ちがいいので、何度も浴びてしまう!
キリがないと思いつつも、何度もバンダナを濡らしては、脚を冷やした。
そして45キロを迎える。
45キロ 5時間06分13秒 40分28秒
休んだなあ。と言うタイム。
これは仕方ない。休憩を省いて速く走っては、最後までもたない。
ここでもまた、50キロのラップが35分プラス休憩で持ち直せば、問題ないと切り替えた。
45キロ過ぎからの丘陵地帯を抜け、50キロ手前に被り水。
そして次のエイドはほぼ52キロ地点になる。
と言うことは、実質7キロを被り水だけで走らなくてはならない。
ポーチの中身を最大限に発揮するポイントだ!
緩やかにカーブを繰り返しながら、勾配がきつくなってくる。
しかし歩く登りではない。
リズム良く、脚を運び登る。
1つ目の丘は湧別町と佐呂間町の町境にある。その近くのバス停は『町境』だった(笑)。
ゆっくりと下りに向かい、右にカーブを切ると、50キロへ向けての直線道路。
あの坂を登ればサロマ湖が見える!
手前に被り水!たくさんのランナーで混雑していた。
人の隙間から、バンダナを浸した。
そして50キロへ向かう!
50キロ 5時間43分46秒 37分33秒
戻ってきたな。登り下りも含めてうまくまとめられた。
しかし暑っい!この登りは長いので、歩きながら休憩を挟む。
すると後ろからチームへろへろのりきさんが登場した!
りきさんは11時間30分くらいで走る実力の持ち主!
しかし今回はかなり自重している様子。
暑いサロマ湖を僕と同様に落としているので、今年は慎重に成らざるを得ないはずだ。
こちらも歩きっぱなしにはいかないので、そろそろ!と思った瞬間に異変が起きた!
なんと痙攣だ!部位は内転筋!
走り出そうにも、ピクピクいって脚を真っ直ぐ振り出せない。
またか~!
昨年のサロマ湖を思い出した。
この先の52キロ付近で右ふくらはぎ痙攣。
なんとか持ち直したが、今年はタチが悪そうだ・・・。
まずは負担が掛からないように歩く!
歩幅が広がるだけで、ピクッとするので、まずはちょこまかちょこまか歩く!
下りになればなんとかなると思い、51キロまで進むと10分掛かっていた!
あやや~!50キロまでの貯金はなくなるな・・・。
逆にここを50分で行ったら、非常にマズイ!
70キロ・80キロの関門が危うい!
なんとかしないと!(焦)
しかし下りになっても一向にピクピク感がなくならない。
一応走ってはいるが、長くは続かないし、立ち止まってしまう。
そして何度もストレッチをする。
なんとか坂下にあるエイドに辿り着かないと!
様子を見ながら歩いたり、走ったりしてなんとか到着した。
50キロからがとても長かった!
ようやく到着したエイドでは、まずバケツに向かう。
バンダナを濡らし、タイツを濡らし、ソックスにもたっぷり水を掛けた。
固形物はいつもより摂っていたが、ここでもバナナとレモンにかじりついた!
そして、やや右足のシューズに圧迫感が気になったので、イスに座り靴紐を少し緩めた。
暑さでミネラル不足が原因か?
塩熱サプリなども摂っていたが、痙攣してしまった。
いつもよりも脚が浮腫む感じがあるのも、やはり暑さの影響があるのだろう。
座った状態で、内転筋とスネをマッサージする。
スネから足の甲のスジを通り親指まで、ビビッとくる!
思わず『ウッ!』っと声を出してしまうので、立ち上がり、イスを使いストレッチした。
この先あと3キロで55キロ手前のグランディアに到着する。
コース的には平坦が1キロ続き、その後一山越えて、また登り始める。
休んだ分は走らなくては!
まずは平坦でどのくらいのペースまで回復しているか確認。
その後の登りは様子を見る作戦でスタートした。
なんとか吊らずにに走り出すものの、52キロを過ぎてすぐの所でまた立ち止まってしまう。
特に右脚のスネから親指にかけてがつってしまい、脚を真っ直ぐ出そうにも、捻れている感じだ。
違和感を持ちながらも着地していくと、徐々に元の状態に戻りつつある。
右脚には負担を掛けないように、重心は左に寄っていたと思う。
バランスが崩れながらも、負担の掛からないところを見つけて進んだ。
53キロからの登りも様子を見ながら走る。
距離的には少しの山越えなので、我慢のしどころだ。
下ってすぐにまた緩やかに登り出す。
前方にグランディアの建物が見えてきた。
この50キロ付近で昨年僕に四つ葉のクローバーをくれた湧別中学校のE先生とお会いできた。
こちらにも余裕がなかったので、ちゃんとご挨拶できなくてごめんなさい。
ナンバーでわかりました。
グランディアに向けても、僕と先生は前後する。
先行してエイドに到着すると、沿道から『E先生は頑張って~!』と声援が飛んだ。
グランディア到着時間は6時間23分?
昨年よりは早い。しかし脚の状態は悪い。
出発時間を6時間35分に設定。
トイレは55キロまで登った先の仮設で済ませようと決めた。
預けていた荷物は、以下の通り。
XFIT長袖・アームウォーマー・ファイントラック・フラスク(ショッツワイルドビーン3本入り)・ベスパEX80・ベスパハイパー・OS1ゼリーだ。
ウエアに関しては、この暑さから変えずに行くと途中で決めていた。
汗の掻き過ぎに寄る脱水は気を付けたい。
このままのペースだと、ワッカも含めて歩いている時間はないので、汗を掻き続けると考えた。
ポイントにしたのは補給だ!
到着時、ご飯などの固形物は避けたい感じだったので、バナナだけ摂る。
そして今回は後半用と思って用意したベスパをとにかく効いて欲しい思いで、2つ共摂取した。
フラスクをポーチの前半分と入れ替える。
冷水のプールの脇で、準備を整え
トランジッションバックから最後にOS1ゼリーを取り出し預けた。
そして冷水を下半身に掛け、スタートしようとしたが
水分を飲んでいなかったので、スポーツドリンクを飲んでからスタートした。
手に持ったOS1ゼリーは、脱水症状対策にお客さんからご紹介頂いた。
スポーツルートでは販売しておらず、ドラッグストアで購入した。
スタート時間は予定の6時間35分で行けた。
まずは坂道をゆっくり歩いて、緩やかになってから55キロ、そしてトイレへと流れた。
55キロ 6時間37分53秒 54分06秒
ラップタイム54分台。これは仕方ない。
50キロ過ぎの痙攣と着替えエイドでの休憩。
プラスになる為の休憩だ。
まずはトイレを済ませ、コースに復帰する。
これからの制限時間を考えると、余裕はない。
計画通りキロ8分の40分で進むことがベストだろう。
目立った登りはない。
緩やかに下りながら56キロを過ぎ
緩やかな坂の先に57.5キロの被り水を確認する。
しかし、ここの被り水はなかった。
前を行くランナーの動きから想像はできたが
やはりないのはキツイ。
昔よりもランナーの数が増え
暑さ対策を準備頂いているが、やはり間に合わないのだ。
これだけ暑ければ、被り水をするランナーも増え、どこのエイドでも足りなくなってしまうのだ。
ないものは仕方ない。
あと2.5キロ進めば、60キロだ。我慢我慢。
キロ表示からペースを確認すると、走っては歩きの繰り返しだが、7分ちょっとで走れている。
さらにトイレのロスの借金を返す形で、5キロ38分の目処はたってきた。
そして58キロを過ぎ下り坂。
再びサロマ湖湖畔の平坦が続く。
先には60キロエイドの白いテントが見える。
まずは60キロ!と意気込むが、裏腹に脚を痙攣が襲う!
スネから指先!真っ直ぐに脚が上がらない。
仕方なくストレッチで休息。
脚をパンパン叩いたり、揉んでみたりするが
前に進みながら様子を見るのが、一番効率が良さそうだ。
ようやく到着した60キロ。
60キロ 7時間16分06秒 38分13秒
このラップまで戻ってくれば、かなり良い!
しかし、被り水がなかったから。
また下りが多かったと理由を考えると、これからが気を抜けない。
60キロのエイドでもゆっくり休みたい。
昨年よりは余裕がないので、キロ8分のラップよりも貯金が欲しい!
70キロ関門閉鎖が8時間45分。
しかし前々から言うように、ギリギリでは75分しか残らないので、80キロが厳しくなる!
70キロは8時間40分以内で抜けなくては、この脚の状態ではキツイ。
まだ70キロ閉鎖まで約90分あるが、エイドに立ち寄っている間に、85分へと短くなった。
まずは進むしかない。
実質80分でクリアしなくてはならない、60キロから70キロ。
55キロから60キロまでのように惰性で走れる場所はほとんどない。
走り出すものの、すぐに始まる登り坂を前に歩いてしまう。
61キロですでに12分。
休憩を加算してもこれ以上は遅れられない。
なんとかキムアネップへ向けての登りをパスし、左折して下りへ。
この先被り水があるはずだが、恐らくないだろう。
エイドが63キロ過ぎにあるので、そこまで頑張ろう!
下り切ってキムアネップ。
ここは対岸の遥か遠くにワッカ原生花園が見える。
遥か88キロの折り返し地点近くの橋が微かに見えるのだ!
そしてサロマ湖からの風が吹いてくる。
少しだけ暑さから解放された。
しかしあの場所まで辿り着けるのか?
確証はなかった。
大きく広がるキムアネップ岬。
近くのユースに宿泊した際に自転車で巡った。
9月には珊瑚が綺麗らしい。時期を変えて来てみたい場所だ。
コースは63キロに差し掛かり、その先にはエイド。
そう!ここにはスペシャルドリンクがある!
到着時間を確認!
歩きが多くなっているので、キロ8分の貯金はない。
まずはスペシャルドリンクで、80キロまでのパワーを補給する。
すると、昨年ラスト1キロで『写真撮りましょうか?』と声を掛けてくれたNさんがやって来た!
『やっと追い付いた~!完走は大丈夫ね!』
『いや~かなりギリギリなので、ここから飛ばしますよ!その前にトイレ!』
この先通称『魔女の森』が控えている。
18年目の僕には魔女の魔法は効かない!
この涼しい魔女森をパスし、一気に70キロまで8分の貯金まで回復させたい計画だ。
この先どこで再び痙攣が起きるかわからないので、絶対に8分が欲しい!
『さあ、行くぞ!』と気合いを入れ直した!
第25回サロマ湖100キロウルトラマラソン完走記~第1章~
第25回サロマ湖100キロウルトラマラソン完走記~第2章~
第25回サロマ湖100キロウルトラマラソン完走記~第3章~
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