「あるがまま」日記

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2015年10月03日
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ハンドルネーム Water2046 の森田神経質の体験談を再掲載します。

これは2003年12月号の発見誌に掲載されたものですので年齢は56歳時点(12年前)になります。

いわゆる神経症・神経質症は、そのままの表現になっていますが、森田神経質と言われるものと同じです。
======ここから========================================
勉強恐怖を乗り越えて学習塾経営へ(前編)

強迫観念との長いつき合い

私の強迫観念はちょっと一風変わっておりまして、読書恐怖あるいは勉強恐怖の一種で、数学(他に英語や理科でもそうですが)に対する不完全理解恐怖とでも言うべきもので、不完全恐怖のひとつとも言えるでしょう。他の神経質症はほぼすべてクリヤーできた後もこれだけはなかなか良くなりませんでした。頭の中ではどうすればいいのかはよく分かっているつもりでしたが、実際には数学の教科書や参考書などを読むとどうしても不完全理解感が起こってくるのでそれをなくそうなくそうとはからってしまうのでした。

また、私のとらわれがちょっとマイナーなものに思われて、他の人に「実はこのようなことに悩んでいます。」ということをなかなか言い出すこともできませんでした。話しても理解してもらえないんではないだろうか、こんな悩みは自分ひとりではないんだろうか、などマイナス思考が頭の中を渦巻くのでした。
しかしこのたび、投稿の機会を与えられ、もう五十台の後半、自分を振り返るいいチャンスではないかと、思い切ってこれまでのことを四つの時期に分けて書いてみることにしました。


第二期 森田を知り、就職するまで
第三期 生活の発見会の会員でありながら何の活動もしなかった十年間
第四期 森田の勉強を再開してから集談会に積極的に参加して現在に至るまで

ただし、紙数の関係で第一期から第三期までは簡単な記述にとどめることとし、主に第四期についてお話していきます。

ところで、あらかじめお願いしておきたいことがあります。これから主に勉強恐怖や「数学に対する不完全理解感」に関する強迫観念(長いので『数学恐怖』と略称します)についてお話するのですが、勉強とか数学とかはちょっと重苦しいテーマです。そこで、勉強とか数学のところを「対人」とか「閉所」「乗り物」など、ご自分のとらわれに置き換えてお読みいただきたいのです。そうすれば、重苦しさも幾分は軽減されるのではないかと考えています。なるべく置き換えても話が通じるように努力して書いてみましょう。

第一期 神経質症に苦しむ
私は岐阜県在住、五六歳、小さな学習塾を経営、五人家族です。一九四六年(昭和二十一年)十一月、九州は福岡県飯塚市で長男として生まれました。子どものころから執着性が強く心配性、さらに完全欲が強いといった神経質性格を持っていたようです。

強迫観念のきっかけは一九六三年(昭和三十八年)、高校一年の冬に数学の勉強をしていたある日のことです。そのとき、たった今勉強して理解したと思っていたところをどうも完全には理解していないのではないかという観念にとらわれました。それまではそういうことは全くなかったので非常に不安になりました。これはいけないというわけで,そこのところをもう一度勉強して次へ進もうとしたのですが、するとまた先ほどの観念が起こってきてどうもまだ理解していないのじゃないかという気持ちになるのです。次第に心が苦しくてたまらなくなるので何とか分かったという気になろうとして、同じ所を何回も何回も堂堂巡りをするようになりました。

そのうちに、英語だとか物理にもとらわれるようになりましたが、特に数学の本を読むときにひどく、一晩かかっても一ページはおろか一行も先に進めないということがよくありました。これらは実は私の好きな科目でしたので、当時はどうして好きな科目に不完全理解感が噴き出してとらわれてしまうのか分かりませんでした。分かったのは、後年、森田を勉強してからのことです。

こうして、とらわれはだんだんひどく、しかもいろんな方向に広がっていきました。勉強恐怖・読書恐怖のほかに、詮索癖・不完全恐怖(戸締りやガス栓など)・雑念恐怖・祈念恐怖(むしろ祈念癖とでも言ったほうがいいでしょうか)・不潔恐怖・疾病恐怖・精神病恐怖などの強迫観念にとらわれ、そのために生活がひどく後退し、集中力が極端に低下、身体的にも慢性的な便秘、食欲不振、不眠などに悩まされてきました。

生活の後退とともに、学校の成績もどんどん下がっていきましたが、さすがにこれは何とかしなくてはいけないという気持ちも起こってきました。そしてご多分にもれず、誤った行動に走ってしまうわけですが、具体的に一、二、申し上げますと、不完全理解感が起こるのは言葉の勉強が足りないせいだと考え、日本語に関する本とか哲学の本をせっせと買い込んできては学校の勉強そっちのけで読みふけってしまいました。ところが結果は頭を混乱させるだけで何の役にも立ちませんでした。



大学入学後は名古屋に下宿しましたが、下宿生活の気ままさのせいもあり、生活はさらにいっそう後退し、ついには昼夜逆転の生活が続くようになり、下宿に引きこもる日々が多くなりました。自分の不勉強が人にわかるのではないかと思うようになって人の目が怖くなったり、学友がどんどん勉強を進めていく姿を見るのがつらくなったりしたからです。そして実際に本を読んでいくという努力もしないで、自分はこんなに理解ができないのに他の人はどうしてああもやすやすと理解できるのだろうと嫉妬したり、こんなことも理解できないとは自分が情けないと思って机で頭をかかえる日々でした。このような状態が高校一年の終わりごろから大学四年の終わりごろまで六年間続きました。

第二期 森田を知り就職できた
一九六九年(昭和四十四年)の三月、本来なら大学を卒業する月ですが、留年することにして社会に出て行くことを一年先延ばしにしてしまいました。このような状態ではとても社会人になる自信がなかったのです。
そんなある日、下宿近くの本屋さんで全く偶然に森田療法の本に出会ったわけです。最初に手にとったのは「自覚と悟りへの道」(ノイローゼに悩む人々のために)でした。勉強の本はちっとも進みませんでしたが森田の本は一晩で何冊も読めました。

こうして森田に出会って非常に心が軽快になり、一時期勉強もはかどるようになりましたが、そこは独学の悲しさ、またまた以前の状態に引きずり戻されるようになってしまいました。


啓心会日曜集談会には四回出席させていただきましたが、集談会との最初の出会いであり、さまざまな助言・激励を受け大変心が軽快になることができたこの会での様子のことはいずれまた別の形で投稿できたらと考えています。
このように啓心会日曜集談会から元気をいただいたおかげで、ようやく社会に出て行く自信を得ることができるようになりました。

第三期 森田について不活動の十年間
かろうじて大学を卒業、長野県の精密機器製造会社に就職しました。とらわれはありましたけれども数学とか物理とか英語といったような私を苦しめた対象がなくなって、学生の頃に比べればかなり気持は楽でした。というのは、自分の専攻(理学部物理学科)と全く異なる職場に配属されたからです。ほっとしたというのが正直なところです。ちょっと情けないですが。

しかし、就職してからの十年間は森田についてはまったくの不活動の時期でした。恐怖の対象がなくなってしまったため発見誌も読まず、あれだけ一生懸命通った啓心会日曜集談会にも出席せず、集談会のなかった山梨県に集談会を作ろうということも思いつきませんでした。(一時期、長野県から山梨県に転勤していました。)

また、妻にも森田と発見会のことは十分に説明しておらず、そのために会に出席できにくかったという記憶もあります。私の経験から言いますと、家族にはなるべく早く話すほうがよい結果をもたらすようです。

たしかにこの十年間は森田に対して不活動で、私はよく第二のトンネルと言っていました。しかしよくよく振り返ってみるとこの十年間に、結婚し、三人の子どもを授かり、引越し五回、転職を含む転勤六回と、まさにそれまででいちばんの激動の時期であったことがわかり、今では自分もよくがんばってきたなあと、自分を認める気持ちになっています。

一九七九年(昭和五十四年)に長野県の会社を退職して、三重県桑名市の小さな会社に再就職しました。ところが、前とは全く異なる職場環境のために、強い適応不安を起こし、人間関係の上でも内外で衝突や摩擦を起こしました。仕事は思いのほかきつく、いつも帰宅が午後九時十時となってしまうのです。私は将来に不安を感じ、郷里で学習塾を開こうとひそかに考えるようになりました。
======ここまで======================================
以下、10月4日の日記の続きます。
作成日: 2015年10月4日(日)





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最終更新日  2015年10月04日 09時02分07秒
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