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■『浄火』仕込み。朝六時半に起きて堺へ。初めての劇場でいろいろと戸惑う部分がある。場当たり後、通し稽古をしたのだが、ミス連発。揚げ句の果てには一瞬セリフが出てこなかった。ちょっとの差なんだけれどもその差が思いもよらない形で表面化してくる。今日通し稽古でミスをしておいてよかったというのが正直なところ。 劇場を出てから、本番に向かって鋭気を養うために石橋とともに新世界の串カツ屋へ。ジャンジャン横丁というところに初めて足を踏み入れた。なかなかに面白いところだった。
Nov 24, 2006
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■本日最後の稽古。休日ということもあり、昼から稽古。ただ、ボクは工藤さんと舞台監督のサコさん、前田さんとともに積込みで膳所へ。舞台美術家、今井弘さんご用達のタタキ場。膳所に来るのは太陽族公演の『虎☆ハリマオ』に出させていただいて以来だろうか。それ以降、一、二度来たかもしれないが。 工藤さん運転の車に乗せていただき、山本忠さん経営のお好み焼き屋で昼食の後、S-paceへ。二階の稽古場では、昼は岩崎さんが演出されている『カプチーノの味』、夜は深津さんのDIVE演技・演出ワークショップの稽古をやっていた。関川いわく「濃いぃ日です」とのこと。 今日もいい感じで稽古をすることができた。宣伝文句じゃなくってね。あとは劇場に行ってから、稽古場でやった作業を再現できるかといったところか。 稽古終了後、原、橋本、石橋と呑みに行く。四人だけで呑んだのは本当に記憶にない。呑んで芝居の話をするのは正直好きではないのだけれども、この日ばかりはいろいろと今回の芝居の話をして、珍しくも楽しい飲み会だった。 堺近辺に在住の方もそうでない方も土曜日一回こっきりの本番ですが見にきてやってください。
Nov 23, 2006
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■『浄火』稽古ものこり二日。今日の稽古で自分の中で役の雰囲気がつかめた感じがする。もの凄く遅いんだけれども。いつも思うのだけれども、演出の満足するラインと役者の満足するラインは異なる。演出は、言葉は悪いが「みてくれ」を気にする。それが思い通りであればそのシーンは「よし」となる。戯曲の新たな解釈や、今まで稽古してきたことを元に新たな演出プランがふって沸いてこない限り。演出家が舞台に立てない以上、その問題はついて回る。その上で、役者が自分の思い以上の何かを出してくれれば、それをいかにありがたがり、楽しむか、だ。 ところが、役者はそうじゃない。「みてくれ」以外のところを極端に気にする。いくら演出家が「出来てるよ」と言っても、自分自身納得できない「何か」が常にそこにある。猜疑心の塊となって「本当は出来ていないのに、演出家は妥協して言っているのではないか」と考えてしまう。かといって役者というヤツはプライドの塊だから演出家に対して「ダメ出しないですか?」なんてことは聞かない(聞く人もいるんだろうけれど、それもまた役者のプライドの裏返し)。 要は演出家の要請と、自分自身の満足の折衷点をいかに稽古を重ねる中で見いだすか、というところに尽きる。「自分が出来ているはずがない」と常に思い続けるのが役者の心理であり、その出来なさを演出家に指摘してもらうことによって修正が可能になる。演出家は役者に対してそのための言葉も持たなければいけない。なんとも面倒くさいことだ。■『ザ・ワールド・イズ・マイン』(新井英樹著)の第五巻を読む。本書のことを数日前のブログで「この作品は新井英樹にとって、永井豪にとっての『デビルマン』と同じような作品ではないか」と書いた。・・・なんと『デビルマン』だった・・・。自分自身の嗅覚を少し自慢したくなった。トシモンの事件のせいで日本の国際的信用がなくなるという描写があったのでもしや・・・と思ったのだが。そうきたか・・・というところだ。
Nov 22, 2006
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■『浄火』稽古も佳境に。いちびり一家の阪上くんも合流し、ようやくキャストが全員揃った。とはいえ、本番まであと三日しか稽古がない。まだまだ遊ぶ余地はあるので、楽しんでいくつもり。昨日十二分に呑んだので、今日は稽古終了後、印度屋のカレーを数人で食べに行っておとなしく帰る。それで終わり。
Nov 21, 2006
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■昨日の稽古から帰宅後、なんの話の流れからか、石橋と南河内万歳一座『夏休み』のビデオを観る。震災をモチーフとして扱い、火事場泥棒としての盗賊団、不在の父、千夜一夜の物語、なくなっていく記憶、様々な物語が重層的に語られる。改めて内藤さんの描く物語の面白さとセリフの奥行きに驚かされる。■賢司さんのブログを読んで、ボクが重松清の『ナイフ』に収録されている『エビスくん』で泣いた理由がわかったような気がする。あの主人公とエビスくんの関係は、周りからは一方的ないじめにしか見えない。ただ、あくまで一対一の関係である。エビスくんがいびつなコミュニケーションの取り方しかできなかっただけ(美化されているような気がしないでもない。あくまでも憂さ晴らしであったのではないかという見方もできる)。 この一対一の関係が他の四編とは明らかに違う。他の四編では一対他の関係で「ゲーム」として表現されている。だからこそ『エビスくん』における二人の関係は特殊でありえるのだろう。そしてラストシーンで涙してしまったボクがいる。まぁ、今ボクが橋本と石橋と一緒の現場にいることができるという状況下にあるということも加味されているんだろうけれども。
Nov 20, 2006
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■本日は『浄火』の昼稽古の為、滋賀の稽古はお休みさせていただく。照明の徳田さんが来られたので、いるメンバーで通しをする。ボクは孫さんの役を代役させていただいた。演出助手なのに、立ち位置を把握していなくって戸惑うばかり。 そういえば、昨日の滋賀の稽古でも代役をさせてもらった。しかも歌まで歌っちゃった。子どもたちに、 「本当の演技とはどういうものか、よく見ておくように」 なんて冗談交じりに言ったために、極度の緊張状態に陥り、歌をはずすはずす。客席では失笑であふれ返り、袖にいる子どもたちは「暖かく見守ろう」という空気に包まれてしまった。揚げ句の果てに、子どもたちから 「ここで、この小道具持ってはけんねんで」 とこっそり教えられる始末。自分が演出したシーンだからわかっているのだけれど、その子には小声で「ありがとう」と言っておいた・・・ような気がするが、よく覚えていない。
Nov 19, 2006
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■『ルカ追送』終わりの岩崎さんが『フロタキコ』稽古に合流。今までやってきたシーンを通して観ていただく。その上で細かな変更および手直し。稽古後、打ち合わせがあったのだが、ボクは『浄火』稽古があるため、野江にあるS-paceへ。■三枝さんから借りた『真説ワールド・イズ・マイン』(新井英樹著)1、2巻を読む。マンガの場合、作家の絵を受け入れることができるかどうかが入り口になる。当初スピリッツで連載されていたはずだが、ボクは絵が受け入れられなくって読むことはなかった・・・が、読んでみてビックリした。他の作品は読んでいないが、作者の最高傑作ではないだろうか。永井明にとっての『デビルマン』のように、これ以上のものを創ることはできないのではないか。極太く短くという感じ。途切れることなく、最高潮に引っ張り続けられたテンション。新たな登場人物が現れても、それがさらにテンションを強める。三巻以降どのように展開していくのか、物すごく楽しみ。ダレていないことを祈るのみ。一気に新井英樹のファンになってしまった。 あえて内容には触れないが、特に小学校が襲撃されるシーンは圧巻だった。このシーンに対して是も非も唱えられない自分がいる。マンガの「凄み」を見せつけられた。
Nov 18, 2006
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■昨日眠れなくって七時くらいまで起きていたので、「ヤバイ」と思い、ドリエルを飲んだら、一日中頭がボォッとなって気だるく、「二度と飲むものか」と誓ってしまった。■伊丹北中学校での講義も実際の創作に入っていって、生徒達は楽しんで芝居を創っている感じ。自分たちの向かう方向があやふやながらも見えてきたからだろう。その後、塾で授業し、創造館で稽古。忙しい一日だった。■本当に疲れていたので、今日は軽めの物を。『プロレスラー 荒ぶる言霊』。プロレスラーの迷言集。そしてその発言を著者が解説という名の突っ込みを入れていくというもの。そのほとんどのページを「監獄固め」と巌流島でおなじみのマサ斉藤の発言で占められている。たとえば・・・武藤「巌流島は大変だったんでしょ?」マサ斉藤「大変じゃないよ。お前もプロレスラーならわかるだろ!」マサ斉藤「だからねぇ、タッグマッチでは、時として1+1が1にも2にもなるときがあるんですよ」辻アナ「さあ、今日も解説は”地獄の門番”マサ斉藤さんです。マサさん、よろしくお願いします」マサ「あのさぁ、いつも思うんだけど、地獄の門番ってなに?」辻アナ「・・・・・・ということでマサさん・・・」 疲れている時はこういう読み物がいちばん楽しい。
Nov 17, 2006
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■『ホールドアップダウン』(監督 SABU)を観る。第一作『弾丸ランナー』からのファンだけれども、『DRIVE』が期待はずれに終わり、あまり観ることがなかった(たぶん、期待しすぎたんだと思う)。 V6をメインにした二作目。サンタの格好をした銀行強盗。奪った金をコインロッカーに隠そうとするも、小銭がなくストリートミュージシャンから小銭を奪う。ところがロッカーの鍵を落としてしまい、鍵はミュージシャンの手に。捜査中に誤って人をひいてしまった警官や、教会を燃やしてしまった牧師も鍵の争奪戦に加わり・・・ 最近のSABUはラストをまとめきれない印象がぬぐえない。『MONDAY』までの三作は本当に面白かったんやけどなぁ・・・ハラハラドキドキ。物語を緊張させたまま、ヒットアンドアウェイで見事に勝利してたんだけれど。まだ観ていない『疾走』に期待。こちらは昨日ブログに書いた重松清の原作。観てから読むか、読んでから観るか、迷いどころだ。 ■今日から石橋がわが家へ。『浄火』までの期間を共に過ごす。原家から借りた車を返すために宝塚まで同乗し、宝塚からバイクに乗せてもらい、帰宅。別について行く必要はなかったんだけれど、車中で昔話に花を咲かせた。今は朝の五時半。さすがにもう眠いので寝ることにする。おやすみなさい。
Nov 16, 2006
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■本日は堺で稽古。仕事があったので少し遅れていく。音楽をメインに稽古したんだけれども思いの外、声が通らない。舞台上にいても明らかに声が客席に届いていないのがわかる。なんとかせねば・・・。■ちんちん電車に揺られて帰宅後、疲れていたのか、すぐさま寝てしまう。五時ごろに目が覚めて、『ナイフ』(重松清著)を読了。いじめにあう小・中学生の短編が五本収録されている。あの年代のゆがんだコミュニケーションの取り方に焦点をあてて、それを「特別なもの」ではなく、「忘れてしまったもの」としているところが素晴らしい。そして読者に説得させる文章力。 なかでも「エビスくん」は中盤から後半にかけて、とめどなく涙があふれた。小説で涙するのは初めての経験(だと、思う。多分。涙でぼやけて字が読めない経験ははじめてのはず。単なる「泣ける話」ってんじゃなくってね)。著者自身「小説としての出来はさておき、いちばん好きな作品」というのもうなずける(前半部分はボクにはよくわからないが)。 ■実は重松清は塾のテキストで多数収録されている作家で、生徒相手によく解説している。部分的に読むことはあっても一冊読むのはこれが初めて。この出会いに感謝しなければいけない。早速、早々と大学に合格した教え子に本書を推薦しておいた。入学までに読んでくれるといいのだが・・・まぁ読まんだろうなというあきらめもあるにはある。誰もがだれもそこまで手間暇かけて生きちゃあいない。
Nov 15, 2006
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■昨日借りたビデオ屋と同系列の店が「当分100円レンタル」をやっていたので、またまた一気借り。『デカレンジャー』の第四巻を観る。ボスが<地獄の番犬>ことデカマスターに変身するという奮える第十三回を収録している。■当初、数回に一回は『水戸黄門』の由美かおるばりにデカピンク(なんちゅうネーミングだ・・・)の入浴シーンがあったのだけれども段々少なくなっている。不評というか、不毛だと気付いたのだろう。平成仮面ライダーシリーズ(Blackシリーズは除く)がいわゆる<イケメン俳優>を揃えて世の奥様方のハートを見事にキャッチした。それに対抗して世のお父様方を巻き込もうという作戦。けれど、日曜日の朝七時半に入浴シーンをみて喜ぶお父さんがいるだろうか? いくら「合法的」であったとしても。デカピンクはそれ専用のキャラクターという位置づけなんだけれども、お父様方にはデカイエローの方が人気は高いんだろうな。「なんじゃらホイ」「ドーンとやってみよう」クールビューティと形容される彼女に時代錯誤な言葉をあえて連発させたのには<意図>を感じる。 この巻以前にデカイエローをメインにした回があった。エスパーであるという自分に悩んでいた彼女がいかにして自分の境遇を克服し、デカレンジャーとなるのかを描いている。この回にも<意図>を感じてしまう。セーラー服を着せ、しかも雨の中ずぶぬれになって、「自分は孤独だ」と思い悩む。そして宇宙人に襲われた彼女は「犬」に助けられるという結末。『サイキック青年団』並に深読みをすると・・・皆まで言うまい。
Nov 14, 2006
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■近くのビデオ屋で半額レンタルをやっていたので、『デカレンジャー』を三巻借りて、一気に。まだ当初はキャラクターが確立されていなかったのかなと感じた。 <ある集団の中に、場違いな新人がやってきて、彼に振り回されながらも集団自体が成長していく> ということをやろうとしているのだけれども、まだキャラクター紹介の段階で、おおきな亀裂というのも生まれてはいない。『踊る大捜査線』なんかはこうしたものの典型。 ■『トリック劇場版』も借りたので観る。映画版だからといって変な気合いが入っていないのがいいなぁ。野際陽子の「文字ネタ」が今回は不発だったのが少し気になると言えば気になるが。
Nov 13, 2006
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■日曜日朝恒例の『仮面ライダーカブト』を観る。ワームサイドの中ボスとも言える敵との決着。当初ライダーを圧倒したその敵をどうやって倒すのかが見物だったが、カブトのハイパーフォームではなく、物語の展開上、付け足しとも言えるドレイクが倒した。ただし、その決着の付け方は脚本上じゃなくって、演出上で処理していた。 仮面ライダーホッパーシリーズの二人は登場当初からギャグ要員なんだけれどもどうオチをつけるんだろう? もともとライダーシステムはZECTが開発したもののはずだが、ホッパーシリーズの二つは謎のまま。どうやって手に入れたとか、誰が作ったのかとか・・・後半でどうやって伏線を回収するかに注目。■『浄火』の昼稽古が中止になったのでUgly ducklingの芝居を観にウルトラマーケットへ。劇中、何度となく繰り返される「無知なボクは未来を語ってもいいのでしょうか」というセリフが印象的だった。万歳の奈良さんがいらっしゃったので、うどんをおごってもらい、しばし歓談。そして稽古へ。
Nov 12, 2006
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■本日は『浄火』昼稽古。場所は実際に上演する堺、ちぬが丘大ホールにて。話には聞いていたけれども、かなり面白い劇場。客席が三面で、完全な三面(ファッションショーのような舞台)ならまだしも、やや円形に広がっているので、とても戸惑いを感じる。舞台監督のサコさんいわく、「円形舞台よりもむずかしいで」行きに、阪堺電車(いわゆるチンチン電車)に初めて乗ったが、なかなかに風情のあるもの。稽古も含めてあと三回は乗ることになりそうだが・・・片道四十分は長いなぁ。■稽古後、『ルカ追送』をアイホールで観る。小説『ロカ』の後日談という形で物語が始まる。ラスト近く、ボクも泣くには泣いたのだけれども、それが芝居によるものなのか、それとも「<中島らも>という作家がもういないという圧倒的事実」によるものなのかはわからない。 らもさんの本は何十冊と持っているが、とうとうお会いする機会がなかった。一度だけ、阪急梅田近くの動く歩道でお見かけしたことがある。いつも通りの黒ずくめの服を身にまとい、音楽を聞きながら真正面の一点を微動だにせず見つめておられた。ラストシーン近くで思い出し、その視線の先に何を見ていたのか、想像してみた。 「ぼおっとしとっただけや」 そんな声が聞こえるが、それでも何かを感じてしまうんです。
Nov 11, 2006
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■とうとう三十歳になってしまった。といっても別に特別な人からお祝いの言葉をいってもらうわけでもプレゼントをもらうわけでもない。淡々としてものだ。別にボク自身が誰かに誕生日プレゼントをあげているわけではないのでそんなもんだろう。別に特別な日と言うわけでもないし。■伊丹の北中学校での授業だったのだけれど、三回目ともなると慣れたもので、多少わいわいがやがやとうるさくて、話なんて聞きやしない雰囲気だったが、初めて体を動かしたのだからこんなものだろう。柔軟体操につきあってくださった音楽の先生が腰を痛めてしまったのが、なんともおかしくも哀しかった。■深夜まで『火車』(宮部みゆき著)を読みふける。92年に出版されて、ボクも二年ほど前に買ってなぜか読まずにいた本。久々にミステリを読みたくなって手に取ってみたら、これが面白いなんて言葉では言い表されないほどの出来。■休職中の刑事が親戚の頼みで失踪した婚約者を探すというところから話が始まる。その婚約者が実は周到な手口で他人になりすましていたというもの。結局のところ、その婚約者は見つかるのだけれど、ラストに至る過程が物凄い。 なぜ婚約者は失踪したのか? なぜ他人の名前を語らないといけなかったのか? なぜ刑事は事件を追おうとするのか? さまざまな事象を伏線にして、その事象に対するモチベーションをこれでもかこれでもかとたたきつける。ミステリで「人間」の哀しさをかくも描いた作品に初めて出会った。 ■ちなみにこの作品、ある一部分がボクが教えている塾の教材で使われている。ちょうど読んでいる途中で、「いやにみたことのある登場人物だな」と思いながら予習をしていると、出典が『火車』で驚いた。そこでは、「ペットを殺されてしまった少年の成長物語」として切り取られ、紹介されている。出題者のイタズラ心なのか、それとも宮部みゆきの筆力なのか、それともその両方か・・・。
Nov 10, 2006
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■DIVEの仕事で大阪大学の教職課程の学生さんを相手にワークショップをする。深津さんから「六十人だから」と聞かされていたのだが、実際六十人を相手にワークショップをするのはかなり疲れた。第一、ワークショップの手伝いをしたことはあっても、自分自身が講師として仕切るのは、演劇初めて十年になるけれども今年の夏の中学・高校ワークショップが初めてだったのだ。■せっかく久々に大学というところに足を踏み入れるのだから学食くらいは食って帰ってみようと思ったのだけれど、三時半時点で食堂は閉まっていた。時間をつぶそうと喫茶店を探すも、見つからず、中途半端な時間が出来てしまった。その上、どこでタバコをすっていいやらわからないものだから、イライラだけが募っていくばかり。コーヒーを二つほど自販機で買って読書しながら時間をつぶす。■ワークショップの方は、まぁなかなかできたんではないだろうか。役者を目指す人向けのものではないので、加減が難しい。「こんなこと言っても通じないだろうな」なんていうあきらめが先にたってしまったのだけれど、結局は勝手に何かを感じ取る人は感じ取るだろうし、そうでない人はそうでないのだろうと思い、淡々と進めてきた。終了後、お手伝いの院生の方に、「どれだけ役にたつかわかりませんけどね」と自嘲気味に言うと、「ちゃんとしたカリキュラムとして組まれてあっても役に立たなくて、しかもつまらない講座はいっぱいありますよ」と慰めてくれた。つまらなくはなかったんだな、と思って取りあえず自分としては満足することにしておいた。
Nov 9, 2006
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■『浄火』の資料用に三枝さんからお借りした『橋のない川』(監督 東陽一)を観る。■奈良県の被差別部落を舞台とした大河ドラマ。長尺もので、しかも役がどんどん変わっていくような構成は苦手やねんなぁ・・・事件の単なる積み重ねのような気がして。みなもと太郎の『風雲児たち』のような壮大な伏線があればもっと楽しめたんだけれど。■けれど、その事件の積み重ねのなかで描かれる恋愛模様がなんとも水々しかった。明治天皇の崩御に際して開かれた集会で、淡い想いを寄せる女の子にこっそり手を握りしめられる主人公。提灯片手に高橋悦史を先導して歩く大谷直子の後ろ姿。橋の上での高橋と大谷の別れのシーン。この映画は恋愛映画として観るべきなのだろう。
Nov 5, 2006
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■急に冷え込んだせいか、どうも頭が痛い。風邪薬を飲んで滋賀の稽古にいくも、頭がぼおっとしてしまう。前日三時まで呑んで頭が痛いと言う原さんとの頭痛コンビでまだあたっていないシーンを稽古。■50人も出ている舞台だから少人数のシーンはどうしても後回しになってしまう。全体の振り付けを原さんにまかせて二人だけのシーンを丁寧にあたっていく。芝居経験の浅い子達だから「このシーンはこういうシーンじゃないか」「舞台の大きさを考えるとこういう動きの方がいいんじゃないか」「そういうように解釈するのならこういうアクションを入れた方が効果的なはず」なんてことを話しながら進めていく。初めての本格的な稽古ということで二人の吸収の度合いも早い。「自分の為に時間を割いてもらっている」という意識がそうさせるのだろうか。演出(じゃないんだけれど)の言葉をどん欲にくみ取ろうというその姿勢に頭が下がる思いになる。ボクは決して大した人間じゃないんだけれど・・・。
Nov 4, 2006
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■またまた久々の更新。伊丹の北中学校での授業やら滋賀のミュージカルやら浄火の再演の稽古やらで忙しい毎日を過ごす。本当にありがたいこと。今年はとりあえず仕事して借金返そうと思ってたんだけどな・・・バイトしたくない病がまたもや出て来てしまいそう。■元劇団員の石橋が出演する『ルカ追想』の元ネタとなっている『ロカ』(中島らも著 実業之日本社)読了。敬愛するらもさんの半自伝的小説。短編『DECO-TIN』の元ネタらしきものや、『笑芸人』でモロ師岡との対談で語っていたネタなど、さまざまな話題が満載の本書。名曲『いいんだぜ』の別バージョンの歌詞も収録されている。『ガダラの豚』並に壮大な物語になりそうな予感を残しながら未完で終わってしまうのが本当に残念。■「ほんとうにみんな、らもさんの本って読んでるんですね」と石橋が驚いていた。東京からこっちに戻ってきた当初泊まりあるいていた彼だが、厄介になる先々でらもさんの本を見たという。そりゃみんな読んでるよ。でも・・・「らもさんの本好き」っていうのはなんとなく言いにくいんだよなぁ。「ほぉ、じゃあ何々は読んだのか?」「CDは聞いたのか?」「コントや落語の台本に目は通したのか?」「こんなエピソードは知ってるか?」うっかり言ってしまったがために、いわゆる「らもキチ」から何十倍にもなって返ってきそう。関西でいちばん読者に思い入れを抱かせる作家なんだと思う。そんならもさんのエッセイを一日一本は筆写するのが今のボクの日課になっている。すこしでもらもさんの文体に近づきたいがために。でも、まぁ、無理だな。こんな文章かいているようじゃ。
Nov 2, 2006
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