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屋上 前編
金網を乗り越えて、俺は下を見下ろした。
そして、あまりの高さに足がすくんでしまい、背にした金網にべったりと寄りかかった。
俺は今から自殺するために、この屋上にやってきた。
何が理由かと聞かれると、それは、俺自身が悪かったとしか思えない。
俺自身が悪かったのでなければ、もしかしたら俺以外の全てが悪いのか。
理由なんてもうどうでもいい。とにかく俺はこの人生にピリオドを打つのだ。
俺は、もう一度金網から離れ、飛び降りようと決心して、一歩を踏み出そうとした。
この苦しみから解放されるための一歩を。
・・・しかし、いくら飛び降りようと思っても、体が言うことを聞かなかった。
結局、俺は飛び降りることができなかった。
~~~~~~~~
その日、俺がいつものように屋上に上がると、そこに男が居た。
金網の向こう側、今にも飛び降りようという中学か高校生くらいの少年。
それはまさに、数年前の自分だった。
数年前自分が飛び降りようとしていたその場所に、ちょうどその時の俺と同じくらいの年齢の少年が居る。
俺は、一瞬タイムスリップしたのかと思った。
しかし、よく見るとそれは俺ではなかった。
見ず知らずの、ただの少年。
「どうも」
俺は、そう声をかけた。
そいつは俺の言葉に反応せず、訝しげに俺を見つめているだけだった。自殺しようとしていたところに突然知らない男が現れたのだから、警戒するのは当然か。
俺は、目の前の夜景を手で示して言った。
「景色見に来ただけだよ。」
俺は、よくこの屋上に来てタバコを吸いながら景色を眺める。
この馬鹿馬鹿しい人生に嫌気が差した時、ここに来るといつかの自分を思い出して、そして納得する。自分には今の人生がお似合いだと。
本当に嫌だったら、やめちゃえばいい。けれど俺は、いつも死にたいと思いながら、結局どうしても死ぬことができなかった。死ねないのなら、このまま生き続けるしかないのだと自分を嘲るのが、俺の習慣だった。
「お前は?飛び降り?」
俺は極力そっけない感じで金網の方に歩を進めながら聞いた。聞くまでも無く、飛び降りだということは一目瞭然なのだが、一応確認しておくために。
するとそいつは、俺が徐々に近づいてきていることに気がついたのか、声を上げた。
「それ以上近づくな!来たら飛び降りるぞ!」
そのあまりにも定番な台詞に笑いそうになりながら、俺は答えた。
「あー、そう。わかった。」
そう言っておきながら俺は、さらにそいつの方へと近づいた。
「わかってないだろ!来るなって言ってるんだ。」
「別に、俺が近づいたら飛び降りればいいんだろ。」
実際、俺にとってはこの少年が飛び降りるかどうかなんて関係ないし、俺が近づいたら本当に飛び降りてしまうのかどうか、少し興味があった。
「飛び降りればいいって、止めないのか?」
「別に止めないよ。俺はあんたのこと知らないし。」
そう言って俺が金網のところまで歩いていくと、少年は俺から離れるように横に移動しただけで、やはり飛び降りなかった。
まあ、それも仕方ないか。
たとえ本気で飛び降りる気でいても、実際に行動に移すにはそれなりの心の準備が必要だろうし、いざ自殺する時に、傍にこんな正体不明の人間が居たら落ち着かないだろう。
俺はタバコに火をつけて、数年前のことを思い出していた。
数年前に俺が飛び降りようとしたのは、通夜が終わった後のことだった。
あの日の前の日に、俺の親父が死んだのだ。
家が火事になり、親父は逃げ遅れて焼死した。
火事の原因はタバコの火の不始末ということになっているが、本当は違う。
親父が酒を飲んで寝ている所に俺が火をつけたのだ。
母親は、もう何年も前に病気で死んでいため、親父と俺とは、たった二人の家族だった。
そんな親父のことを、俺は殺したのだった。
「お前、何で死ぬの?」
ふと、こいつはなぜ死のうとしているのか気になった。もちろん悩みは人それぞれだし、たとえ俺とこいつとが同じ悩みを抱えていたところで、どうということもないのだが。
少年は、少し考えてから言った。
「本当は、みんな死んじゃえばいいんだ。」
それは、何かもっとはっきりとした理由があるのだけれど、ただテキトーに答えたという感じだった。
まあ、突然現れた見ず知らずの男に自殺の理由をペラペラと説明したりはしないだろうな。もしもそんな風に話出すなら、そいつはきっと本気で死にたいとは思っていない奴だ。
ただ、そのテキトーな言葉の中にも、きっと本心が隠されているのだろうけれど。
「・・・武田鉄也みたいなこと言うな。」
「いや、武田鉄也は言わないでしょ。ホリが物真似で言ってるだけだよ。」
俺の冗談に、そいつはしっかりと受け答えをしてくれた。そして俺たちはふっと笑った。
死ぬときになっても結構余裕があるな。俺が死のうとしたときは、こんな余裕は無かったかもしれない。こいつくらい余裕があったなら本当に飛び降りることができたかもしれないなと、俺はなんとなく思った。
つづく
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