私の人生論 (思考が運命になる)

私の人生論 (思考が運命になる)

2016年01月05日
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カテゴリ: 千の朝
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 判断よりも前に事実を検討しようという、実証精神がない。

 好奇心旺盛な子供は、よくもらったおもちゃをバラバラにして、また組み立て直すということをするが、学問に関する限り、あるがままに受け入れて、自分で一からバラしてしまうというようなことは絶対にしようとしない。

 日本人は独創性に欠けるとはよく言われるところだが、自分でゼロからはじめて思想体系や学問を形成したりはせず、すでに存在する学問の決定版、最も優れているものを必死に探す。

 その決定版を早く見つけた者が勝ちということになる。

 こうしたものの考え方の代表格が、明治の文豪との誉れ高き森鴎外である。

 鴎外は医学者であったにもかかわらず、一生、自分でものごとを実証的に考えたことはなかった。

 例えば、美学については誰が決定版であるかと考え、ドイツの哲学者、美学者、『無意識の哲学』で知られるハルトマンに目をつけた。

 ハルトマンは鴎外より二十年ほど前に生まれた人で、鴎外が留学していた当時、ドイツでは有名な学者だった。



「嘘ばっかり」で七十年 谷沢永一 講談社





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最終更新日  2016年01月05日 07時50分57秒
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