北京ビジネス最前線改め中国ビジネス後方基地

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2006.05.26
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中国の日系企業で日常的に発生する問題やトラブルの半分以上は、日本人マネージメントとローカルスタッフとの相互コミュニケーションの不足から由来する、 言語の問題 でしょう。
日本の企業から中国の現地法人に派遣され、管理職の任を負う日本人の多くは、中国語が自由に操れるわけではありません。企業によっては中国語能力を中国駐在の条件としたり、赴任前に中国での短期語学留学研修を課したりしていますが、ビジネスレベルの中国語能力を持ってマネージメントに携わっている駐在員は決して多くは無いでしょう。

現実的には、ビジネスシーンでは必ず通訳を介するケース、できる限り中国語でコミュニケーションをしようとするケース、日本語対応可能なローカルスタッフを中心に社内を組織するケースなど、さまざまです。
通訳を介するケース では、やはり通訳の能力と素質が重要となります。また、長い話を要約してしまうような通訳ですと、指示のバックグラウンドなどがローカルスタッフに伝わらないこともありますから注意が必要でしょう。日本人も中国人も 話す側はできるだけ短いセンテンスで話し、通訳に逐語訳を求める のが良いのではないでしょうか。
日本人マネージメントが 中国語でコミュニケーションしようと言う姿勢 は、たとえたどたどしい中国語であったとしても、一般的には ローカルスタッフに歓迎される でしょう。お互いに話していることを理解してもらいたいと思っているのであれば、発音の良し悪しなど関係なくなったりするものです。相手の理解が怪しいと感じたら、筆談や辞書を使って確認するのも良いでしょう。ただ お互いの理解度は決して100%にはならない、
社内を日本語ができるスタッフで固める場合、語学能力に長けたスタッフが必ずしも業務領域で能力を発揮するとは限らない、という認識に立つ必要があります。
いずれにせよ、100%完璧に伝わるわけではありませんから、スタッフへの指示や命令については話すだけではなく、 メモや文章にして、確認し合うことが肝要 だと思います。

それでもマン・ツー・マンの場合は、複数の日本人や中国人がディスカッションするミーティングの場合より、お互いの理解が深まり易いと思います。 ミーティングの場合は一層たいへん です。
通訳を介する場合、参加人数にもよりますが概ね10人を越えるようなミーティングであれば、一人の通訳では無理があると思います。日本語から中国語への通訳と中国語から日本語への通訳をそれぞれ用意するのが理想だと思います。一人に双方向の役割を求めるのは、多数のスタッフが発言するミーティングの場合、相当の負担になります。議論が白熱化すればするほど、通訳への負担が大きくなりますし、かなり優秀な通訳であっても、混乱と誤訳を招きかねないでしょう。

通訳を介さずにミーティングを行う場合、 言語に関するルールを徹底すべき です。日系企業とは言え中国で企業活動を行っているわけですから、社内ミーティングの言語を中国語で統一するのが理想的ではないかと思いますが、その企業の事情によって、英語であったり、日本語であったりしてもよろしいかと思います。ポイントは、 使用する言語を決定したら、それ以外の言語での発言は慎む、 と言うルールを厳守することです。
例えば日本語が分からないローカルスタッフも参加するため、ミーティングの言語を中国語で統一する場合、 ミーティングの最中に日本人同士が日本語で話し合うようなことは慎むべき です。ローカルスタッフの中でも日本語の分かるスタッフだけが聞き取れて、そうでないスタッフには、何を話し合っているのかまったく伝わりません。たとえローカルスタッフやミーティングの内容とは直接関係の無い会話であっても、ローカルスタッフはちょっとした疎外感を味わうことになるはずです。ミーティングの間は、日本人同士の議論であっても中国語で行うか、それが無理ならば、通訳や日本語能力のあるスタッフに訳してもらうべきです。


ミーティングでの発言内容は、理解深度の違いは生じるにせよ、すべての参加者に公平に伝えられるべきだと思います。とりわけ、ミーティングの最中に日本人同士が日本語で話することは避けるべきでしょう。何気ない会話もあるしれませんが、例えば、「日本の本社ではこうしていた」とか「日本の本社がこういう方針だから....」のような、ミーティング・テーマのヒントやバックグランドが紛れ込んでいることが意外と多いものです。そうした会話を聞き取ることができるスタッフとそうで無いスタッフとの間に "情報格差”を生じさせることはミーティングにおいては避けるべき です。ローカルスタッフも参加しているミーティングで、日本人同士が日本語でディスカッションして、その結論だけを中国語で説明することもフェアとは言えないでしょう。ミーティングでは言語ルールを作り、それを厳密に守ることが、相互理解のうえでも大切だと思います。ローカルスタッフに聞かれたくない会話なら、別な場所で行えばよいのですから...。

社内文書やミーティングに利用する資料などについても、統一言語を決めることは大切です。多くの日系企業には、日本語や英語ができる中国人、英語や中国語ができる日本人などが混在するわけですが、ドキュメントのほうも中国語、日本語、英語が混在したままです。大企業の中には統一言語を定めているところもありますが、日系企業の場合、あまり厳密に守られていないようです。特に、 日本人マネージメントが日本語のままの資料をローカルスタッフにも共有させるケースが多い ようです。漢字や数字が中心の資料だから日本語の分からないスタッフでも読み込めるはずだ、と思い込みがちなのですが、意外なところに落とし穴があったりして、内容が伝わっていないケースが発生しがちです。
ドキュメントに関しても、 中国語で統一したほうが最終的には効率的

伝えたはずなのに、話したはずなのに、(資料を)渡したはずなのに.....。とローカルスタッフを責める前に、社内における言語ルールの徹底をしてみてはいかがでしょうか。





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Last updated  2006.05.26 14:32:08 コメント(2) | コメントを書く


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