「ウェブ進化論」私的検証015---序章 ウェブ社会 その7
「二つの世界」は理解し合えるか
p025
著者は、インターネットをまったく使わない高齢の日本の経営者達の存在を直に見ることになり、また、別な局面では、インターネットを使いこなす若者達の姿が、鮮やかに目に入る。その二つの世界について、考えている。
なるほど、確かに、インターネットを全く使わない人たちはたくさんいる。文書ファイルも、郵便物かファックスかのように、部下なり秘書にダウンロードさせてプリントアウトしたものしか読まない経営者達も確かにいる。
だけど、あんまりがっかりする必要はないのではないかなぁ。この前まで、すくなくとも10年前までは、ほぼ100%の人たちがそうだったし、使いこなしている、といわれている人たちだって、そのほとんどの人たちは、21世紀になってから「チープ革命」とやらが、ここまで進んだからこそ、ようやく使い始めたのではないか。
あと五年もすれば、まずは、現在の経営者達はどんどん退いていく。また、必要に迫られて使い始める人は、これからはどんどん増えていくはずだ。
話は変わるが、僕はこの10年ほど、子供達の成長とともに学校のPTA活動に役員として参加してきた。特に、積極的にその活動に加わろうとしていた父親達と「Oh!とうちゃんの会」という父親の会を作って、学校の場で遊んできた。彼らとて暇人ではなく、忙しい。だが、不思議とITには積極的な人間ばかりで、ほとんどの連絡は当時でも走りだったメーリングリストを使って、スマートにこなしてきた。
当時、1998年ごろの話だが、ある全国レベルのPTAの大会にでたことがある。何千人と集まる分科会で、僕は挙手して、PTA活動にインターネットを活用している学校はどのくらいあるか、と聞いたことがあった。ところが、私の質問が悪かったか、マイクの調子が悪かったか、少なくとも、その当時は、PTAとインターネットなんて、ほんの程遠いもののように思われて、聴衆のほとんどはキョトンとしていた。
当時、学校にパソコンルームもなかったし、パソコンを使っている先生も、かなり先端的なオタク的な先生と見られていた。しかし、いまやどうだろうか。その後、どんどん変化し、パソコンルームもあるし、LANもはいっているし、ホームページがない学校はなくなってしまった。むしろ、ホームページを作ってどんどん地域に学校情報を公開しなさい、というほど、時代は、超変化してしまったのである。
このことについて、私は楽観している。いや、著者の好みに合わせて 楽天
しているとでも言っておこうか(笑)。
「二つの世界」は理解しあえるか
、なんて、悲観的なことを言ってはならない。理解しあうのである。理解しあわなくてはならない。私の想定では、二つの世界、といわず、全ての世界は理解しえるはずだ、という大前提になっている。絶望してはいけない。
この期に及んで、著者と私の、 オプティミズムとペシミズム
は、逆転してしまったかに思える。
ゆっくりと確実に変わっていく社会の姿とは、二つの価値観が融合し、何か新しいものが創造される世界だろうか。それともお互いに理解しあうことのない二つの別世界が並立するようなイメージとなるのだろうか。本書を読み終えたときに、改めてこの問いを思い出してほしい。
p026
この危惧は単に著者の嘆きなのか、あるいは、著者一流の挑発なのか。もし挑発なら、それは噴飯ものだと思う。 ゆっくりと確実に変わっていく社会の姿とは、二つの価値観が融合し、何か新しいものが創造される世界
とならなくてはならないのだ。
なるしかないのだ。
フューチャリスト宣言 <1> 2007.06.06
ウェブ仮想社会「セカンドライフ」 2007.06.05
Web屋の本 2007.06.05
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