
「信頼」
アルフォンソ・リンギス 著 岩本 正恵 訳 2006/12 青土社 原書2004
★★★★☆
「何も共有していない者たちの共同体」
1994の10年後の旅。他には、
「異邦の身体」
、
「汝の敵を愛せ」
などがある
。
信頼は人と人をより深く結びつける。そのエネルギーはどこまでも強まり、中毒性を高める。川岸でジャヴァルソンが私を置いていくのを見たとき、わたしは彼のことを深く知っていると感じた。だれかがわたしのわかる言語で、みずからの人生を一晩中わたしに語ったとしても、その人物よりもはるかに深く、彼のことを知っていると感じた!
信頼という行為は、未知なるもののなかへ跳びこむことだ。それはイデオロギー的、文化的、歴史的、社会的、経済的、あるいは民族生物学的決定論による結果ではない。だが、信頼はいたるところに存在する---協定や契約に、制度に、なにかを暴く、あるいは真実を明かすとされる会話に、経験主義科学や教学体系に。人は、人間の活動が織りなす網のなかで向きを変えるたびに、信頼せよという要求に触れる。コンピュータによる最大限の保護と保障を受けているいる個人ほど、信頼せよとたえず求められる。
p95
熱帯雨林、砂漠、ムスリム圏、エチオピア、南米、リオ・デ・ジャネイロ、マダカスカル、サンパウロ、アルゼンチン、西部、ピッツバーグ、アンデス山脈、アフリカ、オーストラリア、イスタンブール、チベット、カトマンズ、モンゴル、アディス・アベバ、ロンドン・・・・・
時間と空間が渾然となって怒涛のように漂う中にあっての私という意識。本にはそれぞれの性格がある。この本は、熱帯夜に身体的不快感と、みずからの体臭に困惑しながらも、どこからか流れてくる涼風を求めるような気分で、視線を集中させながら読むには、ちょうどよかった。
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