「サキャ格言集」
サキャ・パンディタ /今枝由郎 岩波書店 文庫 210p
Vol.2 No.333 ★★★★☆
定型的な四行詩だから、どことなくブッダの「ダンマパダ(法句経)」を連想する。しかし、どうしてどうして、書いてある内容は、かなり現実的な話が多く、いわゆる宗教ばなしからはかけ離れているような感じさえする。どうかすると、孔子やマキャベリさえタジタジとなるような寸言が集められている。 この本、 「ブータンに魅せられて」 を書いた今枝由郎が翻訳している、というところが、どこかミスマッチで面白い。
功徳の蔵を持った賢者は
貴い格言を集める。
大海は川の蔵であり
川はすべてそこに流れる。
p7
700年前の、4500mを超える高原に花咲いたチベット文化に思いを寄せる。
貴人の功徳はたえず
賢者に賞賛される。
マレーの白檀の香りは
風で十方に広がる。 p21
言葉の使い方、その語彙、誰に対して、何を言おうとしているのか、ひとつひとつ留意して聞いていく必要がある。
悪人は富んでも
行いが悪くなる。
滝の水をひっくり返しても
水は下に落ちるばかりだ。
p33
シンプルに、わかりやすく、ややもするとデフォルメされて、覚えやすい形に整えられている。
劣った者は財産があっても
落ちぶれた良家の者に威圧される。
飢えた虎の叫び声で
猿は木の頂きから落ちる。
p51
チベットにおいては、猿は人間のご先祖さまだ。自然と共存する環境の中でこそ語りうる動物たちの営みもある。
ずるい人が耳あたりよく話すのは
自分のためであって敬意からではない。
フクロウが気持ちよく鳴くのは
悪い兆しをもたらす喜びからではない。
p69
どの社会においても、人間らしさには共通項があるものと見えて、他のどこかで聞いたことのあるようななつかしさを感じるときもある。
自ら長官になって
その役職を知る人は稀である。
他人を見る目はあっても
自分を見るには鏡が要る。
p89
もうこの辺は、地球上どこでも語られているような共通した現象だ。
傲慢な召し使い
きざな苦行者
法に従わない王
この三者は不応相である。
p115
きざな苦行者、ですか・・・・・。たしかにそんな奴もいそうな感じがする。これはやっぱり不応相だ。
智恵のある者は小さなことでも
常に相談して行う。
うまくいけば何もいうことはなく
うまくいかなくても素晴らしい。
p135
う~ん。
衆生の保護者仏がおわしますのに
他の師を敬うのは
八支川のほとりに
塩井を掘るのと同じだ。
p175
なんせ、日本でいえば鎌倉時代のことである。安易に現在のグローバル社会の寸法で推し量ってはなるまい。
457編の格言が収められている。
仏教が好き! 2008.10.23
男一代菩薩道 インド仏教の頂点に立つ日… 2008.10.23 コメント(4)
21世紀のブディストマガジン「ジッポウ」 2008.10.22
PR
Freepage List
Category
Comments