Jul 24, 2004
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目的は果たした。帰りの飛行機に間に合うようにボルドーを目指す、後ろ髪をひかれつつの帰途の旅だ。

Tarbesを通り、Pouyastrucという小さな町で昼食。フランスのレストランは食事に時間が決っていて、昼食は12時から、夕食は7時(か8時)にならないと出されない。私が入ったのは、坂の途中のさびれた趣きのバーで、時刻は11:10。カフェオレを飲みながら大人しくランチの時間を待っていた。2人の男性がカウンターで飲んでいるだけの、静かな、落ち着いた所であった。

11:30。まるで示し併せたかのように、人が続々と入ってくる。少し落ち着くと、また新しい客が入ってきて、握手やキッスの挨拶でざわつく。ほとんどは男性だが、数人は女性同伴だ。食事を始めてからも人は増えつづけ、陽気な音楽かかけられ、カウンターの辺りは外も内も人だらけで、バーの主人も混ざって楽しそうに飲んでいる。
食事が済んだころは30ー40人になっていた。この楽しい雰囲気に、ワインがすすみ、食事もすすみ、文字通りの大満腹になってしまった。

特に誰と会話をしたわけではなかったが、会計を済ませ、バーを出て自転車に跨がると、既に大きく開け放された窓からドアから、全員がこちらを見て何か言っている。
「皆さんごきげんよう」と照れながら手を挙げると、誰かが「下るのか、登るのか」と叫ぶ。登りを指差すと、歓声が上がる。ここでも賑やかな声援をうけ、幸せな気分になる。

Trieを過ぎて少したった頃、真直に続く道に不自然に止まっている車を発見。不安げに近付くと、運転席には顔面血だらけの男性がエンジンを再起動させようとしている。街路樹に、正面から突っ込んでしまった車のボンネットは、くの字に曲り、バンパーは落ち、ステアリングさえ歪んでしまっている。当然、エンジンなどかかるわけもない。交通量は少なく、少し戻って民家で助けを求める事にした。気になって振り向くと、この男性はエンジンをかけるのを諦め、車から降りて、顔からぼたぼた血を流しながらも、「やれやれ」といった様子で散らばった車のパーツを拾い集めだした。事故の事をなんとか説明し、近くの民家から連れてきた女性が彼を車で運ぶことになったが、全く妙な事に遭遇してしまったものである。「やれやれ」はないだろう、お父さん。

Mirandeでカフェストップをし、もう少し走っておこうかと自転車を見ると、後輪がパンクしている。事故の事もあったし、嫌な予感がしたので、チューブを交換して、この町に泊まる事にする。

走行距離、93km。


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最終更新日  Aug 6, 2004 05:07:40 PM
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