音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

2011年02月07日
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カテゴリ: ジャズ




 ジャズ界でソニーと言えば、 『クール・ストラッティン』 のソニー・クラークを思い浮かべる人も多いだろう。あるいは 『サキソフォン・コロッサス』 などで知られるサックス奏者ソニー・ロリンズの名を先に思い浮かべる人もたくさんいるに違いない。けれども、個人的な趣味を含めると、忘れてはならないサックス奏者のソニーがあと二人いる。一人は本ブログで繰り返し取り上げてきたソニー・クリス(関連過去記事 (1) (2) (3) (4) )。そしてもう一人は、今回のソニー・スティット(Sonny Stitt)である。

 ソニー・スティットという人は何の因果か正当に評価されることの少ないミュージシャンである。1924年生まれで1982年に亡くなっていて、決して長生きしたというわけではないものの、演奏者としてのキャリア・活動期間は長い。リーダー作はもちろんのこと、その他の吹き込みも数多く、相対的な枚数からすると筆者も決して多くの枚数は聴いていないのだが、ジャズマンとしての評価という点では、何とも損な役回りの人だったようだ。



 とまあ、早い話、キャリア的に凄かろうが代表盤を残していない、そんなタイプの典型と言えるかもしれない。個人的に聴いたことのある彼の盤のうち、わりと気に入っている中には、サックス同士のいわゆるブローイング・セッション系のものもある。そうした中でも結構リラックスした作品というのもがあって、本盤『ソウル・ピープル(Soul People)』は、まさしくそれに該当する。この作品ではオルガンを大幅にフィーチャーし、なおかつサックス二管ものという編成である。

 本盤のスティットはテナーとアルトの双方を演奏し、ブッカー・アーヴィンのテナーとの二管編成である。多様なスタイルに対応できるスティットと、ブルージーなフレージングに特徴のあるアーヴィン、そこへアーシーなドン・パターソンのオルガン演奏が絡む。この組み合わせの時点で、どんな演奏だか想像しがたいかもしれない。選曲は、スタンダード中心の構成である。もしも似たような音楽性を持つ演奏者が組み合わされていたならば、退屈な一枚に仕上がっていたかもしれない。どんな演奏になるのか想像の付きにくい、ある種異質なメンバー構成でセッションをしたからこそ、聴いて飽きないアルバムが仕上がったのだと思う。

 9~11分程度の長尺曲が並べられていて、前半(1.と2.)はスティット作のブルース・ナンバー。3.はエリントン・ナンバーで、4.はスタンダード曲のメドレーという構成。個人的な意見では、聴きどころは1.「ソウル・ピープル」と3.「C・ジャム・ブルース」。1.は上で述べた異色の組み合わせで彼らがやりたかったことがわかりやすく表現されていると思う。ありがちな曲をスタイルの異なる奏者たちがよってたかって料理してうまく調理できた暁にはこうなるのだ、という感じ。逆に3.はデューク・エリントンの、しかも有名なナンバーを、同じようなコンセプトで料理していて、結果は結構オリジナルな演奏に仕上がっていると感じる。

 正座して聴くようなイメージの盤ではないけれど、目を瞑ってじっと聴くと各奏者が入れ替わってソロを回していくシーンが思い浮かんできそうで、それもまた楽しげに演奏してそうな光景が目に浮かぶ一枚。




[収録曲]

1. Soul People
2. Sonny’s Book
3. “C” Jam Blues
4. Medley: I Can’t Get Started/The Masquerade Is Over


[パーソネル・録音]

Sonny Stitt (ts, as)

Don Patterson (org)
Billy James (ds)

1964年8月25日録音






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Last updated  2011年02月07日 07時25分27秒 コメント(3) | コメントを書く


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