音楽日記 ~ロックやジャズの名盤・名曲の紹介とその他の独り言~

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2016年12月03日
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テーマ: 洋楽(3408)
これぞトッドの代表作にして最高作(前編)


 1960年代後半からナッズでソングライティングを磨き、その後はレコードエンジニアとしての技術を身につけたトッド・ラングレン(Todd Rundgren)は、1970年にソロ・アーティストとしてのスタートを切った。ファースト作の『ラント』、セカンド作の 『ラント:ザ・バラッド・オブ・トッド・ラングレン』 ではさして注目されなかったものの、サード作となる本盤『サムシング/エニシング?(ハロー・イッツ・ミー)(Something/Anything?)』は、全米30位内に入るセールスを見せ、その知名度を高めることになった。後々も、現在までトッドの代表作として挙げられることの多い盤で、個人的にも、1枚だけと言われるとやはりこれを選ぶだろうと思う盤である。

 まずは本盤の制作の経緯を振り返っておこう。制作が行われたのは発表前年の1971年のこと。トッドは一人で全楽器を担当するマルチ・プレーヤー/マルチ・レコーディング・アーティストとして知られるが( 参考過去記事 )、当初の録音はこの方法で行われた。ところが、レコーディングを進めてきたロサンゼルスで地震が発生。トッドはその続きの作業をニューヨークに移動して行うことになる。この時点で既に1枚のフルアルバム制作に十分な音源があったものの、彼は2枚組アルバムになるよう追加の録音をベアーズビルのスタジオで行う。この追加の音源は、それまで制作してきた内容とは異なり、スタジオ・ミュージシャンとの一発録りという方法が採られることになった。

 結果、LPで2枚組となった本作品の内訳は、いわゆるA面~C面(CD2枚組では、2枚目の5.まで)がロスでの多重録音による楽曲、これに対し、D面(CDでは2枚目の6.~12.)がスタジオでのライヴ録りの楽曲となった。本盤の評価は1人で制作した部分が強調されることも多い。その評価が間違っているとは思わないが、それだけでは作品全体の4分の3の評価にしかすぎず、D面を無視してしまうのも正当でないように思う。

 確かに、一人で準備した部分だけで充実したアルバム1枚が完成しえただろう。でも、実際に聴いてみてわかるように、ごっそりお蔵入りはもったいないレベルの、素人が評するなんて臆してしまう完成度である。普通なら同じような作業を続けるか、はたまた次回作まで取っておくなんていうセコイことでも考えつきそうなものだろう。でも、トッドにその気持ちはなかったように思われる。おそらくは、同じような精度のものを、スタジオで重ねずに録音してみようという意欲が沸いてきたのではあるまいか。そう考えると、一人で制作した部分が凄いというのは事実だけれども、それと組み合わせられるセッション部分の凄さもまた讃えられるべきということになるように思う。

 すっかり長文になってきたので、具体的な収録曲については、 後編 で。


後編 をご覧ください。)




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ハロー・イッツ・ミー(サムシング/エニシング?)/トッド・ラングレン[CD]【返品種別A】



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