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どんな解決案も、両国の「愛国的な人々」から、袋だたきに遭うのが落ちだと言われている。それを承知で、あえて提案したい。
竹島問題の解決に「南極条約の知恵」を活用できないだろうかという考えだ。
61年に発効した南極条約は、南極大陸に領土権を主張していた7カ国の主張を凍結し、「人類の共有財産として学術観測の場」にしようというものだった。
南極条約が生まれたきっかけは、厳しい冷戦下、互いに相手側が南極に軍事基地を造るのではないかという疑心暗鬼からだった。動機は不純でも、出来上がったものは素晴らしかった。
国境もなければ軍事基地もない、環境を守りながら各国が科学観測に協力し合うという、地球上で唯一の「人類の理想を実現した地」が誕生したのだ。
私もかつて南極の各国の基地を歴訪したことがある。今年も日本の観測隊に同行し、初の日独共同観測などを目のあたりにした。南極がパスポートもビザもいらない、国境も軍事基地もない「平和の地」であることを改めて実感した。
「南極は極寒の地だから実現できた」と評する人もいるだろう。竹島には複雑な歴史的経緯もあれば、漁業権などの現実の利害もからむので、そう簡単にはいかないことも確かだろう。
しかし、南極でも領土権を主張する7カ国のうち英国、アルゼンチン、チリの主張地域は重なり合っていた。条約制定前には、互いに旗を奪い合ったり、「南極ベビー」を産んで領土権をアピールしたりもした。条約発効後も鉱物資源をめぐって、一時「生臭い風」が吹いたこともあった。
南極条約は、領土権主張国の言い分を「領土権を放棄するのではなく、一時凍結するだけだ」という形で抑え込んでいる。そして30年後の改定期まで凍結が継続したことで、人類の共有財産化が事実上実現した。
この知恵を日韓両国も活用するのだ。30年でも50年でも期限をつけて、領土権の主張を凍結し、その間に周辺の海も含め事実上の共有化を進めていくわけだ。
日本は戦前、白瀬隊の探検を根拠に、南極に領土請求権があると主張していたが、戦後の講和条約でいち早く放棄し、南極条約の制定にひと役買っている。
この実績を背景に、日韓両国民に誠実に冷静に訴えかけていけば、案外、道は開けるかもしれない。
南極条約の「人類の共有財産」という考え方は、宇宙・天体条約や海洋法条約にも引き継がれている。
人類と地球の未来を考える時、「国境の敷居を低くする」ことこそ、真の「未来志向」だ。日韓両国が世界の先頭に立って、その新しい道を切り開いたら、どんなにうれしいことか。
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