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9月19日の同面では、東京新聞が市民社会のメディアとして機能していることが分かる。市民グループ「みんなのデータサイト」が、4千人が参加した放射性物質の測定結果をまとめ、出版する計画を報じた。一人一人が数値を調べ、17都県分を集めたことを考えると、勇気が湧いてくる。不安なら、自分たちで測ればいいのだ。土壌採取の方法も写真付きで公開。出版費用はネットによる寄付(クラウドファンディング)で集める。「寄付の仕方」(QRコードも欲しかった)で読者も参加できる。
自分たちで数値を測るために、市民が連帯する活動も紹介されてきた。東京都葛飾区で甲状腺検診をする組織を市民がつくり(6月27日特報面)、千葉県の釣ケ崎でサーファーたちが海水などの放射性物質を検査し始めた(10月9日夕刊1面)。 市民が自治を行使している ことが伝わる。
一方、このような自治が困難になるケースがある。例えば、鎌田慧氏の「本音のコラム」(9月25日特報面)によれば、自分で判断して避難した人々は、政府や東電に「自主避難者」と呼ばれ、生活補償を打ち切られた。 原発推進は国策でありながら、 事故や被ばくのリスクを自分で判断した個人には、その帰結を引き受けさせる。 政府や東京電力は自治を許していない。
それに加えて、司法はリスク解釈の裁量を自らに許す「社会通念」なる言葉を持ち出した。これを使い、広島高裁は、一度は差し止めとした四国電力伊方原発の再稼働を容認した。社説(9月26、29日)は、司法が使った社会通念という言葉のあいまいさを厳しく追及している。「再稼働根拠 おかしい」(10月6日特報面)によれば、社会通念とは「皆がこう思っている」もので「時代や社会が変われば人の意識は変わる」。 しかも、政府や東電に都合のいい解釈も許し得る ため、私たちの不安は増幅される。例えば、トリチウムを含む水を海洋放出するという東電の提案は、本当に安全なのか否か分からず、人々を不安にさせている。
とぼけた調子の「時事川柳」にクスっと笑った。
「何故かいつも僕のと違う社会通念」(6日発言面)。人々の自治やユーモアを掲載し、読者に多様な方法での参加を促す東京新聞は、政府や司法とは異なる社会通念を定着させていくだろう。
(フェリス女学院大教授)`
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