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▼断絶
「議論いただくのは、国家の基本に関わる極めて重要な事柄だ」。首相は23日の初会合で、こう強調した。現在の次世代の継承資格者は、秋篠宮さまの長男悠仁さま1人のみ。官邸幹部OBは「皇統断絶もあり得る」と警鐘を鳴らす。
打開策として世論の多くが支持するのが、女性・女系への資格拡大だ。共同通信社が2020年3~4月に実施した 世論調査では女性天皇賛成派が85%、女系天皇賛成派は79%に上った。
しかし20年春、政府が非公式に専門家から意見聴取した際、女性、とりわけ女系の容認は「日本の伝統を破壊する」との強い異論が一部で唱えられた。終戦直後に皇籍を離脱した旧宮家(旧皇族)から「男系男子子孫の養子を迎えるのが自然だ」との意見もあった。
政府は意見集約の難しさから、本格議論の開始を先送り。「速やかな検討と国会への報告」を政府に求めた天皇退位特例法の付帯決議から、既に4年近くが経過した。
▼神風
皇位継承について安倍前政権の危機意識は薄かった。17年2月、首相公邸。
「40年先でいいんじゃないか」。当時の安倍晋三首相 は、退位を巡る有識者会議メンバーとの会食で、継承策を決める時期について平然とこう言ってのけた。
当面は秋篠宮さま、悠仁さまと続くから「大丈夫」との理由だった。「男系維持と女系容認の意見は交わらないから、今は決められない。 いざとなったら、この国は神風が吹く」とまで語り、メンバーをあきれさせた。
「事なかれ主義」は菅政権にも継承された。菅首相は「事務方の杉田和博官房副長官に任せている」と周囲に説明。関係者は「首相は皇室の問題に関心がない」と嘆く。
▼その場しのぎ
ただ数十年後まで無策なら、女性・女系を認めるにしても、対象者がいなくなる事態が想定される。 皇室典範は天皇、皇族以外と結婚した女性皇族について、皇籍を離れると定めるためだ。天皇陛下の長女愛子さま、秋篠宮さまの長女員子さま、次女佳子さまも近い将来、皇族でなくなる可能性があり、皇位継承の重責も皇室活動の負担も悠仁さまに集中しかねない。官邸内では、皇室活動の担い手を確保する観点からも、女性宮家創設を「有力案」(幹部)とする声が上がる。
だが自民党内の保守派では、女性・女系天皇につながるとして拒否反応が強い。支持するのは、結婚後の女性皇族に「皇女」の尊称を贈り、皇籍離脱後も皇室活動への協力を委嘱する案だ。野党では「皇統の安定化につながらず、その場しのぎだ」(立憲民主党幹部)と否定意見が多い。
有識者会議メンバーには今後、難作業が待ち受ける。政権内には明確な結論を出すべきではないとの声も漏れる。会議終了後、座長の清家篤前慶応義塾長は記者団にこう吐露した。
「さまざまな意見があり、それぞれメリット、デメリットがあるという整理はできる」
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