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(奥野斐)
――かつては選択的夫婦別姓に反対だった。
制度が導入されると、「家族に影響がある」と思い込んでいた。私の家庭も親戚にも離婚した人がなく、親子が同じ名字なので、深く考えてこなかった。立場を聞かれれば反対と答えていたが、当事者の困りごとを想像できていなかった。制度導入で、例えば(別姓になれることを理由に)「おまえなんかこっちの家に入れないよ」といった逆差別が出る懸念も感じていた。
――なぜ賛成に転じた。
当事者の声を聞いたからだ。私もそうだったが、導入反対の人は「家族や子どもに影響がある」と決めつけている人が少なくない。
――いつ考えが変わった。
昨年8月、鈴木馨祐(けいすけ)衆院議員(自民)から紹介された市民団体「選択的夫婦別姓・全国陳情アクション」の井田奈穂事務局長の話を聞いて、選択的夫婦別姓制度を導入しても「家族に影響がない」と納得した。結婚時に夫婦同姓を強制しているのは日本だけ。別姓の制度の国で家族や子どもが不幸なわけではない。
日本でも、離婚や子連れ再婚によって、親子で姓が違う場合がある。子どもに影響があると決めつけるのはおかしいと考え直した。その後も関連する論文を読んだりして勉強した。いかに自分の反対論には基盤がなく、稚拙だったか。反証できなかったのが大きい。
――選択的夫婦別姓制度は、自民党以外の政党はおおむね賛成の立場だ。
自民党内の問題だ。私宛てに来た文書には反対派の国会議員50人の名前があった。文書の内容からは理解不足と差別思想を感じた。賛成派には、反対派の人たちを一人一人口説いていただきたい。私もYouTube(自民党埼玉県連青年局のチャンネル)などで発信している。
――反対する議員に伝えたいことは。
別姓の制度を望む当事者の声を聞いてほしい。 私はこの問題だけはなぜか、要望に来る人をシャットアウトしていた。ジェンダーや男女共同参画を履き違えていたのかもしれない。 申し訳なく思っている。
この問題は、結婚している人の半分は姓を変えていないので、当事者は必然的に少数者になってしまう。その切実な気持ちに寄り添うのが政治の役目。基本的人権として尊重すべきであるし、制度を導入しても誰も困らない。制度を求める人の意見に反証できるのか、真剣に考えてほしい。
たむら・たくみ 1971年生まれ。衆院議員秘書を経て2007年から埼玉県議。 20年3月から1年間、県議会議長を務めた。日本会議会員。
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