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「え! 総裁選出ないのか」。講演直後に「こちら特報部」からの電話で辞意表明を知った青山学院大名誉教授の三木義一さんは、菅政権への信頼をなくした決定的な出来事に五輪の強行を挙げた。「コロナの感染状況を考えれば中止すべきだった。国民の命を危険にさらしても経済を優先する姿勢があらわになった」
昨夏から実施された旅行や外食を促す「GO TO キャンペーン」も年末からの爆発的な感染拡大につながったとの見方は根強い。「観光業とつながりの深い二階俊博氏(自民党幹事長)の要望もあり、固執したのだろう」と振り返る。
そのうえで、菅氏が残した問題は「専門家の軽視」だと指摘する。「五輪もGO TOも、当初から多くの専門家が懸念を述べていたのに耳を貸さなかった。政治家が肝心な時に専門家の意見を無視して恣意的に政策を進める危うさは、菅氏が辞めた後もある。 自民党総裁交代という小手先の変化では変えられない。政権交代が必要。 衆院選で国民の判断力が問われる」
◆みっともない政権の末路
ルポライターの鎌田慧さんは「菅氏は安倍晋三氏が決めた五輪の一年延期を受けて開催にこだわり、中止を決断できなかったのだろう。 結局、安倍氏の『呪縛』から抜け出せず感染を拡大させた 」との見方を示す。
「ワクチンに頼るだけでなく、医療体制の充実を図るべきだった」とも。総裁選不出馬の理由を「コロナ対策と両立できない」と述べたことにも、「この期に及んでとんでもない世迷い言だ」とあきれる。
オリパラを巡り、国立競技場など7会場の総整備費用は約2900億円に上る。無観客となったためにチケット収入はほぼなくなり、大会後は各会場の維持費もかさんで「負の遺産」になりかねない。
「開催で東京都や国の財政は相当、厳しくなった。巨額の借金を抱えた上、国立競技場などは赤字が続く恐れもある。そうした失政の責任を最後まで認めず、みっともない政権の末路をさらした」
◆政権の1年間、スカでした
文芸評論家の斎藤美奈子さんは「菅政権の一年間はひと言で言うと、スカでした」とばっさり。「目に見えてやったことはGO TOと東京五輪くらいだ。いずれもコロナの感染拡大を招き、火に油を注ぐ結果にしかならなかった」
退陣表明した菅氏の姿は、体調悪化を理由に首相を辞任した安倍氏にも重なると斎藤さんは言う。「安倍政治の基本は森友・加計学園問題などに象徴されるような『利権・友だち優遇』だ。コロナ禍という有事にこうした政治は通用しない。 菅氏も安倍氏と同様に、利権政治で乗り切ろうとしたものの、にっちもさっちもいかなくなり退陣を決めたのだろう 」
菅政権の残したものは何だったのか。斎藤さんは「 国民の間で『このままではだめだ』と危機感が広がり、意見を表明する人が増えたことかな。 コロナ禍で政治のひどさが自分たちの生命や生活を脅かすと実感した人は少なくないから」と語った。
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