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「今」に対する捉え方に違いがある。これが積み重なって、何十年後かに子どもが記憶する「今」は、「親にピアノをやらされた日々」となるかもしれない。そうならないためにも、今日も子どもから「今」がどう見えるのかを考える。
一日の大半を一緒に過ごす親子でさえ「今」の解釈と記憶のされ方が異なるのに、言葉や文化が違う国家間で「今」の解釈や歴史の記憶のされ方が異なるのは当然だろう。
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日本は韓国と隣国で、他の国に比べると、言葉や文化に似ているところが多く、歴史の関わりも深いため、「今」の解釈や歴史の記憶のされ方も似ていると思いがちである。しかし、実際には違うため、時に外交問題にまで発展する。
2013年に始まった日本のNPO法人「言論NPO」と韓国のシンクタンク「東アジア研究院」の共同世論調査によると、「相手国の良くない印象」の理由として、韓国世論は 「韓国を侵略した歴史について正しく反省していないから」 が14年以降1位、日本世論は 「歴史問題などで日本を批判し続けるから」 が13年から22年まで1位を占めた。
なぜ、同じ時期の出来事をめぐって、ここまで大きな認識のズレが生まれるのか。試みに、私は韓国の高校の『韓国史』教科書を使って朝鮮近代史を講義してみた。すると日本人学生は、教科書の近代史部分の分量の多さや、生徒を当時の状況にタイムスリップさせて自分の考えを述べさせるつくりに驚きながら、「韓国人が反日になるのが分かった」や「歴史が道徳やナショナリズムと結びついて学ばれていると思った」などと感想を寄せた。
日本から見る日韓の歴史と、韓国が解釈する歴史の違い、そしてその記憶のされ方の違いを理解するのである。
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確かに「今」、韓国の韓国史教科書を見ると、日本に比べてナショナリズムを涵養(かんよう)しているように見える。 しかし、韓国が一貫して国史教育に注力していたかといえば、それは違う。 国史教育の重要性を認識したのは、1982年の日本の歴史教科書検定に対する反発に端を発する。日本の歴史教科書の植民地支配に関する記述をめぐり、韓国では「歴史歪曲(わいきょく)」と解釈し「反日」世論が高潮した。国史教育に関心が高まり、現在に続く教科書づくりや「独立記念館」の建設、そして先の世論調査結果に至る。
日韓で、植民地当時の解釈の違いに加え、教科書問題が起きた時の見え方に違いがあり、その積み重ねが今日の歴史認識のズレになる。このズレを最小限に抑えるためには、葛藤が起きた「今」を相手はどう見たかを考え、記憶のされ方の違いを知ることが大切だ。 例えば、歴史の教科書で、出来事や事件に「相手国ではこう学んでいる」とコラムをつけるだけでも認識のズレの解消に役立つだろう。
世界で新たな戦争が起こっている今、他国から見た歴史を知ることの重要性を痛感する。
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<もり・まゆこ> 韓国・朝鮮研究者、東京女子大学准教授 1983年生まれ。著書「朝鮮外交の近代 宗属関係から大韓帝国へ」で第35回大平正芳記念賞。ほかに「韓国併合」「ソウル大学校で韓国近代史を学ぶ 韓国留学体験記」など。
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