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――今回の事件に脱税問題があると指摘されています。
安倍派の場合、還流は派閥から収支報告書に記載しなくていいと言われていた。政治資金であれば収支報告書に記載しなければならないので、政治資金ではないと考えざるを得ない。議員側もそういうものと理解して受け取ったということは課税所得だから、申告しなくてはいけない。申告しなければそれは申告漏れ、脱税だということになります。これはきわめて単純な論理です。
――収支報告書の不記載額が3千万円以下だった議員は不問に付されそうです。
税っていうのは1円だってだめです。もちろん、当たり前のことです。
―― 国民は申告漏れがあれば追徴課税されます。
そうです。何も悪いことをしていなくても税務調査を受けることもある。そうした場合、断れないですよね。 ところが、なぜ政治家に対して行われないのか納得できないですよね。なぜ税務署が動かないのかと。
――寄付やパーティー券収入を政治活動に使えば非課税になることについて、どう思いますか。
私はそのこと自体もおかしいと思っている。 推察するに、政治活動は非常に崇高で、社会の役に立つ行為であると、だから課税しないと、たぶんそういうことじゃないですか。 たとえば私は原稿を書いている。この原稿は社会の役に立つ、だから私の書いた原稿料の収入は非課税だと主張しても、絶対にそんなことは認められないでしょう。なぜ政治活動だけが特殊なんですか。非常におかしな制度だと私は思っています。
――国会議員にはさまざまな特権があります。
歳費は課税所得ですが、調査研究広報滞在費や立法事務費とか、いろいろ非課税の所得があります。これも納得できないですよね。
――税の問題はこのままでいいのでしょうか。
国会議員は税制を決める立場にあるのに、税制上の取り扱いが不公平なのは問題です。私は税制を誤れば国が滅びると思います。 歴史上、革命というのは大体、税に対する不満をきっかけにして起こっているんですよ。 その一番有名な例がフランス革命で、一部の特権階級は課税を免れ、人民は重い税負担に苦しんでいた。アメリカの独立戦争もそうですね。イギリスが植民地のアメリカに対して、不当に重い税をかけ、それに対して不満が爆発した。ですから、税の不公平は国を滅ぼすだろうということを言っているんです。
――今後、どうするべきでしょうか。
政治資金を非課税にすることの是非について問題にすべきでしょうね。そこを議論し、そしてもし不適切であれば、それはあらためるべきでしょう。
<のぐち・ゆきお> 東京生まれ。専門は日本経済論、ファイナンス理論。1964年、旧大蔵省入省、72年米エール大で経済学博士号取得。一橋大教授、東京大教授、早稲田大大学院教授などを歴任。「『超』整理法」「どうすれば日本経済は復活できるのか」など著書多数。
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