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しかし政府が言う抑止力には、長射程ミサイルのような正面装備を充実させることだけではありません。戦争を想定した備えも含まれています。長く戦い続けられる「継戦能力の強化」や「強靭化」の名で
▽核攻撃も想定した主要司令部等の地下化
▽建物の壁を厚くするなどの構造強化
▽弾薬の備蓄量を増やし弾薬庫を各地につくる
ことなども進めています。
政府の理屈でいえば、こうした戦争準備も、抑止の一環だということなのでしょう。
しかし抑止には重大な「副作用」があります。 ある国を脅威と見て軍備を増強すれば、相手にとってはそれが脅威となり、さらなる軍備増強を誘発します。結果的に、軍拡競争をエスカレートさせ、軍事的緊張を激化させて戦争のリスクをかえって高めてしまう場合が少なくないのです。
いったん抑止が破れ、戦争になれば、長射程ミサイルのように相手にとって脅威度の高い装備ほど攻撃目標になります。
健軍駐屯地がある熊本市民70万人の命は真っ先に危険にさらされます。司令部地下化などの自衛隊施設の「強靭化」は、自衛隊だけが生き残り、住民が犠牲になることを意味します。
ところが抑止力を高めるためとして全国各地にミサイルを配備したり弾薬庫を建設したりすれば、 抑止に失敗して戦争になった時に日本中が戦場になってしまうリスクがあることを政府は説明しようとしません。 住民の命を軽視するものであり無責任です。
日本が戦場になるケースは二つあります。
一つは、米軍が日本の周辺地域で起きた紛争に介入するのに在日米軍基地を使用した結果、在日米軍基地が攻撃を受けるケースです。
もう一つは、日本が直接攻撃を受けなくても、米軍が受けた攻撃を2015年制定の安保法制に基づいて日本が「存立危機事態」と見なして参戦した結果、自衛隊基地などが攻撃を受けるケースです。
そもそも日本が中国などと張り合って大軍拡を進めるのは、国民の財政負担の面をみても無理があります。 政府は継戦能力を高めるといいます。しかし 島国であり、食料とエネルギーの大部分を輸入に頼っている日本が長期戦に耐えられるわけがありません。抑止力を高めて国を守ろうとすること自体に現実味がないのです。
抑止力に頼った安全保障ではなく、 周辺国と対話を重ね、さまざまな分野で協力を広げ、信頼関係を構築する外交の力で戦争が起こりにくい安全保障環境をつくり出していくことが必要です。これしか日本が平和に生きていく道はないのです。
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