フリーページ

2026年07月09日
XML
テーマ: ニュース(96853)
カテゴリ: ニュース
東北大学東北アジア研究センターで中国近現代史を研究している石井弓准教授は、日中戦争で日本軍による被害の後遺症でトラウマを抱えた中国人の生活実態を調査し、トラウマ被害が戦争被害者のみならず、その子孫にまで及んでいる状況を、6月25日付朝日新聞で、次のように述べている;





■刻まれる記憶、相手国に思いはせてこそ

――20年にわたる中国での聞き取り調査で、不思議な発見があったそうですね。

 農村で数百人にインタビューする中で、「夢過日軍(日本軍の夢を見たことがある)」という言葉を何度も耳にしました。「あれ、違う人からも聞いたぞ」と気づき、通訳に話したら、「私も見るよ」と言われて驚きました。


――どんな夢ですか。

 日本兵に追われて逃げる夢です。調査をした山西省の農村地帯は日中戦争の最前線で、日本軍による「惨案(虐殺事件)」が多発しました。

 1928年生まれの女性は、16歳の時の記憶を頻繁に夢で見ていました。「皆逃げて、日本軍が村人を殴って、ピュンピュン音を立てて鉄砲の弾が飛んでくる」。細部まで鮮明で、恐怖で目が覚めるそうです。

 この地域で有名な「趙家荘惨案」は、人口数百人の村が襲われ、地元県史に25人死亡と記されています。遺体は水窖(すいこう)(地下貯水槽)に投げ込まれたとされました。

 当時7歳の男性は逃げる途中、草むらに転がりこみ難を逃れましたが、目の前の兄は捕まり、後日水窖から父や兄の遺体が引き上げられたそうです。

 この男性の娘は、長年悪夢にうなされる父の姿を覚えていました。夜中に頻繁に「逃げろ!」と叫んでいたそうです。そして、娘も父から繰り返し話を聞くうちに、同じ悪夢を見るようになったそうです。別の村に移り住んだ後も、水窖には恐怖で近づけなくなったと話していました。


――トラウマ的体験を繰り返し聞く医師らが、患者と同様の悪夢などに苦しむ「二次的トラウマ」が知られます。

 トラウマ概念が中国農村部にそのまま適用できるかは分かりませんが、トラウマ症状の典型例の「悪夢」「フラッシュバック」はよく聞きます。

 村々では農作業や家族だんらんの際に戦争体験が語られ、戦後世代にも記憶が刻み込まれた。親と同様の悪夢を見るという証言は多かったです。日本兵に追い回される夢を見て「目覚めても震えが止まらない」という男性は、終戦から5年後の生まれでした。


――トラウマと認識されているのですか。

 識字率の低い貧しい地域で、トラウマ概念自体が浸透していません。

 社会的に抑圧されて語れなかった側面もあります。中国共産党軍が日本軍と華々しく戦い勝ったというストーリーが建国の基礎になり、「民衆の悲惨さ」は、その枠組みから外れました。

 「対日協力者」とみなされた人たち、性暴力被害者たちも、語れないケースが多い。「人生の最後に話したい」とお願いされたことが何度かありました。


――日本では「戦争トラウマ」に光が当たりつつあります。

 元日本兵や家族のトラウマの研究は大切です。ただ、国内の悲しみを追究して終わるのではなく国境を超えた視点を持たなければなりません。

 自分たちのトラウマを知ることで、相手国の心の傷にも思いをはせてこそ、「戦争トラウマ」を巡る日本の議論にも意味があると私は思います。
(聞き手・後藤遼太)


■「ルポ 戦争トラウマ」発売中

 朝日新聞紙面やデジタル版で2023年8月から連載している「戦争トラウマ」シリーズを大幅に加筆修正した「ルポ 戦争トラウマ 日本兵たちの心の傷にいま向き合う」(朝日新聞出版)を販売中です。320ページ、1045円(税込み)。


2026年6月25日 朝日新聞朝刊 13版S 21ページ 「戦争トラウマ-体験聞き、苦しみ戦後世代にも」から「日本軍が海外に残した傷(4)」を引用

 この記事を読むにつけても、戦争は愚かな行為であることを認識せざるを得ません。武器が弓矢や刀、火縄銃程度の時代の戦争ならまだしも、現代では一瞬にして数万人もの人間の殺傷が可能になっており、戦争はしてはならないものです。しかし、そういう「常識」とは縁遠い資本家は、国民から吸い上げた「税金」をスムーズに懐に取り込む手段として、国に武器を売りつけるビジネスが一番手っ取り早いという事情があるため、平和憲法を奉じる日本であっても、資本家のカネで当選した自民党議員が与党を結成して、やらなくてもよい戦争に備えて、昔はGDPの1%だったものを、近年では上限なしで増やしていこうとしている。こういう状況を、私たちは静観していないで、「戦争反対」の声を大きくしていく必要があると思います。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2026年07月09日 01時00分05秒


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

×

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

佐原

佐原

コメント新着

捨てハン @ 潰れそうな新聞なら東京、朝日、毎日が挙がるかなぁ >全国紙は世論のありかを明らかにし、国…

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: