2019/01/08
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外国人にオープンな社会ほど、単純労働者の受け入れは必要ないという皮肉 =後節=
= NewsWeek_Column 2018年12月26日 経済ニュースの文脈を読む加谷珪一


今回、単純労働者の受け入れに改正された入管法では、業種を特定した上で、一定の能力が認められる外国人労働者に対して、新しい在留資格である「特定技能1号」と「特定技能2号」を付与できるとしている。1号の場合には家族の帯同が不可で、在留期間は最長5年、2号の場合には家族帯同が可能で、期間は無制限となっている。

1号の場合には、家族と一緒に暮らすことを許さず、期間が終了した後は、強制的に帰国させるという仕組みだが、実際にはうまく機能しないだろう。日本で長期間生活すれば、結婚したり子供を生む人が出てくるし、在留期間が終了しても、仕事に慣れた従業員を企業側は簡単に手放さない可能性が高い。

日本の場合、10年間滞在していると永住権を取得できる可能性が高まってくることを考えると、今回の法改正はやはり事実上の移民政策であると理解せざるを得ない。しかし政府は頑なに移民政策ではないと主張しており、実態との乖離が激しい。

もし移民政策にシフトするのであれば、それに伴って実施しなければならない施策も多いはずだ。このままでは、発生する諸問題への対応策を一切講じることになく移民社会にシフトする結果となるだろう。

オーストラリアで単純労働の移民問題が発生しない理由
政府が移民政策であることを認めないのは、日本社会に移民アレルギーが存在しているからである。しかし、移民問題の本質を考えた場合、外国人に対して拒絶反応が強く、社会が閉鎖的であればあるほど、逆に単純労働者の移民に頼らざるを得なくなるというのが現実である。

例えばオーストラリアは、外国人に対してオープンな社会として知られているが、単純労働に従事する移民の問題は発生していない。その理由は、同国が外国人にとって魅力的な場所であるため、ワーキングホリデーの制度を使って一時入国する若者が多く、単純労働の多くは彼等が担ってくれるからである。



かつて同国は白豪主義を掲げ、白人優遇の移民政策を続けてきたが、1970年代以降、「多文化主義」を掲げ、白人中心の移民制度は完全に撤廃した。一般的には、あらゆる移民を受け入れる国というイメージが強いが、実際には、経済に貢献する高度人材に限定した上で、移民を受け入れている(人道上の必要性から難民を受け入れる場合には、別の枠組みでの処理となる)。

同国は、都合よく高度人材だけを移民として受け入れているわけだが、賃金が安い単純労働者が不足するという問題は起きないのだろうか。オーストラリアは豊かな国なので、日本と同じく低賃金の単純労働者の人手不足が顕著だが、ここをカバーする外国人労働者は受け入れていない。その理由は、ワーキングホリデーを使った入国者が極めて多いからである。

豪州並みにワーホリがあれば、すべて事足りる?
ワーキングホリデー(通称ワーホリ)というのは、2国間の協定に基づき、外国で休暇を楽しみながら、その間の滞在資金を捻出する目的で一定の就労を認める制度である。期間は1年から2年で、原則として利用者はひとつの国について1回しか利用できない。

オーストラリアは、留学のインフラが整っており、諸外国の若者から人気が高い。今はかなり下火になったが、一時は日本人の若者が大挙してオーストラリアに語学留学していた時代もあった。世界各国の多くの若者が、ワーホリを使ったオーストラリア滞在を望むので、毎年20万人以上の若者がこの制度を使って同国を訪れている。

つまりオーストラリアは、知的能力や体力があり、しかも単純労働に従事する意欲のある若者が、期間限定で常に20万~30万人存在することになる。彼等はあくまで国際交流のために訪問しているので、1年(もしくは2年)経過すれば、ほぼ100%母国に帰ることになる。

日本の人口にあてはめれば、100万~150万人規模の労働力ということになるが、この数字は、現在の日本における外国人労働者数(100万人)に、今後、法改正によってあらたに受け入れる外国人労働者数(50万人)を加えた数字とほぼ一致する。日本でもオーストラリア並みのワーホリ入国者がいれば、数字上は、外国人労働者に頼る必要はまったくないという計算になる。



外国人に非寛容な社会ほど、外国人の問題に直面する皮肉
だが日本にワーホリ目的で入国する若者は1万人程度しかなく、単純労働の担い手としては期待できない。オーストラリアにこれだけワーホリ目的の入国が多いのは、豪州が外国人に対して寛容で、多様な価値観を認める社会であることが大きい。

同国は、単純労働の移民を大量に受け入れたとしても何とかやっていくだけの懐の深さがあるが、皮肉なことに、そうした寛容な社会であるが故に、単純労働者の移民を受け入れる必要がない。
このような話を書くと、日本とオーストラリアは違うという意見が必ず出てくるのだが、決してそうではない。80年から90年代の前半までは、多くのアジアの若者が日本への留学や渡航を夢見ていた。だが実際に日本に滞在すると、あまりよい印象を持たずに帰国するケースが多く、日本の大学も留学生を戦略的に受け入れるという発想を持てなかった。

もし日本社会がもっと留学生を暖かく迎えていれば、豪州と同規模のワーホリ入国者を集めることなど、それほど難しいことではなかったはずである。

今でこそ年間3000万人の外国人観光客が日本を訪れるようになったが、歴史と文化を持つ豊かな先進国としては、観光客の数はこれでも異様に少ないというのが現実である。多様な価値観を認めず、外部に対して閉鎖的になればなるほど、外国人や移民の問題がやっかいになるという状況についてもっと理解した方がよいだろう。



古都 老翁がいた。 翁は愛犬を愛で朝夕の散歩に伴う。 翁は大壺を持ち、夕刻 酒を片手に壺に躍り入る。 くぐもる声で語る傾国の世辞は反響し、翁の安息を妨げ、翁はなす術も無く自笑。 眠りに落ちた。 
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Last updated  2019/01/08 05:50:06 AM
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