2020/10/20
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​ 日本の科学者は「給料安い」「ポンコツ多い」(一流科学者・覆面座談会) 2/3​
= NewsWeek_Column 2020年10月16日 ニューズウィーク日本版編集部


海外とのすさまじい格差
ダーウィン  アメリカの一流大には世界中から優秀な人が来る。多くは就業経験、社会人経験があり、もっと深いことやりたい、もっとお金が欲しい、良いポジションに就きたい、という思いで良い大学の博士号を取りに来る。そういう人たちが基本的に「仕事」として最低限のお金をもらって研究する。だから日本と心構えがまず違う。必死で働く。

ニュートン  博士号を取れば、その先にベターな職環境に行けるという確信と現実がありますよね。日本は博士号を取ったことのデメリットが強調される。社会が受け皿として博士の高度な専門性を利用せず、博士課程に行くハードルを高くしている。

ダーウィン  アメリカのいい大学を学部や修士で出てグーグルやフェイスブックに入ると、初年度からもろもろ込みで年収1500万円ぐらい。博士課程を終えてからだと3000万は欲しいよね、という感じ。それもあり博士号を目指す人が大勢いる。

ニュートン  私は教員6年目だが、給料1500万円なんてあり得ない(笑)。私がイギリスにいたときのポスドクへの最高支給額は年間1100万円ぐらいで、それは欧州委員会が世界中から研究者を集めるための奨学金システムから出ていた。ドイツやイギリスの似たようなプログラムでも700~800万円はもらえる。
一方、日本の日本学術振興会の海外特別研究員という制度は450~600万円ぐらい(渡航地域の物価による)。更に酷いのは(海外ポスドクは所得税を引かれない場合もあり)海外ポスドクより帰国して教員になる方が給料が減ること! 日本では博士号のブランドがあまりに低過ぎて、興味のため多くを捨て、「夢のために頑張る」という自己犠牲に耐え得る人ばかりになってしまった。

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日本の博士はポンコツか
ガリレオ  おっしゃる通りで、あまりに海外と日本は違うのでどうしたらいいか、なかなか思いつかない。私の所属学会では企業側に、博士課程に進んだ人をリスペクトして積極的に雇用してほしいと言ってきた。でも「日本の博士は使えない」と返ってくる。
いつクビになるか分からないなか、大学から雇われて死に物狂いで研究をやる欧米と、自分で学費を払って「お客様扱い」の日本とでは全然真剣度が違う、と。日本でも、ちゃんと成果を出している学生はいるんだけどね。

エジソン  すごく耳が痛い話ですね。日本で博士号を取って企業に行く人に優秀な人が少ないのは事実。われわれ大学人も出来上がっていない状態の人間を外に出しちゃうことが当たり前の状態。旧帝大レベルでもそういう「ポンコツ」がいっぱいいる。

ニュートン  つまり大学院重点化の「ポスドク1万人支援計画」は間違いだった。アメリカと比べ博士号保持者が少ないから増やそうとして、優秀じゃない人も大学院に行くようになった。
修士で就職出来なかった人も「ネガドク」(ネガティブ・ドクター)で博士課程に行くようになった。優秀じゃない人が残るシステムになっている。企業からすると、優秀でない人を押し付けられている感じになる。

エジソン  ひどいのは社会人博士。3年間毎年53万円払えば博士号を取れる。下手したら指導教官に論文を書かせて博士の肩書だけもらえる。教授の判断で短縮卒業だって可能。

ニュートン  企業内で表には出なかった研究で、1日も研究室に通わなくても博士号を取得できちゃう。日本の博士号は今や150万円で買える。日本の大学は博士号の授与という唯一の特権の使い方を間違い、博士号を安売りし、そして結果的に自らの首を絞めている。


ダーウィン それがあるから学歴ロンダリングなどと言われる。大学を出るのが難しかったらロンダリングもなにもない。つまり日本はプロフェッショナリズムとプロに対する敬意がない。
今の話にあるような学生は教員が受け入れなければ良いわけで、まず教員の質が低く、プロではない。アメリカのテニュア(終身雇用)制度だと、大学のポストに応募して厳しい競争を勝ち抜くと教員になり、自分の研究室を持つ。最初に与えられるのは7年間の任期付きのポジションで、これはテニュア・トラックと呼ばれる。
この間に結果を残してテニュアになれないとクビなので、すさまじい勢いで研究する。「パブリッシュ・オア・ペリッシュ」、つまり「論文を出版、さもなくば死」、と言われるぐらい。お金の話をすると、あるアメリカの一流私立大学の学費は学生1人で500万円ぐらい。給料も500万円。
それらと諸経費合わせると、1人の博士課程学生に年間1300万円ぐらいかかる。そういう人を5~7年雇わなきゃいけないので、1人の博士号を出すのに、8000万円ぐらいが必要。給料も払うので、研究室の力にならない学生を採るなんて1000%あり得ない。

ニュートン  教員になれれば良い生活が待っているのでプライドを持って頑張るんですよね? 日本の現状とは真逆に思えてしまいます。

ダーウィン  そうでしょうね。僕が知る限り、給料は企業には及ばないものの十分裕福と言えると思います。また、もちろん額は採用時などに交渉できるはずですね。

ニュートン  日本は採用されたときに初めて給料などを教えられる。それもありえないですよね。プロへの敬意がない。

ダーウィン  自分がどんな仕事をすることを期待されているかも、着任するまで分からなかったりします。ジョブディスクリプション(職務が明記された書類)がない。やばくないですか? 

ガリレオ  文部科学省は制度だけ海外から持ってくるね。制度を導入したから社会人博士を出せとか、年間何人が目標だとか。だから失敗する。 ・・・・・・明日に続く・・・・



古都 老翁がいた。 翁は愛犬を愛で朝夕の散歩に伴う。 翁は大壺を持ち、夕刻 酒を片手に壺に躍り入る。 くぐもる声で語る傾国の世辞は反響し、翁の安息を妨げ、翁はなす術も無く自笑。 眠りに落ちた。 
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Last updated  2020/10/20 05:40:05 AM
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