2020/10/22
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= NewsWeek_Column  2020年10月16日(金) ニューズウィーク日本版編集部


昨日に続き----
ガリレオ  それにしても文部科学省の大学教育改革はみんな裏目に出ている気がする。教養部の廃止とか、大学院重点化とか、ポスドク1万人とか、大講座制化とか。学部に対する教養部のプライド、大学院に対する学部のプライド、研究室における助手のプライドをもっとその場その場でしっかり高めることを考えるべきだったと思う。

失敗も質問も許さないカルチャー
ガリレオ  あと、もう1つアメリカとの違いは、失敗を許すかどうか。アメリカのベンチャーだって成功率は日本と変わらない。違うのは、アメリカでは投資家へのプレゼンでも失敗が勲章になり、失敗経験のない人はむしろ駄目なこと。日本は失敗を評価システムに組み込んでいない。

ニュートン  日本企業はいいとこ取りを狙い過ぎてリスクを背負わない。例えば製薬業界では、欧米のベンチャーや大手企業は、薬になるか分からない段階の研究にも夢を懸けて投資する。日本でそういう投資はまれ。

ダーウィン  どこから変えるべきかといったら初等教育だと思う。子供の頃からいろいろなことに挑戦させて、結果は駄目でもチャレンジしたことは褒める。つまり過程が大事。そうでないとリスクを背負う人は出てこない。日本はそうした教育がない。

エジソン  評価の仕方ですよね。失敗は、駄目だということが分かったこと自体が「成功」ですから。それを知った人は、同じ轍を踏まない。



ガリレオ  日本ではなぜ?と質問するということにもすごい抵抗がある。例えば学会で質問するとき、大御所の発表に対して「純粋に知りたいから聞くんですけど」とわざわざ前置きしたりする。つまり本当にフラットに「Why(なぜ)」と聞くことがものすごく難しい。
これはすごくまずい。欧米では「なぜ」を探ることを楽しんでいるカルチャーを感じるのに......。

ダーウィン  先ほどチャレンジが評価されないと僕が言ったことと関係するのでは。間違った、バカみたいな質問をしたらどうしよう、と日本では感じてしまう。
アメリカではみんなファーストネームで呼び合うじゃないですか。学生も教授をファーストネームで呼ぶ。ほぼフラットみたいな感じで、その環境になったらWhyと言えるし、むしろなんで言わないんだと聞かれる。でも日本だとなんでそんなこと聞くんだ、と。雲泥の差だと思う。

教育にはコストがかかる
ニュートン  アメリカはちゃんと(日本の改革で次々廃止された)リベラルアーツ(一般教養)教育は残っていますよね? 教える専門の教員がいる。

エジソン  そう。レクチャラーと呼ばれ、研究専門のリサーチプロフェッサーとリスペクトし合っている。両方やるフルプロフェッサーもいる。

ガリレオ  アメリカでは教育専門の教授のほうが給料は高いと聞いた。

エジソン  その通りです。

ガリレオ  研究専門は好きなことやっているのだから安月給でも我慢しろと。そういうかたちで教育プロパーの先生もちゃんとリスペクトされている。
しかし日本は研究をやっていて「ネイチャー」誌に論文を出すと偉くて、教室で100人相手に授業やっていると駄目だ、となる。多様性をなくしてしまって、一本の物差しで測ろうとする。これが全ての間違いだね。

エジソン  ただ、アメリカで教育をやっているプロフェッサーは外からの稼ぎがあまりないから大学がちゃんと保証する一方、リサーチプロフェッサーは研究費を取ってきて自分に給料をペイできる、という事情もあります。



ガリレオ  なるほど。

ニュートン  イギリスもアメリカも教育はコストがかかるものという認識が浸透している。だが日本は教養学部廃止で研究が得意な人が教育もやらざるを得ない。しかも教育への評価はされにくく、教えることがおろそかになる。

ダーウィン  そのことですが、日本の大学では誰かが決めたカリキュラムに沿って授業をあてがわれたりしませんか。新しい授業を開設するのが難しいのか最先端の授業も行ないづらく、進歩が早い分野ではどんどん時代遅れになるし、自分の専門でなかったりするとパッションも持ちづらい。

ニュートン  そうした詳細が採用時には分かりにくい日本の人事制度はおかしい。何を期待され採用に至るのか明確でないのでミスマッチが起こり得る。学問的需要とは別に政治が絡むこともあるし。
ただ、採用前の教員の評価が難しいのも事実。欧米は「人物評価」で教員を採る。でも日本の場合クローズドじゃないですか。選考員5人ぐらいの前でプレゼンするぐらいで。基準が明確でない。日本は人事に関してはもっと人物を見るべきだと思う。

ダーウィン  アメリカのトップ大学では朝から丸1日かけて教員一人一人と面接して評価される。学生も候補者と議論して採用担当教員に意見を言える。ランチやディナーも候補者は教員たちと一緒に取る。研究はもちろん、人としてどれだけ魅力的か見る。

エジソン  日本はそこまで労力かけないですよね。採用側もそういう能力はない。あらかじめ採用者が決まっている「デキ公募」もよくあるし。そういう公募で僕は今まで2回「当て馬」をやったことがある(笑)。 ・・・・・・明日に続く・・・・



古都 老翁がいた。 翁は愛犬を愛で朝夕の散歩に伴う。 翁は大壺を持ち、夕刻 酒を片手に壺に躍り入る。 くぐもる声で語る傾国の世辞は反響し、翁の安息を妨げ、翁はなす術も無く自笑。 眠りに落ちた。 
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Last updated  2020/10/22 05:40:03 AM
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