2021/11/13
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忘備忘却録 狂貢
◆ アメリカに於いて、白人の隣に黒人が座ったところで何ら文句を言われないことが認められる(1956年= モンゴメリー・バス・ボイコット事件 : アメリカ連邦最高裁判所がアラバマ州モンゴメリーの人種隔離政策に対して違憲判決)。 ◆ サトウハチローが他界(1973年)。これにより、秋の発見者は永遠に謎のままに。 されど、沖縄本島の与那覇岳で新種の鳥が発見(1981年)され、永久の自然児・ハチローが口癖“ナンデモクイナ”に敬意して「ヤンバルクイナ」と命名される。 ◆ 宮沢りえの児童ポルノが発売(1991年)、これが大ベストセラーとなったことを切っ掛けとして規制論議が盛んになるという皮肉なことに。
【彷徨癖者/如水の愛犬 “ハクとココ”が悲嘆・感嘆 / 令和3年11月13日 】

​ 中国の抱える脆弱性 地方で露呈する統治の「壁」 =後節= ​
= WEDGE REPORT 《世界潮流を読む》 2021年11月08日 磯部 靖 (慶應義塾大学法学部教授)



財政再配分の効きにくい / 構造的問題とは
発展著しい沿海部との格差が深刻化した内陸部の開発支援を意図して、江沢民政権期に打ち出された「西部大開発」はもとより、財政再配分による格差是正にも中国は取り組んできている。

 ところが、中国の行政階層は中央─省─市─県─郷といったようになっているため(上図参照)、中央による財政再配分が機能しにくい構造となっている。例えば、住民サービスを直接担っている県や郷のレベルにまで中央からの財政資金が届く前に、省や市を経なければならず、その間に遅配や流用が生じることもあるため、中央による財政再配分の効果は限定的なものにとどまってきた。

 住民サービスを直接担っている県や郷のレベルにまで中央からの財政資金が届く前に、省や市を経なければならず、その間に遅配や流用が生じることもあるため、中央による財政再配分の効果は限定的なものにとどまってきた。

 そこで2010年前後から中央の財政資金を直接県レベルに分配する試みが行われてきていて、それはコロナ禍以降の地方支援策の目玉として、全国人民代表大会での政府活動報告でも強調されている。こうした政策は一定の成果を上げている一方で、必要性の低いインフラ整備や都市再開発、庁舎・官舎の改築などへの流用は根絶できていない。

 例えば、いわゆる上海閥として第17回党大会後に中央政治局常務委員就任が有力視されていた陳良宇・上海市党委員会書記が、職権を濫用し社会保険資金を不動産投資に不正流用して懲役18年に処せられた事件はとりわけ有名である。その背景には、経済開発が地方幹部の昇進に結びつきやすい考課制度の問題があるとしばしば指摘されている。

 また、地方レベルの不正を監視する制度も末端にいくほど脆弱であるのに加え、物理的にも全ての地方を監視することは不可能なため、摘発されるのはサンプル調査で明らかになった氷山の一角にすぎない。ことほどさように、いくら習近平氏が強力なリーダーとしてのイメージを演出しようとも、全ての地方で政策を徹底させるのは容易ではなく、監視体制にも限界がある。

 つまり習近平氏の強権化にもかかわらず党中央による直接支配が及ぶのは、人事権を直接行使できる省レベルくらいまでなのである。今年、中国共産党員の総数は9500万人を突破したが、1億人近くの中国共産党員全てに習近平氏の威光が及び、党中央による一元的統治を徹底させることが困難であるということは容易に想像がつく。



 居民委員会が管轄する区域は一般的に社区と呼ばれる。前述のように、1990年代からの市場経済化にともない「単位」の機能は低下したため、それに代わって住民の管理や福祉を担うものとしての社区の役割に期待が寄せられるようになった。



都市の〝町内会組織〟 / 「社区」の抱える苦悩
 社区とは一言でいえば日本の〝町内会〟に相当するものであるが、その役割は日本の町内会よりも多く、レクリエーションや娯楽の提供はもとより、治安維持、就業支援、学童保育、高齢者介護など多岐にわたる。社区の規模は都市の大きさや人口密度によってさまざまであるが、平均すると数百平方メートルの区域に数千人程度の住民が暮らしているイメージで捉えられる。例えば、上海市青浦区には3つの街道弁事処があり、そのうちの一つである夏陽街道弁事処の下には20余りの居民委員会すなわち社区が存在している。

 社区が十分に機能しているか否かは都市によって異なり、同じ都市内においても地域によって大きく異なる。例えば、古くからのコミュニティーが残っている地域ではよく機能しているものの、タワーマンションや郊外の新興住宅地では必ずしも十分に機能していないといわれる。

 とりわけ課題となっているのは、居民委員会の担い手不足である。何かと負担の大きい居民委員会の役員を引き受けるのは敬遠されがちであるため、役員選挙は形骸化していて、実質的には社区の党支部メンバーが兼任するケースも少なくないようである。
 さらには社区の党支部自体が担い手不足で有名無実化していたりもするので、そのような場合は近隣地域の社区と合同で党支部の運営を行ったり、上級機関から幹部が派遣されて業務代行をすることもあるという。

 また、職場組織である「単位」内では党員の所属や指揮命令系統も明確であるので管理しやすい一方で、社区とはあくまでも町内会のような存在であり、その中にはさまざまな所属や指揮命令系統の下にある党員が存在しているので、「単位」とは別系統である社区の党支部を通じて党員に指示を徹底させることは困難である。社区が機能不全に陥った場合、党の政策を末端レベルにまで徹底できなくなるのはいうまでもなく、治安維持や社会的弱者救済に支障をきたすことも懸念される。

 以上のように、社区の居民委員会と党支部が抱える問題は、市場経済化以降の中国における社会の変化を反映するものである。一方、社区を通じた住民管理に手を焼いていた中国共産党にとって、コロナ禍は渡りに船であったといえよう。

 コロナ禍という未曾有の危機を奇貨として、ロックダウンなど社区を通じた住民管理を徹底できたのは中国共産党にとって大きな収穫であった。例えばコロナ対策を口実に、「農民工」などの流動人口を含めた住民の素性や行動履歴を把握できるようになった。
 また、ロックダウンによる外出規制と身分確認の徹底は、犯罪者の摘発にも一役買ったといわれる。こうした社区を通じた住民管理の徹底がコロナ禍ゆえの一過性のものに終わるのか否か、今後の推移が注目される。

 本稿で見てきたように、習近平氏の権力の絶対性や中国共産党による統治の強靭性に注目が集まる一方で、その脆弱性や限界も看過することはできない。今後、中国は米国との摩擦を強める中、中華民族の「偉大なる復興の夢」実現に向け、さらにこうした国内の統制を強めていくであろう。

 このような観点に基づくと、結党100周年大会で見られた習近平氏の姿は、まさに「張子の虎」といえなくもない。中国が時折見せる強硬姿勢は、中国の弱さの反映、すなわち中国国内にある「壁」に直面していることの表れでもあるという認識の下に、日本も冷静な対中外交が求められよう。



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Last updated  2021/11/13 05:30:06 AM
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