2022/04/27
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忘備忘却録 狂貢
◆ 「よ(4)いつ(2)な(7)」ということでロープデーだが、「し(4)に(2)な(7))」とも読めることから暗に首吊り自殺を薦めているのかも?? ◆ 金大中が朴正熙をあと一歩のとこまで追い詰めるが敗北(1971年)、恐れを為した朴は側近を使って2年後に仕返しする。 ◆ 4年前まで塀の中で臭い飯を食っていた黒人の爺さんが、長らく白人が我が物顔で支配していたアフリカ某国の支配者となる(1994年)。
【彷徨癖者/如水の愛犬 “ハクとココ”が悲嘆・感嘆 / 令和4年04月27日 】
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​ 多くの冒険家が「43歳」に命を落とすのはなぜ?
     経験の豊かさと肉体の衰えが交差するとき
=1/4=​

= NewsWeek_Column 2022年4月24日(日) 角幡唯介(ノンフィクション作家 探検家)※本稿は、角幡唯介『裸の大地 第一部 狩りと漂泊』(集英社)の冒頭部「四十三歳の落とし穴」を再編集


不吉な死の予言
村に来て何日かたったころだった。降りつもる雪を踏みしめて、イラングアが私の家にやってきた。
グリーンランド最北の村シオラパルクには今、四十人ほどしか住んでいない。二十代の男はわずか数人で、他の連中は隣のカナックや南部の都市にうつってゆき、日本の山村と同じように過疎化が進んでいる。イラングアは、わずか数人しかいない村の若い男連中のひとりだ。

彼が私の家に来るのは、めずらしいことではない。イヌイット社会には伝統的にプラットという、文字通りぷらっと他人の家を訪問してコーヒーを飲んだり、ぺちゃくちゃ喋ったり、賭け事に興じたりする交流、暇つぶしの習慣がある。私は片言の現地語しか話せないし、客人をうまくもてなせるタイプでもないのでプラットにやってくる人は少ないのだが、人づきあいのいい彼は毎日のようにやってくる。
そして誰それが猟に出て海豹(あざらし)を二頭獲ったとか、今日は天気が悪いからヘリは来ないよ、といった雑多な生活情報を教えてくれる。愛想がよくていつもケタケタ笑い声をあげ、冗談ばかり言って私をかつぐ、気のいい若者である。

そのイラングアがこの日にかぎっては、いくぶん真剣な眼差しでこんなことを言うのだった。

「カクハタ、あんた今四十二歳だろ。日本人は皆四十二歳で死ぬから、今年は旅をしないほうがいい。行ったら、あんた、死ぬよ」
これから旅に出ようという人間に、よくもそんな縁起でもないことを言えるなあ、と私は変に感心した。

「四十二歳は日本人にとって不吉な年なんだろ。ナオミだって死んだ。カナダで氷に落ちて死んだのもいただろ。日本人はみんな四十二歳で死ぬんだ。たぶんあんたも北方の旅から村にもどる途中、イータの地に立ち寄り、そこで命を落とすことになる。あんたの遺体はオレが六月に鴨の卵を取りにボートでイータにむかったときに発見することになるだろう。本当だよ」

ナオミというのはグリーンランドで英雄視されている冒険家植村直己のことであり、〈カナダで氷に落ちて死んだ〉というのは河野兵市である。植村直己が厳冬期のアラスカ・デナリで消息を絶ったのは一九八四年、一方、河野兵市は二〇〇一年に北極点から故郷愛媛をめざす壮大なプロジェクトの途上で氷の割れ目から海に落ちた。いずれも亡くなったときの年齢は同じだ。

それにしても......と私は不思議だった。どうして彼は、日本人冒険家の死亡年齢のようなマニアックな情報を知っているのだろう。日本の探検・冒険界でさえ、よほど関心のある人しかそんなことは知らないはずなのだが......。千里眼か? といささかうす気味悪くなった。



イラングアはにやにやと悪戯(いたずら)っぽい笑みを浮かべた。
「ふふふ、オレはアンゲコだからね」

アンゲコとはシャーマンのことである。このひと言を聞き、私は彼がいつものように悪ふざけを言っていることがわかった。植村直己と河野兵市のことは、おそらく山崎さんにでも吹きこまれたのだろう。シオラパルクには四十年以上この地で猟師生活をいとなむ大島育雄さんと、冬の半年のあいだ、村で犬橇(いぬぞり)活動をつづける山崎哲秀さんというふたりの日本人がいて、地元民にとけこんでいる。

ただ、彼のひと言がイヌイット一流のブラックジョークであることがわかっても、私はちょっと嫌な感じがしたのだった。

「嫌な予感」その理由は...
イラングアは、植村直己と河野兵市が亡くなったのは四十二歳だと言っていたが、じつはそれはまちがいで正確には四十三歳である。そして私はすでに四十二歳になっており、四十三歳は目前、四十三歳の勢力圏に入ったも同然であり、四捨五入すれば四十三歳みたいなものであった。

たしかに四十三歳で遭難する冒険系著名人は少なくない。なぜか不思議なほどにつぎつぎとこの世を去ってゆく。イラングアが言ったとおり、植村直己が行方不明になったのは四十三歳になった直後であり、河野兵市も四十三歳となったその約一カ月後に亡くなった。

そして、遭難したのはこのふたりにとどまらない。ヨーロッパアルプス三大北壁冬季単独登頂で有名な長谷川恒男がパキスタンのウルタルII峰で消息をたったのも四十三歳、写真家の星野道夫がカムチャッカ半島で熊におそわれたのも四十三歳、最近でいえばカメット南東壁を初登攀(はつとうはん)し、女性として世界で初めてピオレドール賞を受賞した谷口けいも四十三歳で北海道黒岳で滑落した。

冒険家5人の遭難は偶然か
四十三歳になると多くの登山家、冒険家が死ぬので、私はかねてからこれを"四十三歳の落とし穴"と勝手に名づけ、ひそかに注目していた。一見ただの偶然のようにも思えるが、しかし偶然で片づけるにはあまりにも一致しすぎている。彼らが死にいたった状況を個別具体的に検証分析したことは、とくにないのだが、自分自身が四十に近づき、そして四十を越え、問題の四十三歳が近づいてくるにつれ、私はこの年齢が人生においていかなる意味あいをもつのか、切実な問題としてとらえるようになっていた。

四十歳を過ぎたとき、人はそれまでとは異なる人生の新しい局面に足を踏みいれる。おそらく多くの冒険家が四十三歳で遭難するのは決して偶然ではない。うっかり死の淵(ふち)に迷いこんでしまうだけの理由が、この年齢にはあるのだ。

四十三歳――。

それは、私の考えを述べれば、経験の拡大に肉体が追いつかなくなりはじめる年齢である。人間誰しもひとつの物事に打ちこみ、経験をつんでいけば、いろいろなことがわかるようになってくる。経験とは何かというと、ひとつには想像力がはたらくようになることだ。
・・・・・・明日に続く・・・



古都 老翁がいた。 翁は愛犬を愛で朝夕の散歩に伴う。 翁は大壺を持ち、夕刻 酒を片手に壺に躍り入る。 くぐもる声で語る傾国の世辞は反響し、翁の安息を妨げ、翁はなす術も無く自笑。 眠りに落ちた。 
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Last updated  2022/04/27 05:30:05 AM
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