2022/10/14
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★忘備忘却録/きょうの過去帳・ 狂 ★
☆ 東海道の東の端っこで陸蒸気による1時間のデモンストレーション=新橋-横浜=始まる(1872年)と共に、鉄道教の神聖なる日。よって、鉄道に関する骨董品を集めたとこが、神田・万世橋からさいたま市の北の方へと移転(2007年)。
☆ 一つくらい、いいじゃないかと、国鉄に急行の停車駅を自分とこの選挙区で一つ増やした運輸大臣が辞任する破目に(1966年)。
☆ 長嶋茂雄が我が巨人軍は永久に不滅です! と言い残して引退(1974年)。確かに今に至るまで巨人軍は不滅だが、これ以降は昔の栄光は何処へやら停滞が始まっている。
【彷徨癖者/如水の愛犬 “ハクとココ”が悲嘆・感嘆 / 令和4年10月14日 】

​岸田首相が掲げた「学び直し」 概念の大きな間違い​
= WEDGE REPORT ≪泉彰彦の「ニッポンよ、大志を抱け」 ≫022年10月9日 冷泉彰彦 (作家・ジャーナリスト)


 岸田文雄首相は、10月3日衆院本会議での所信表明演説で、企業人のリスキング(学び直し)の支援に5年間で1兆円を投じると表明した。この点に関する首相の演説内容は以下の通りだ。

 「また、リスキリング、すなわち、成長分野に移動するための学び直しへの支援策の整備や、年功制の職能給から、日本に合った職務給への移行など、企業間、産業間での労働移動円滑化に向けた指針を、来年6月までに取りまとめます。特に、個人のリスキリングに対する公的支援については、人への投資策を、「5年間で1兆円」のパッケージに拡充します」

 この演説には重大な問題がある。大前提である、リスキングの定義が間違っているのだ。

混同してはいけないリスキングとリカレント
 岸田首相は、リスキング支援と並んで「年功序列的な職能給からジョブ型の職務給への移行」を打ち出している。これは間違っていない。けれども、リスキングにより「企業間、産業間での労働移動の円滑化」を図るというのは誤っている。それはリスキング(再度という意味の re+スキル+ing)ではなく、リカレント(re+方向ぎめ)である。

 リスキングというのは、環境の変化に応じて従業員に求めるスキルが変化するのに合わせて、内部人材のスキルを即応させるために、実務レベルの従業員に思い切った教育研修の投資を行うことだ。典型的な例は、米国の電話会社が地上線による固定電話のビジネスから移動体通信ビジネスに転換していく際に起きたリスキングの事例である。

 中継局の管理に従事する膨大な中級技術職を、そのまま移動体通信の基地局のメンテナンス技術者に転換するために、各企業は膨大な教育投資を行った。その結果として、例えばベル・アトランティック社はベライゾン社へと社名と事業形態を変貌させつつ、膨大な人的資産を有効活用できたのである。

 一方で、リカレントとは、企業を一旦離職して大学院に入り直したり、全く異なった職種のスキルを勉強するといった個人の行動である。米国で多いのは、新卒で投資銀行に入社して激務を経験した後、一旦現場を離れてMBA(経営学修士)を取るとか、CPA(公認会計士)資格を取得して転職するといった事例である。

 こんな原則的な問題が分かっていないというのは、岸田首相も困ったものだ。「個人のリスキリングに対する公的支援」などという発言は、それ自体が混乱そのものと言える。けれども、実際問題として日本におけるビジネス界でも、似たような概念の混乱が見られるのは事実であり、首相個人を責めても仕方がない。

 というよりも、このように概念が混乱している背景としては、日本における産業構造と雇用制度の改革の難しさがある。企業側と従業員側の双方の視点から、考えてみたい。

将来に向けて企業と個人がどう対応するか
 まずは企業の態度である。業態にしても、人事政策にしても現状の延長上には存続が見通せないとして、そこで取るべき態度は2つある。一つは人材を入れ替えるという態度であり、もう一つは現有の人的資産を活用するという態度である。

 2030年代へ向けて国際的競争が加速化し、新技術の開発と実用化も加速するのは不可避である。そこで、現有の経営陣では判断スキルのレベルという点で対応不能であるのならば経営陣の総入れ替えが必要になる。過去の実績評価を中心に昇進させただけの管理職では管理しきれないということなら、管理職も総入れ替えになる。また基礎能力と日本語の対話力だけで採用し、数箇所の現場を回しただけの中堅では対応が難しいのであれば、ここも総入れ替えということになるだろう。



 そうではなくて、より過酷さを増すであろうグローバルなサバイバルゲームの中でも、現有の人材でも教育訓練によって活かせる部分があるのなら、そこは残すという判断になる。入れ替えるのか、活かすのかは二者択一ではないが、相当にドラスティックな見直しを迫る問題と言える。どの部分を残すのか、そこが明確でなければリスキングはできない。

 一方で、個人の方も態度の決定を迫られている。自分は現在のスキルに加えて、今後の現場経験からの学びを重ねていったとして、例えば3年後の25年に、あるいは8年後の30年に、今と同じ企業で確固たる地位を築くことができるか、一度真剣に考えてみることが必要だろう。

 答えはノーである場合に、どうするのか? この企業から飛び出して、学び直し(リカレント)をして国際化しつつある労働市場で自分を試すのか? それとも、企業の中で現場経験にプラスして、自分のスキルアップを加速するリスキングの機会を与えられるように要求していくのか、個々人も態度を決めなくてはならない。

「ギリギリのストーリー」に1兆円は必要なのか
 そんな中で、もしかしたら企業の中には、過酷な環境の中で、十分にリスキングに投資できない場合があるかもしれない。そこで、社員は「自分のカネでリスキングをする」こととなり、その上で競争力を確保した要員だけが生き残り、その他は切り捨てられる。そんな企業も出てきそうである。

 個人がカネを出して学び直しをするのなら、それは「リカレント」であるべきだ。個人が投資に見合う競争力を獲得して、労働市場でステップアップする。そのような流動化が起きれば、日本の生産性と競争力にはプラスとなる。

 だが、カネのない企業はリスキングを用意できず、転職するリスクの取れない社員は、仕方無しに社内で生き残るために自分でリスキングの費用を負担する、そんなケースはありそうだ。概念としておかしいのだが、こうしたケースであれば、岸田首相のいう「個人のカネでリスキング」ということも成り立ちうる。

 仮にそうであれば、概念の混乱について、岸田首相個人の責任に帰することはできない。だが、もしもこのような「ギリギリのストーリー」、つまり「リスキングの投資ができない企業」に「転職リスクの取れない社員」がしがみつき、個人が自腹でリスキングして何とか個人も企業も生き残るというストーリーには、果たして未来はあるのだろうか?

 個々のケースとしては、そこから個人も企業も這い上がる可能性はあるかもしれない。だが、多くの場合としては、より過酷さを増す国際競争の中で生き残るのは難しいのではないだろうか。

 そう考えると、そのような「ギリギリ」のストーリーに1兆円という公的資金を投ずることが、果たして日本の生産性と競争力復活にプラスになるのか、筆者にはどうしても疑問が残る。同じカネを投じるのであれば、積極的にリスキングに投資する企業、リスクを取ってリカレントに賭ける個人を応援する方が、はるかに大きなリターンが取れるのではないだろうか。



古都 老翁がいた。 翁は愛犬を愛で朝夕の散歩に伴う。 翁は大壺を持ち、夕刻 酒を片手に壺に躍り入る。 くぐもる声で語る傾国の世辞は反響し、翁の安息を妨げ、翁はなす術も無く自笑。 眠りに落ちた。 
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Last updated  2022/10/14 05:30:07 AM
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