福岡を夜の8時に出発し羽田へと向かう飛行機は乗客で満杯だった。 友人のデザイナーは、PCを取り出して、Ashes and Snowをみせてくれた。それは60分の映像作品で、無音のまま私はそれをきっかり25分みて、PCを閉じ、友人に戻した。 それは美しく、完成度の高い映像作品であることは間違いがなかった。私が眺めていた25分間、画面はセビア色で、1カット1カットがそのまま静止写真としても完成度の高い、見事な語り口なのだ。
だが、私にはそうしたこと一切が息苦しく感じた。 見事に作り込まれた映像が、それは皮肉でもなく本当に見事なのだが、私にはそれがやりきれないのだ。 これがAshes and Snowとの最初の出会いである。 このことを書き付けておく。