歴史学の問題設定→回答は決定版ではあり得ません。もしこれが唯一、という風に書かれているのであればそれは単純化のしすぎでしょう。あなたは既に日露戦争の評価が固まったものであって決定版の回答があってしかるべき、という過度の期待をされているように思います。そして言いたいことが分からないというのは、浅い読みをされているからでしょう。ロシア帝国側の意志決定過程が分からない、というのはその通りですがまさにロシアの第一線級の研究者からしても意志決定過程を把握することは難しいのです。単純にこうでこうでこう、という流れが史料から分かるわけではない。残念ながら、日米英露の研究状況を把握していない(研究の困難さは本書の端々に現れているはずです)、あまりに単純な批判であると思います。 なお、日露戦争研究の現在を知りたいのであれば、つい先日刊行されたThe Russo-Japanese War In Global Perspective: World War Zeroをご覧ください。
(May 28, 2005 01:59:32 AM)