書評日記  パペッティア通信

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May 1, 2005
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カテゴリ: 歴史



だれしも自由な社風でしられた中央公論社のゆくすえを危ぶんだものだ。
たしかにその危惧は、現実のものになりつつあるようです。

買収された直後に、
ヨーロッパ中世史家(!!)に書かせたクソ本、
鯖田豊之『金(ゴールド)が語る20世紀―金本位制が揺らいでも 』(1999年3月)
がその前触れだったのでしょうか。

あとは、可もなく不可もない、クソ本がでるわでるわ。

20年間、愛し続けてきた中公新書、、、『南京事件』『謀略の伝記』『アヘン戦争』『ラジカルヒストリー』『渡来銭の社会史』『黄金太閤』『テクノヘゲモニー』『物語 イタリアの歴史』…中堅の専門家が、全力で世に問うた、往年の魅惑の力作たち。もはや今の中公新書には、このような著作は望むべくもないのか。それとも私の目が肥えて贅沢になってしまったのか。



ともあれ本作も、ゴミ売新聞に汚された中公新書、という期待にこたえてくれます。

読売新聞は日露戦争の勝利を顕彰したい
だから「日露戦争100周年記念」にまにあわせなければならない。
それは、株主の意向なんだから、仕方がない。あわただしく、日本海海戦の5月28日にあわせるかのように出されたのは許す。しかし結局、なにが言いたかったんでしょう。

冒頭にはこうある。

どうして開戦したのか、その原因がわからない。
なぜロシアが負け日本が勝利したかがわからない。
日露戦争はどのような帰結を生んだのかがわからない。
だから、3つについて考察してみようという。

まともな日露戦争史の本なら、この3つのクエスチョンにはたいてい答えている。
たんに、筆者が知らなかっただけだろう。


日本では、日比谷焼き討ちをへて普選運動につながるという。
そんなのとっくに知られたことじゃないか。
むしろ、常識すぎて、こんな恥ずかしい回答など出せやしない。

最初の2つの疑問にいたっては、結局決定版といえる答えは、しめされてすらいない。いいたいことがないなら書かないで欲しい。こんなもので印税もらうとは…読売新聞はお金がありあまってしょうがないらしい。ナベツネ新聞不買運動で締めあげねばなるまい。

ともあれ途中は、なかなか興味深かった。地図作成の競争。韓国・中国をめぐる日・ロシアの角遂過程。ウィッテと全権大使との間のいきづまる外交交渉の紹介。日本側の考えは、荒いながらも復元されてゆく。ところが、肝心のロシア帝国の意志決定過程が、この本からはさっぱりわからない。たんにウィッテ退場くらいでお茶をにごしてしまう。



読売に振りまわされ、汚されてゆく中公新書。
つつしんでお悔やみもうしあげたい。

評価: ★★
価格: ¥777 (税込)

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Last updated  Nov 20, 2005 07:58:20 PM
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Re:ゴミ売新聞に汚されてゆく中公新書の憂鬱 横手慎二 『日露戦争史 20世紀最初の大国間戦争』 中央公論新社(05/01)  
作家2507  さん
TB、ありがとうございました。
中公の文庫も新書も歴史物を読んで損をしたことは、一度も、ありませんでしたが、最近、読んでいません。
日露戦争に関しては岡崎久彦さんの一連の本が新鮮です。日本側が開戦を急いだ。ロシア側はゆっくりと準備をしていた。英・米の思惑もあって、それぞれの立場の分析は現在にも通用する内容だと思います。 (May 2, 2005 02:24:48 PM)

過度の単純化  
Joe. さん
歴史学の問題設定→回答は決定版ではあり得ません。もしこれが唯一、という風に書かれているのであればそれは単純化のしすぎでしょう。あなたは既に日露戦争の評価が固まったものであって決定版の回答があってしかるべき、という過度の期待をされているように思います。そして言いたいことが分からないというのは、浅い読みをされているからでしょう。ロシア帝国側の意志決定過程が分からない、というのはその通りですがまさにロシアの第一線級の研究者からしても意志決定過程を把握することは難しいのです。単純にこうでこうでこう、という流れが史料から分かるわけではない。残念ながら、日米英露の研究状況を把握していない(研究の困難さは本書の端々に現れているはずです)、あまりに単純な批判であると思います。
 なお、日露戦争研究の現在を知りたいのであれば、つい先日刊行されたThe Russo-Japanese War In Global Perspective: World War Zeroをご覧ください。 (May 28, 2005 01:59:32 AM)

Re:過度の単純化(05/01)  
春秋子  さん
Joe.さん、ありがとうございます。

>歴史学の問題設定→回答は決定版ではあり得ません。もしこれが唯一、という風に書かれているのであればそれは単純化のしすぎでしょう。

なにか勘違いされておられるようですが、わたしはなぜそんな「問題設定」が、問うに値するのか、ということをのべているのです。こんなありきたりな問いには、今さら決定的な回答をえられるはずもありませんし、当然、得られたものは、どこが良い回答なのか、理解に苦しむものでした。

決定版であるかなどは、もとめたいのではないのです。

>そして言いたいことが分からないというのは、浅い読みをされているからでしょう。

たんに先行研究を整理されていないので、なにがこの書によって明らかにされたのかが、分からないだけです。

>ロシア帝国側の意志決定過程が分からない、というのはその通りですがまさにロシアの第一線級の研究者からしても意志決定過程を把握することは難しいのです。残念ながら、日米英露の研究状況を把握していない(研究の困難さは本書の端々に現れているはずです)、あまりに単純な批判であると思います。

いや、おっしゃる通りなんですが、だからこそなんでこんな「本」をこんな「問題設定」で「先行研究」の整理もなしに出したんだよ、とその不誠実さを問題にしているのですが、、、

だいいち、中公新書は大江さんが日露戦争を書いているんですが、、、

> なお、日露戦争研究の現在を知りたいのであれば、つい先日刊行されたThe Russo-Japanese War In Global Perspective: World War Zeroをご覧ください。
-----

ご指摘ありがとうございます。
(May 30, 2005 02:37:20 PM)

もう少し冷静に書けませんか  
サラディン さん
私はそのゴミ売り新聞の関係者ですが、この本そのものについては、読売、中公とNHK,慶応大がくんだシンポジウムにあわせて出した企画もの、ということは否定しないのですが・・・それがなにか? それでいいじゃありませんか。なにを過大な期待をなさっているのか。
 それに、そもそもあの会社は一度、つぶれた会社です。社員にお知り合いはいますか? ゴミ売本社に対するひはんがましいことはほとんどないですよ、あそこでは。当然でしょう、あのままつぶれたままよりずっとましなのだから。
 つぶれた会社にそんなに過剰な期待をするべきものではありません。そういう意味でゴミ売グループの一員としてなんとか生き残っているあの会社を、昔の中公社とは別物と思うのが正解。 (Jun 8, 2005 04:26:15 PM)

Re:もう少し冷静に書けませんか(05/01)  
春秋子  さん
サラディンさん、すみません。

>私はそのゴミ売り新聞の関係者ですが、この本そのものについては、読売、中公とNHK,慶応大がくんだシンポジウムにあわせて出した企画もの、ということは否定しないのですが・・・それがなにか? 

えっと、そうだったのですか、、、、、、知らなかったです。お教えいただき、ありがとうございます。純粋に中身のなさを憤慨した私がバカみたいですな。

>それでいいじゃありませんか。なにを過大な期待をなさっているのか。

いや、、、感動して涙をながした本もあったのですよ、、、恥ずかしながら、私にとって中公新書とは。中学生からずっと愛読していた、そんな本なのです。

> つぶれた会社にそんなに過剰な期待をするべきものではありません。そういう意味でゴミ売グループの一員としてなんとか生き残っているあの会社を、昔の中公社とは別物と思うのが正解。

そんなものなんでしょうね。ご指摘ありがとうございます。私が悪いのでしょう。

中公新書で書かれた学者で、中公新書以上のものを新書でかけていないところをみると、やはり一時代の終わりを痛感させられます。 (Jun 8, 2005 07:10:05 PM)

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