書評日記  パペッティア通信

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Jun 4, 2005
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カテゴリ: 音楽・文化



不覚にも泣いてしまった。失格だ。

「勝負師」藤沢秀行。今年、80歳。
おおらかな性格で親分肌。若手棋士相手に「秀行塾」を開き、熱心に教えた。
たびたび「秀行軍団」を率いて中・韓を訪れては、若手に稽古をつけたため、
「日中・日韓逆転の戦犯」あつかいされたこともあった。

ともに、囲碁という芸をきわめるため、集うもの同士。
追い抜かれたら抜き返せばいいんだ。ケチくさいことをいうな。
本人は気にもしない。


「1年を4勝でくらす、いい男」「ポカさえ無ければ、俺が最強」
「初物食い」「異常感覚」…さまざまな形容。
50台で、囲碁界国内最高とされるタイトル、棋聖戦6連覇。
66歳で7大タイトルの王座を奪取。

しかし、そんなところがすごいのではない。
とにかく、人間が大きい。言葉にならないほど大きい。
周りからは、「秀行先生」と誰彼となくよばれる、その包容力の大きさ。
空前絶後の、破天荒な生き方。あこがれます。

「呑む、打つ、買う」

アル中。
繊細な人なので、アルコールの力を借りないとやってられない。

しぜんアル中にかかる。禁断症状の中で「酒断ち」をして棋聖戦を防衛。
行いのためか、3度もガンにかかる。今度こそ死ねるとおもってもしねない。
ガンの方が先に死んでしまう。なにかが間違っている。

博打好き。
日本棋院から前借なんてなんのその。

「今回、手形を忘れたけど、手形の更新をお願いします、後で破いておきます」
という言葉を信じたところ、破かれたはずの手形の請求が。
一再ならずあったというこの話。
やはり気にもしない。

買う。
妊娠させた女性は、数知れず。
正妻のもとにつぎつぎ来る認知要請。本人は平等に愛しているらしい。
家を買った直後から、正妻のもとに3年間帰らなかったため、家路を忘れた男。
いまでは、着る服から病気まで、妻なくては生きていけない。
妻には文句ばっかり。周囲にはのろけ、妻の耳に伝わるようにしているらしい。
ごちそうさま。

秀行自伝という形態。ほとんど知っている話ばかり。
それなのに、何か悟りでも開いたのかとおもわせるような内容と流麗な文章で、
読み出したらとまらない。それは囲碁へ捧げられた愛の深さにある。酒を飲んでも、競輪にかよっても、不倫をしても、起きている間は、片時も囲碁のことを忘れない。何やらせてもできる人なのに、あえて囲碁のみに没頭し、可能性を削りおとしていった先にある境地。酒に飲まれたのではない、「囲碁に飲まれた」人生だけが語れる、そんな領域があること。それを確信させてくれる、すばらしい本といえるでしょう。

最後の一節。

結婚後、はじめて妻のために用意したという、かれのプレゼントに泣いてしまった。不倫をしたことのある男性は、ぜひ読んで参考して欲しい。

やはり、人間の器のちがいなのかなあ。
凡人が渡すと、逆に怒られると思うんだけど、、、
神仙の境地に達したものだけができる、余得かもしれない。

評価 ★★★
価格: ¥714 (税込)

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Last updated  May 16, 2007 02:37:53 PM
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