文豪のつぶやき

2005.09.30
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カテゴリ: 新撰組
土方歳三は死を恐れぬ兵二百をつれ絶望的な戦いに挑む。
土方が戦場を見るに、明治新政府軍はわずかに左翼に隙が見えた。
ここを攻めていくしかない。無論万に一つも勝機はない。
土方隊は一丸となって敵の左翼に突入した。
土方の耳を銃弾がかすめる、が馬上の土方は進む。
土方のまわりでは配下の兵がばたばたと倒れるが土方は表情を変えない。
土方は刀を抜くと、敵兵に飛び込み飛び込み、なできっていった。
一時、明治新政府軍はたじろいだが、応援部隊が増援され盛り返した。
再び敵兵の銃弾が猛撃してくる。ばたばたと倒れる配下の兵。

それでも馬上の土方は硝煙に包まれ、ひとりいく。
さすがの明治新政府軍も、土方の迫力に押され手を出しかねた。
その中を土方はゆく。
やがて栄国橋にさしかかった時、長州藩で構成されている部隊に遭遇する。
長州隊は他の隊とは違い、筋金入りの実戦部隊である。
土方を認めると、射撃姿勢をとった。
轟(ごう)っと数百の銃がいっせいに火を噴いた。
硝煙につつまれ、それが晴れると、倒れている土方の遺体があった。
それでも、敵兵は恐る恐る遠巻きにし、やがてそろそろと近づき、黒い羅紗服がどす黒く血で染まった頃、土方の死を確認した。
享年35歳。
天下に名を知らしめた、百姓上がりの一人の漢(おとこ)は死んだ。

坂本竜馬の永遠のライバルといわれた土方歳三はまさに、漢であったろう。





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最終更新日  2005.09.30 07:07:36
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