文の文

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sarisari2060

sarisari2060

2011.10.17
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カテゴリ: エッセイ



第1期から29期までの桃山高校卒業生、
220人あまりが集った。

何十年ぶりで会う顔もあり
それぞれに往事の面影あって
懐かしさがわく。

共通の友人の話などしているうちに
のぶさんのことを聞いた。

「知ってた?のぶ、死んでんて」
とFくんが言った。

のぶさんもFくんも
高校一年生の時同じクラスだった。

「国語の先生が担任やったな」
「うん、長谷川センセや」

ショックの周辺をぐるぐる回るような
会話を続けながらも

「なんで死なはったん?」
「わからん」

のぶさんは、
みんなといっしょには進級できなくて
もう一回一年生をやることになって
あまり顔をあわせなくなった。

クセっ毛で、眉が太くて
色が白くて、目が大きくて、
いつも鼻声で話すのぶさん。

陸上部に入ってたような記憶があるけれど
それも定かはない。

からだのおおきなHくんと仲がよくて
冗談ばっかり言ってたような気もする。

書き出してみると
わずかな記憶しかなくて
高校一年生の教室は
うすぼんやりとしか思い出せないのだけれど

たしかにそこにのぶさんはいたし
鼻声で笑っていたし
はにかんだ笑顔がかわいかったし。

なんで死んじゃったんだろう。

器用に立ち回れるタイプじゃなかったのかもしれない
なんて思案してみて
16歳からあとののぶさんのことを
何も知らないのだと気づく。

あれから40年あまりもたってしまったんだねえ。
それでも、死ぬにはまだ若い年代だと思うよ。

「ご冥福を…」
と大人のセリフがいえないわけじゃないけど

こころのなかで
のぶさん、
のぶさん。
なんで死んでしもたんや
とくりかえしている。








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Last updated  2011.10.18 02:06:34
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