キャロルはわんちゃんのパラダイス写真館
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な高校でも素直に喜んでくれた。合格通知を仏壇に供え、御先祖様にご報告中である。高校
のランクなんかこの親には全く関係ない。高校は高校なのである。父親も酷く喜んで、飲めな
い酒を飲み過ぎ、すでに夢の中で遊んでいる。その夜、母親に呼ばれた。母は内職をしていた
手を止め、神妙な顔をしながら口を開いた。「・・・これでお前の好きな道にいけるな。自分の選
んだ道や。一度は死んだ気になってやってみろ。好きこそ物の上手なれていうやろ」それだけ
言って又、内職に精を出す。くどくどとした能書きは一切言わない人で、その言葉が、最初で最
後の母の"教育論"であった。母の一言が効いたかどうかは解らないが、とにかく水を得た魚の
様に高校入学後は親が私の体を瑕かうほど勉強に夢中になってしまった。まるで、何かに取り
付かれたようなありさまである。デザインやデッサン、製図などは、夜を徹して描いたり、日本
美術、西洋美術の専門書を読みふけったもので、教養を得るということがこんなにも楽しいも
のか遅まきながらこの道楽息子にも解ってきたような節がある。ある日の放課後、職員室から
声がかかった。職員室なんかに呼ばれることは碌な事がないと頭から思っている。ところが予
想外であった。ある風景を写した1枚のモノクロ写真がある先生の目に留まり、やたらと褒めて
頂いた。「ええ写真やな。なかなかのもんや・・」他の先生も横から覗き込み「これええで・・、
物語があるな・・。」猛烈に気恥ずかしくなり、本人は正直何処がいいのかその時点ではさっぱり
解らない。先生は徐に立ち上がり本棚から1冊の写真集を取り出し、私に見るよう勧めてくれ
た。「土門拳写真集」である。後にこの一冊の本が私の後半の高校時代を大きく変えることに

写真は関係ありません。