わんこでちゅ

あの川のむこうは4







いったいどれくらい歩きつづけたのか、、、。お腹もすかないし、眠くもならない、疲れもしない、いつも空はむらさき色に明るいので、ただひたすらとても長い時間歩きつづけていた。そのうちなにをするために歩いているのかわからなくなってきて、それでもただ歩きつづけた。ある時少し先の草むらで何十頭もの仔犬がじゃれて、遊びまわっているのをみつけた。カークはなんのために歩いているかさえもわからなくなっていたので、ここらで少し止まって、この仔犬たちをながめることにした。仔犬たちはお互いの尻尾や耳におもちゃがわりに噛み付いたり、上になったり、下になったり、追いかけっこしたりしていた。楽しそうな声で吠えながら、、。するといつのまにか、その中から二匹の仔犬がカークのところにかけよってきた。

「ねえカーク、カークでしょう?」

その仔犬にカークはいきなり名前を呼ばれびっくりした。

「僕の名前をなぜしっているの?」

仔犬たちは顔を見合わせくふふと笑った。

「私たちの名前はルイと大樹っていうの。」

カークは名前をきいて、暫く考えこんでいた。どこかで聞いたような名前だったからだ。

「私達のお母さんは公園のお散歩でよくカークにあったっていってたよ。私たちは大きくなって公園にお散歩にいけるようになる前に、お母さんとさよならしなくちゃならなかったから、カークにあったことはないけど、、、。」

そう言われてはじめて、公園のお友達犬の子供が、産まれて何日もしないうちに、いなくなっていたのを思い出した。それはカークがこちらにくる少し前のことだった、、。

「こっちにカークがいくから、一緒に遊んでもらいなさいって、私達のお母さんがいっていたよ。」

「ああ、そうか、君たちか、、。いいよ、なにして遊ぼう!」

そうカークが答えると、なぜか仔犬たちはふるふるとたよりなげに首を横に振っていた。

「ううん、あのねぇ、遊ぶよりも色々お話が聞きたいの。なんにもなんにもしらないで、こちらにきてしまったから。ここはなんでも見たい思い出をみれる世界だけど、私達には犬のお母さん、人間のお母さん、お父さんの顔だけしか、思い出がないの、、、つまらないよ、、、だからカークのお話がききたいの。」

カークの胸が痛くはなかったが、きゅーーーと音をたてて、縮まった。

「いいよ、たくさんたくさん話してあげるよ。」

douwa4


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本童話の著作権は ちゃにさん もちぽ1980 さんにありますので、絵、文ともに他での使用を禁じます。文章アップ2004.3挿絵アップ2005.4














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たいせつなものをなくしたら、、泣いてもいいよ。思いはとどくから、、


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