うたうしじみ


『うたうしじみ』(児島なおみ・リブロポート・1984)




しじみのお味噌汁、好きですか?
私?大好きです。おいしいですよね~。

でも、この絵本を読むと、
しじみのお味噌汁は金輪際、食べられなくなるかもしれません。


主人公は年をとって、このところしょぼくれている貧乏な魔法使いのおばあさんと
飼いネコのトラジです。
ある日、魔法使いのおばあさんは夕食に食べようと、しじみを買ってくるのですが
みそ汁のだしをとりながら、水をはったボールに入れたしじみみふと目をやると
しじみたちは、プチプチ、ゴゾゴゾ、うっすら口をあけて、いびきをかいて寝ているのです。

その姿をみたおばあさん、急に弱気になって思います。
「こんなに安心しきってねているしじみたちをたべてしまうのは残酷かしら」
トラジは言います。
「同情したらあかんよ」
「熱いところにサッといれれば、しじみはアホだから何も感じはしませんで」

さて、おばあさんとトラジ。
しじみをおみそ汁にしたのでしょうか。
いいえ。
じゃ、しじみをどうしたのでしょう。

ここからのお話が素敵なんです。
うふふ♪それは、読んでからのお楽しみ♪

最後の文は
「しじみたちの、かわいい歌声と、やさしい波の音と、太陽のひかりにつつまれて、
魔法使いとトラジは、長いこと、しあわせにくらしたということです。」

鉛筆書きの絵もシンプルでかわいらしく、
やさしさにこころ癒される、おすすめの絵本です。

もうしじみは、涙なしには食べられなくなっちゃうけれど。


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