愛し愛されて生きるのさ。

愛し愛されて生きるのさ。

『壬生義士伝』

『壬生義士伝』(2003・滝田洋二郎監督)

『たそがれ清兵衛』がヒットし、一時にわかに時代劇ブームでした。その時に出てきたのがこの『壬生義士伝』。原作は浅田次郎、監督は『陰陽師』の滝田洋二郎。主演は中井貴一で音楽は久石譲、とくりゃどんな映画か観なくてもわかる。

新撰組の吉村貫一郎という人の物語である。私は日本史にとんと疎いので、そう言われてもピンとこない。試写会で観たのだが、会場は歴史大好きそうなじいちゃんばあちゃんでいっぱいであった。

とにかく映画の後半がひどかった。お涙頂戴もほどほどにしてほしい。中井貴一の独白シーンがこの映画の見所らしいのだが、長すぎる。監督の泣かせよう泣かせようという意図がみえみえで、かなり辟易した。

物語の構成もよろしくない。登場人物の回想シーンと現実のシーンが混ざり合って展開するので、頭が混乱する。大人の役者と、その少年時代を演じる役者が雰囲気が違うので、誰が誰だかわからなくなる。こういうストレートな話はシンプルな構成で見せたほうが、伝わりやすいと思うのだが。

中井貴一と佐藤浩市ってのも無難なキャストだなぁ、という印象。役柄も役者のイメージそのままという感じ。中井貴一の妻を演じた夏川結衣に関しても、使い方がイマイチ。もうちょっとクセのある役のほうが彼女はハマる。中谷美紀は現代的な顔つきなので、ヅラに違和感。

なにを狙っていたのかわかりやすい映画ではあるが、やりすぎて自爆してしまった印象。感動ってのはただ涙を流すだけじゃないんすよ。



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